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小池百合子東京都知事が語る災害対策、東京発のスタートアップ、そして人材育成

TOKYO HEADLINE

 2015年に国連総会で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、目標達成期限の2030年まで折り返し地点を過ぎた。持続可能な未来へ向けた取り組みや、目標達成のヒントとなる話を各界の著名人に聞く「シリーズ:未来トーク」。

 都は、令和6年1月に「『未来の東京』戦略 version up 2024」を策定。同時に公表した令和6年度予算案には「人」が輝く、国際競争力の強化、安全・安心の観点から、数々の政策を盛り込んでいる。東京都は、これまで、TOKYO創業ステーションやTokyo Innovation Baseの開設によりスタートアップを支援し「TOKYO強靭化プロジェクト」により防災対策を強化。さらに「国連を支える世界こども未来会議」を共催するなど、次世代を担う人材育成にも力を入れている。一人ひとりが輝く明るい「未来の東京」の実現を目指す小池百合子東京都知事に話を聞いた。

 まずは令和6年度当初予算案に前年度比約250億円増の約7600億円を計上していますが、改めて今年の能登地震を受けて感じられた事、災害対策で強化すべきポイントについて教えてください。

「元旦に能登半島で震度7の地震があり、大地震はいつ起こってもおかしくないと改めて認識させられました。東京都では、発災からすぐに都の職員を派遣し、その数はすでに延べ1000人を超えています。都は水道分野において技術力や維持管理の点でも非常に高いものを持っていますので、現在進行形で、上下水道の復旧にも当初から取り組んでいます。そのほかにも被災者の都営住宅受入れをいち早く決めて、30世帯以上が入居しています。災害は時間の経過とともにニーズが刻々と変わります。被災地のニーズをしっかりと捉えながら、それに応じた支援を実施しています。

 今回の地震で改めて重要性に気づくものに、例えば通信があります。今はごく当たり前にネットを使う時代です。それが途絶えることで、情報を届けるのも知るのも、非常に困難が伴うことになります。今回、都の職員がスターリンク(スペースX社による衛星通信サービス)を背負って現地に行き、有効に活用しました。改めてその必要性に鑑み、モバイル衛星通信の配備を徹底するための予算を組み込んでいます。それから非常用トイレの備蓄を拡充するなど、能登での支援を行いつつ、“都の場合はどうなるだろう”と想定をし、積み増しをしました。

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 昨年、関東大震災から100年という節目の年を機に『東京くらし防災』と『東京防災』の2冊の防災ブックをリニューアルし、ステップ1の行動編、ステップ2の知識編というコンセプトで中身もさらに詳しく、かつ実用的なものにしました。これからの対応も“備えよ、常に”です。それもハードとソフトの両面から行わなければなりません。

 まずは耐震化です。これは10年前に比べるとかなり進んできています。例えば首都直下地震等が起きた場合に想定される被害は10年前からかなり改善し、建物被害と死者数ともに3~4割の減少が見込まれています。今後も着実に対策を進めていきます。次に、今回特に『東京防災』で改めて中身を充実させたのがマンション防災です。東京都の人口は1400万人ですが、そのうち900万人が共同住宅、すなわちマンションやアパートに住んでいます。これは一国の人口にも匹敵する規模です。例えばマンションのエレベーターが止まる、トイレが機能しないといった、いろいろな不都合が起こることも想定されます。それに対して都としてどう支援をしていくのか、この冊子にハードとソフトの両方から書き込んでいます。

 今回の能登半島の地震でも、避難所での生活を余儀なくされている方が多くいます。被害にもよりますが、避難所に行くより家にとどまっていたほうがいい場合もあります。都では、災害による停電時でも、自宅での生活を継続しやすいマンションを“東京とどまるマンション”として登録する制度を作りました。この東京とどまるマンションについて、エレベーターや給水ポンプの非常用電源の設置を都が新たに支援します。ソフトの面では、新しいタワーマンションなどが建つと、旧来の住民の方とあまり日々のつながりがなかったりしますよね。そこでマンション住民の方ともともとその地域に住んでいた方々との合同防災訓練を促すことで、共助を強化していきます。

 また今回の地震では、輪島の朝市通り周辺が焼失しました。阪神・淡路大震災の際には神戸市の長田区などで道が狭く、消防車も救急車も自衛隊も入れないといったことがありました。今回の輪島のケースも非常に悲惨な状況でした。狭い道で救助の車も通れない、消火もできないとなると、なす術がありません。道路の幅をいかに拡幅するか、延焼遮断帯の確保が重要です。関東大震災の時も火事で亡くなるケースが非常に多かった。そういったことを防ぐためにも木造住宅密集地域の対策を進めています。不燃領域率という市街地の延焼のしにくさを示す指標があるのですが、令和7年度までに、全ての重点整備地域で70%を目指しつつ、各重点整備地域の不燃領域率を2016年度に比べ10ポイント以上向上を目標に、早急に不燃化に取り組んでいます。今年度から、老朽住宅の建替えに向けた設計・監理費の助成に加え、建築工事費の助成を始めました。これは不燃化特区制度を拡充したもので、その他の整備地域でも区への支援を実施しています。やはり助けも届かないという状況は避けなければなりません。さらに、揺れると電気が止まる、地震を感知する“感震ブレーカー”を木密地域にお住いの方々に配布しています。これにより火災防止につなげます。それから今回の能登半島地震では、内灘町などで液状化による甚大な被害が生じました。こうしたことも踏まえ、都内の戸建て住宅の液状化対策も強化します。

 そして、私がずっと取り組んでいるのが無電柱化です。どうしてこの国は考え方を変えないのか、無電柱化が進まないのか、いまだに私はもどかしく感じています。ただ、都の中心部のセンター・コア・エリア(おおむね首都高速中央環状線の内側エリア)では、都道の無電柱化は99%達成しました。今後、範囲をさらに広げていきます。特に区道や私道の工事をどう強力に進めていくかが課題で、区や市などの自治体をしっかりとサポートしていきます。

 地震だけではありません。最近は水害も想定を超える形で被害が出ています。都内でも線状降水帯が発生し、これまで想定してきたキャパシティー以上の大雨が何度も降っています。そこで、環状七号線地下広域調節池(建設中)などをうまく結びつけ、調節をするのではなくそのまま流す、いわば新しい川を地下に1本作る方式で、地下河川の事業化も進めています。

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