笠置シヅ子が服部にも無断で歌手を引退し、引退当初に服部氏が激怒していたのは史実だ。服部氏はその後、引退の動機が「自分が最も輝いた時代をそのままに残したい」だったことに理解を示し、二人は和解。引退後はまったく歌わなかった笠置が、昭和35年に開催された服部の銀婚式記念コンサートで歌を披露したことは、二人の強固な関係を示している。
それほどの固い信頼で結ばれていた師弟関係を、今回の演出は台無しにしてしまっていた。ドラマが史実通りである必要とはないとはいえ、今回の筋書きに失望した視聴者が多かったのも無理はないだろう。