いつまでも働けるから大丈夫!そう思っていても、社会保障が少ないフリーランスや自営業の老後生活は、必ずしも安泰とはいかないかもしれません。しかし、多様な制度を知っておくことで、豊かな老後への布石となります。ファイナンシャルプランナーである長尾義弘氏の著書『運用はいっさい無し! 60歳貯蓄ゼロでも間に合う 老後資金のつくり方』(徳間書店)より、老後資金に直結するお金の制度について、詳しく見ていきましょう。
基礎年金だけ!悲惨な老後を回避したい
<小林さん(仮名)の家計データ>
小林(仮名)さんは妻の琴美さんとパン屋さんを営んでいます。売り上げは毎月少しずつ違うものの、ほぼ安定しています。それでも、息子2人を育て上げるのはたいへんです。自分たちの老後資金に使おうと思っていたお金も、全部消えてしまいました。
教育費の負担がきついことは覚悟していましたが、小林さんの場合は想定外のできごとに見舞われました。次男が途中で留年したため、予想以上に教育費がかかったのです。
「あれがなければ、300万円くらいは残っていたかもしれないのに……。本当にゼロになっちゃったなあ」
小林さんはため息をつきます。会社員や公務員と違い、自営業者には国民年金しかありません。小林さんの問題は、夫婦合わせても年金が148万円にしかならないことです。月額12万円では、とても生活できる水準ではありません。老後資金を貯めるために、いっそうの自助努力が求められます。
節税対策にもなる「国民年金基金」は加入して損なし
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自営業者やフリーランスの人が年金の受給額をもっと増やしたいときは、やはり「国民年金基金」を活用しましょう。国民年金基金への加入は、国民年金の第1号被保険者であることが条件です。20歳から60歳までが対象ですが、国民年金に任意加入をしていれば60歳以上も利用できます。
国民年金基金は、1口いくらという形で掛金を選べ、掛金の上限は月額6万8,000円です。受け取りは確定型と終身型があり、全部で7種類のプランが用意されています。長寿社会であることを考えると、終身型を選んだほうがいいでしょう。終身型は65歳から受け取れ、確定型は60歳と65歳から受け取れるタイプがあります。60歳以降は、65歳からスタートする2タイプです。国民年金基金には、税金面でのメリットもあります。
掛金の全額が控除の対象になり、所得税・住民税が減額されます。つまり、実質の掛金はもっと安くなるわけです。自営業者にとっては、節税に役立ちます。
自営業者の退職金制度・小規模企業共済
自営業者やフリーランスの人には、「小規模企業共済」もオススメです。小規模企業共済は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が行なっている共済事業です。
これは、中小企業の経営者が退職金を準備するための制度です。
会社勤めの人とは違い、フリーランスや個人経営者には退職金がありません。そろそろ引退したいと思っても、先立つものがなくてはなかなか仕事をやめられません。そこで、小規模企業共済を使って、退職金を自分で積み立てていくわけです。