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冬ドラマ女優ベスト3。“昭和のスケバン”も最高だけど、“五感を失う演技”が壮絶だったのは

女子SPA!

春の訪れとともに、冬クールドラマ(1月期ドラマ)が最終回ラッシュを迎えています。この冬、素晴らしい演技で惹きつけてくれた女優たちをご紹介します。

※この記事では、『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』『不適切にもほどがある!』『君が心をくれたから』最新話までの一部内容に触れています。

『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』芦田愛菜

まず日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)で、主演・西島秀俊の娘・響を演じた芦田愛菜。

ひたすら音楽を愛し、純粋に音楽と向き合い続ける父・俊平(西島秀俊)のことを、あることがきっかけで“嫌い”にとなってしまい、天才少女と持て囃されていたバイオリンも止めてしまいます。ツンデレな性格で、常に俊平に対して厳しい態度をとっており、むすっとした表情が続くことにSNSでは不満の声も上がっていましたが、3月17日の最終回ではとびきりの笑顔を見せてくれました。

引きずってきた思春期――父との葛藤を繊細に表現

ただの「不機嫌な娘」にならなかったことが、まず芦田の秀逸さが光ったポイント。娘としての“葛藤”を巧みに表現していました。口ではキツいことを言っていても、父のことが気になって仕方ない仕草や表情。父同様、音楽もバイオリンも嫌いになったはずなのに、楽譜を大切にしたり、想い余ってバイオリンを思いっきり演奏してしまったり。行動だけでなく、そこに戸惑いや隠されていた本音が感じ取れるのは、芦田の演技力があってこそ。

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特に、3月10日放送の第9話は神回でした! 5年前、父との共演を目指して出場したコンクールでの追い込まれていた心境やプレッシャー。ファイナル手前で“奇跡”のような完成度の高い演奏ができた直後、父からのひと言で絶望したことなどが語られました。芦田の、父を尊敬して大好きだったからこそ、父と同じように音楽に向き合えない、自分の弱さと力不足に悩み押しつぶされた10代の繊細な心の揺れ――そして叫びは圧巻。15歳まで反抗期らしい反抗期もなく夢に破れた響が、5年ぶりに父と暮らすようになり、全力で父に甘える“反抗期”の娘として振舞っていたのだと腑に落ちます。

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未熟だった自分を振り返り、ようやく父を許し、向き合おうとした前進した響。遅めの反抗期を終えた、晴れやかな笑顔は素晴らしかったです。



『不適切にもほどがある!』河合優実

同じく主人公の娘役を演じた『不適切にもほどがある!』(TBS系)の河合優実も、存在感がありました。1986年と2024年をタイムリープする体育教師・小川市郎(阿部サダヲ)の17歳の娘・純子をチャーミングに演じています。

2021年の映画『由宇子の天秤』では、塾講師の子どもを妊娠して苦悩する女子高生を演じた河合。若手らしからぬ熱演が評判を集め、数多くの新人賞を受賞しました。

その後映画を中心に演技に磨きをかけ、昨年放送の『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』(NHK総合)では主演を務めました。父を早くに亡くし、母は当然の車椅子生活、弟はダウン症という家族を持つ、複雑な主人公の心情をリアルに表現。こちらも話題を集めました。

隠しきれない品のよさと深い愛の表現が秀逸

話を『不適切にもほどがある!』に戻します。初登場のシーンから衝撃を受けた方も多いのではないでしょうか? 80年代の流行「聖子ちゃんカット」で超ロングスカート。父・市郎に対して「そこで納豆かき混ぜてるチビで薄毛のおっさんだよハゲ!」など口汚く罵り、親子喧嘩を繰り広げます。でもその可愛さは圧倒的!! バリバリの不良スタイルで口も悪いし、下品なこともいうけれど、どことなく品のよさを感じさせ、観る者を惹きつけるのは、河合自身のもつ存在感があってこそ。

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第5話では、大学に進学した純子がワンレンボディコン姿を披露したと思ったら、純子の未来――衝撃的な事実が明らかになりました。幼い少女の無邪気さと同時に、父への敬慕、内に秘めた優しさや強さも見せつけた河合。涙なくしては観られない回になりました。

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第7話で令和にタイムスリップし、令和ルックに変貌。それはそれで可愛らしく、本作は河合のさまざまな魅力が感じられる作品になったと思います。今年6月には主演映画『あんのこと』の公開も控えており、シャブ中でウリの常習犯を体当たりで演じているとか。これからの活躍が最も楽しみな女優のひとりでしょう。



『君が心をくれたから』永野芽郁

そして、この冬一番筆者を感動させてくれた女優は永野芽郁でした。『君が心をくれたから』(フジテレビ系)で演じた主人公・雨(あめ)は、愛する人のために「心=五感」を捧げるという難しい役。しかも幼少期に母親から虐待を受けており自分に自信がもてないという、月9とは思えないヒロイン像です。

その性格と「雨」という珍しい名前が相まって、高校で朝野太陽(山田裕貴)と出会うまで暗い学生生活を送ってきました。せっかく太陽と恋をして、自分の人生に前向きになれたのに、太陽が事故にあったことをきっかに今度は「五感を失う」運命に。

フィジカルを超えた“心”の表現力

観ている人が苦しくなるほどの不幸を背負ったヒロインを演じた永野。そもそも彼女の豊かな表現力がなくては、物語が成り立ちません。目が見えない、感触がないという説得力を視聴者に持たせるには、難易度の高い演技が求められます。目の動き、体重のかけ方など、フィジカルでの表現はもちろん秀逸でした。

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しかし、それ以上に、味覚を失う、嗅覚を失う――その瞬間で永野が見せた絶望や哀しみの表情は、観ていられないほどに苦しく、引きこまれました。一方で、永野が見せた笑顔や強さからも目が離せませんでした。自己肯定感が低かった雨が、心を失いながら、失うほどに心を強くして、笑顔を取り戻していく姿は、美しくて、眩しかったです。

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その輝きは、10代の頃からモデル、女優としてキャリアを積み上げてきた永野の自身の魅力と重なり、役として強い光を放っているようにも感じました。まだ24歳?! 恐ろしい子……。2022年以降、3年連続で日本アカデミー賞を受賞しており、今年5月には主演映画『からかい上手の高木さん』が公開されます。これからの出演作も注目です。

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泣いたり笑ったり。さまざまな感情を届けてくれた女優たちの名演が光ったこの冬クール。これからもドラマや映画で、さまざまな魅力を放ってほしいと思います。

<文/鈴木まこと(tricle.ltd)>

【鈴木まこと】
tricle.ltd所属。雑誌編集プロダクション、広告制作会社勤務を経て、編集者/ライター/広告ディレクターとして活動。日本のドラマ・映画をこよなく愛し、年間ドラマ50本、映画30本以上を鑑賞。Twitter:@makoto12130201



 
   

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