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会うなり抱擁、そしてキス…35歳女優の“体当たり”のラブシーンが艶かしい。2人の恋の行方は?|NHK大河『光る君へ』

女子SPA!

序盤のキーマンであった直秀がこの世を去り、まひろと道長の関係は大きく変化していく。

一方で、内裏でも波乱が起こり始めていた。

愛と権力が入り乱れた第10回。共通するのはどちらも結局は「欲」なのかもしれない。

兼家が大勝負に打って出る

直秀(毎熊克哉)が亡くなり、まひろ(吉高由里子)と道長(柄本佑)の心には暗い影を落としていた。しかし、そんなふうに悲しんでいる間もなく日々は進んでいく。

特に道長は人生の分かれ道のひとつに立たされていた。

花山天皇(本郷奏多)をその座から引き摺り下ろす。そんな恐ろしい企てを道長の父・兼家(段田安則)は進行していたのだ。

うまく花山天皇に近づいた道兼が、花山天皇を内裏から連れ出し、出家させる。そして、その間に道隆(井浦新)と道綱(上地雄輔)は帝位の象徴である剣璽を東宮・懐仁親王がいる梅壺へと運び込む。

剣璽が運び込まれたことを確認した道長は関白の元へ花山天皇の退位と東宮の即位を知らせる、という手筈だ。言ってみればクーデターである。

「そこまでして権力が欲しいのか……」と一視聴者としては思ってしまうが、失敗すれば兼家らは全てを失う。命をかけた権力強奪だ。いや、権力を奪うときはいつだって命懸けである。

そんなクーデターの鍵を握る道兼はどこか誇らしげな表情を浮かべているが、道長の表情は冴えない。

会いたくて会いたくてたまらない道長

計画が進行する中、道長は積極的にまひろに文を送っていた。

「古今和歌集」の一首を用いて、まひろへの想いを伝えていた。それに対して、まひろは漢詩で返す。そのあと二度、文を送り、まひろは二度ともも漢詩で返した。

道長はまひろの真意が掴めない。とりあえず、ひたすら「会いたい」と言う道長に対し、まひろが「落ち着いて」と言っているのはわかる。でもこういうときって同じテンション感のほうが盛り上がるよね、というのも分かる。まひろも道長が好きであることは間違いないけれど、まひろのほうが理性が働いているのだろう。

まひろの意図が見えない道長は藤原行成に相談をする。すると、行成は「和歌は人の心を見るもの聞くものに託して言葉で表している」という。一方、漢詩は志を言葉に表している、と。

少し分かった、と言う道長は和歌ではなく「我亦欲相見君」(あなたに再び会いたい)とだけ書いた文をまひろに送った。この文をきっかけに、まひろは道長と再び廃邸で会う。

会うなり熱い抱擁と口づけを交わすふたり。思いがあふれ出しているのがありありと分かる。

そして道長は言う。「一緒に都を出よう」と。



駆け落ちは、駆け落ちした瞬間がピーク

道長は身分ある人だ。それを捨て、家族も捨てて、ふたりだけで遠い国へ行こうと言う。

幼いころから想いを寄せていた相手に、熱烈な愛をぶつけられて嬉しくないはずがない。しかし、まひろは首を横に振る。道長には都でなすべきことがある。道長が偉くならなければ直秀のような無残な死に方をする人はいなくならない、と。

それでも道長は食い下がる。まひろは頷かない。出世をし、良き政をするのが道長の使命である、とこちらも引かない。

一方でまひろは、道長が全てを捨てて、畑を耕したり、生活をするために泥だらけになっている姿を想像できない、とも言う。道長は身分ある人だから当然とも言えるが、まひろはふたりの未来が想像できないのなら、共に行くことはできないだろう。だが、まひろの立場になって考えてみると、そんな想像があの場でできるのってとんでもないことなんじゃないだろうか。愛をぶつけられ、抱きすくめられ、口づけをされ……自分が恋焦がれている相手に「一緒に遠くへ行こう」と言われたら何も考えられずに「はい」と言ってしまいそうなのだが……と考えてしまう筆者が浅はかなだけかもしれないが。

でも、「この人は後先考えずにそんなこと言って!」と冷める可能性だってあり得る。まひろは共に行くことを拒みつつも、道長と肌を重ねる。冷静なようであって、まひろだって愛に浮かされていたはずだ。人の心の複雑さよ。

ふたりが体を重ねるシーンはなんとも美しい。月夜に照らされるまひろの表情にはあどけなさと艶やかさが入り混じる。彼女は愛する人の腕の中で何を想ったのか。

しかし、甘い時間を過ごしたあとに静かに「振ったのはお前だぞ」と言う道長が怖い。

道兼の行方を案じてしまう

道長がまひろに「都を出よう」と言ったのは、当然家族のこともあったからだろう。父は一世一代の大勝負に出た。

その上で、失敗したときの予防線も張っていた。道長だけは何も知らなかったことにして、藤原家を守れ、と言う。しくじった際は、父の謀を関白に知らせよ。そうすれば道長だけは生き残れる。ここに父が賭ける期待の大きさが現れている。

「道隆の役目では?」と道長は言うが、謀が成功すれば、手柄は道隆のもの。成功しても失敗しても藤原家は残す。そういう強い意志が見てとれる。

が、そうなると、道兼である。

一番、危険な任務であるにも関わらず、どう転んでも手柄は手に入れられない。そういうさだめであり、道兼も納得しているのかもしれないが……。

手柄は手に入れられずとも、前回からの道兼はイキイキしているようにも見える。花山天皇を謀り、出家させたところで裏切りを明らかにする。その瞬間、とてもいい悪役の顔をしていたが、今後についてどのように考えているのだろう、道兼。



愛も、権力もいらないとは言えない

かつて道長――三郎は言った。

「俺のまわりの女子はみな寂しがっている。男はみな、偉くなりたがっている」

まひろが寂しがる女子だったら道長は惹かれなかっただろう。でも道長は全てを捨てて遠くへ行こうと言う。

道長が偉くなりたがっている男だったらまひろは惹かれなかっただろう。でも、まひろは道長に偉くなれ、と言う。

愛だけではおなかは膨れないし、権力がなければ理想は理想のままだ。すべてを捨てて、と言っても結局は何も捨てられない。それが幸せで哀しいことなのかもしれない。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ



 
   

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