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『呪術廻戦 懐玉・玉折』アニメ・オブ・ザ・イヤー獲得 アニメや漫画を世界に届けるクランチロールの役割

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 日本のコンテンツホルダーも、海外で無許可の配信が増加していることを懸念していた。取り締まろうにも海外が相手では時間がかかる上に人手も足りない。それなら、先に収益化できる正規のルートで配信すれば良いと考え、クランチロールを利用するようになった。「実際に2009年頃には違法ダウンロードは7割減りました。コンテンツホルダーに配信が違法対策になることを示せました」。こうした成果が。クランチロールをアニメ分野における有力配信プラットフォームへと押し上げた。

 「アニメ業界のひとつになりたいです。そうならなければ成功できないと思っています」。2010年に来日したクン・ガオの思いは、企業規模の拡大とともに現実のものとなっていき、2021年にソニーがクランチロールを1222億円という高額で買収したことで成就を果たした。

 ソニーは先に、アニメの配信サービスを行っていたファニメーションをグループ傘下に加えていたが、クランチロールを買収してファニメーションと統合。クランチロールはソニーという世界有数の企業の傘下で、1300万人もの有料会員数を抱えるアニメ配信プラットフォームとなった。今や配信という分野でアニメ業界の中心に位置する企業と言っていい。

 ソニーグループには、アニプレックスというアニメ企業があって、「クランチロール・アニメアワード 2024」で最優秀アニメーション賞、最優秀美術賞、最優秀ファンタジー作品賞を受賞した『鬼滅の刃 鍛冶の里編』や、最優秀日常系作品賞受賞の『ぼっち・ざ・ろっく!』を手がけている。半導体やカメラなどを製造し、金融分野も展開しつつ、映画や音楽、ゲーム、そしてアニメといったエンターテインメントも事業の核にしているソニーグループにおいて、アニメを生み出すアニプレックスと、それを世界に届けるクランチロールは事業戦略的に重要な位置にある。

 去年と今年の「クランチロール・アニメアワード」を日本で開催したのも、多くの人気アニメ作品が生み出される国に敬意を示したものであると同時に、ソニーグループにおいてクランチロールの位置づけが高まっていることがあるのかもしれない。世界から寄せられる注目は、日本のステークホルダーにも大きなアピールになっただろう。

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 欧州では日本の漫画作品をライセンス展開している企業をクランチロールが買収。アニメを配信して漫画も伸ばすといった連携を取りやすい体制が作られた。日本では未だ知る人ぞ知るクランチロールだが、世界で日本のアニメや漫画が知られるようになる流れの中で、重要なポジションを占めるまでになった。その活躍が作品を生み出したクリエイターへの賞賛につながり、利益の還元にも繋がるようになっていけば、クン・ガオが言った「クリエイターと手を繋いでビジネスを成長させたい」という思いも果たされるだろう。

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