top_line

足し算+パズルで脳を鍛える!
「2048」はここからプレイ

Skateboarding Unveiled vol.10 ~My Favorite Local 静岡~

FINEPLAY

では彼の一世代下の代表格といえば誰になるだろうか。そこは原悠真で異論はないはず。レッジやステアを中心に攻める”ド”ストリートスタイルは、いかにも静岡らしい。これは私見ではあるのだが、彼は程よく都会な静岡市で生まれ育ったモデルケースではないかと思う。

また知られざる話として、彼は青木勇貴斗が本格的にスケートボードにのめり込むきっかけとなった存在でもあることも忘れてはいけない。それは幼少期に彼を通じて多くのスケーターと知り合えていなければ、今の自分はないとインタビューで本人が断言しているほど。とあるローカルの世代間の素晴らしい繋がりが垣間見られるエピソードではないかと思う。

某所に置かれた期間限定のフルパイプ。薩川”verjon”幸矢のバックサイドターン

ここまでは静岡シーンを引っ張ってきた人物を紹介したが、他にも様々な人を撮影させてもらってきたので1枚だけ紹介したい。これは過去に自分が撮影した静岡の写真の中でも、とりわけスポットのインパクトが大きかった写真。このフルパイプはなかなかお目にかかれるものではない。

ライダーは薩川幸矢、通称バージョンと呼ばれるスケーターで、この世代の静岡におけるマスコットキャラクターのような人物。彼のようなスケーターが、帰省するたびにスポットをアテンドしてくれたので、素晴らしい写真を残すことができたと思っている。この場をもって感謝の言葉を伝えたい。

古くから静岡を支えるショップ&バーチカル

静岡県牧之原市にあるjack ocean sportsのバーチカルには数々の歴史が詰まっている。

次はパークやショップで静岡を括ってみたいのだが、「歴史」という観点で見るとjack ocean sports は外せないだろう。

広告の後にも続きます

古くは日本の大御所フォトグラファー、樋貝吉郎氏の写真集『JUDO AIR』のカバーになった、クリスチャン・ホソイによるフロントサイド・ジュードーエアーが撮り下ろされた場所で、90年代から2000年代前半にかけてはStussyの旗艦店として名を馳せ、ファッション誌にもたびたび登場。若い世代にはHUFのお膝元といえばわかりやすいだろうか。 海の目の前にあり、サーフカルチャーも根付くこの地域にjackが果たした歴史的役割は果てしなく大きいと思う。個人的に見ても、このエリアの高校に進学したからからこそスケートボードに出会うことができたし、1999年に初めてスケートボードを購入したショップもjackだった。今はバーチカルだけでなくコンクリート製のコンビボウルも完備され、当時とはだいぶ変わってしまったが、それでも帰省した際に立ち寄ると当時を思い出す貴重な場所だ。

ツアーで訪れた静岡

2011年にElementのジャパンチームで訪れた際の集合写真。左から田中達也、瀬尻稜、前田正義、久賀翼、川渕裕聡

今までは静岡に住むスケーターたちを紹介してきたが、最後はツアーで全国各地のライダーが静岡を訪れた時の写真を紹介したい。

オーリーマスターとして一時代を築いた前田正義。某有名スポットでのオーリーイン

まずはElementのツアーで訪れた福岡のオーリーマスター、前田正義。
105cmを日本で初めてメイクした元日本記録保持者が見せたのは、いかにも彼らしいオーリーイン。
最近ではCREATUREチームが訪れてフッテージを残したことでも記憶に新しいこの有名スポットを、上から物越えしてバンクへ降りたのは彼が初めてだったと思う。

この時も「下から上って窪んだ縁部分に掛けた人はいるけど、上からオーリーしてバンクにドロップしたらヤバいよね」となんとなく話したら、即座に「イケます!」と回答し、あっさりメイク。秀でた身体能力を持つスケーターは、対応できるスポットの幅が広いからこそ、写真映えするんだなと感じた出来事だった。

砂川元気が遊びでメイクしたバックサイドウォールライド

続いては2012年の奥野健也、砂川元気、谷川祐馬、弓場逸星というスポンサーもチームもバラバラの4人によるプライベートツアー。

結果的に雑誌の特集にはなったものの、メディアが企画したツアーではなく、偶然タイミングがあった4人が「じゃあ行っちゃおうか!」とノリで行った通常とは一線を画した内容。

ただこのスポットでは弓場逸星がフロントサイド・クルックドグラインドをメイクしている。雑誌にはそちらを使ったので、今回はお蔵入りとなっていた砂川元気のバックサイド・ウォールライドをチョイス。半分遊び感覚で「どこまで高く上がれるか」とトライした時の一枚だ。

あえて新幹線が通るタイミングを狙った北詰隆平のバックサイドキックフリップ

最後は阿部直央、北詰隆平、久賀翼、三枝純也で行ったSUPRAツアーを。この旅のメインの目的地は名古屋だったのだが、その道中に静岡に寄った時のもの。

トリックもさることながら、この写真は後ろを走る東海道新幹線がポイント。

スケートボードの写真や映像はよくアートに例えられることがあるが、こういった特定のタイミングや季節、時間帯でしか撮影できないものを組み合わせるのは、その良いサンプルだと思う。そう何度もトライできるものではないからこそ一瞬を狙って、視覚的な価値を高めているのだ。

今回は以上になるのだが、静岡をしっかり紹介しようと思ったら、とてもじゃないがこれだけでは収まらない。それなら、次は県内のどこかで写真を展示できたらいいなと思っている。

というのも、ここでも紹介したあの場所もあと2年ほどで……、という話はすでに知っている人もいるだろう。それなら最後は盛大に、自分が記録してきた静岡スケートシーンを見てもらうことで地元へ恩返しができたら幸いだ。

  

吉田佳央 / Yoshio Yoshida@yoshio_y_
1982年生まれ。静岡県焼津市出身。
高校生の頃に写真とスケートボードに出会い、双方に明け暮れる学生時代を過ごす。
大学卒業後は写真スタジオ勤務を経たのち、2010年より当時国内最大の専門誌TRANSWORLD SKATEboarding JAPAN編集部に入社。約7年間にわたり専属カメラマン・編集・ライターをこなし、最前線のシーンの目撃者となる。
2017年に独立後は日本スケートボード協会のオフィシャルカメラマンを務めている他、ハウツー本の監修や講座講師等も務める。
ファッションやライフスタイル、広告等幅広いフィールドで撮影をこなしながら、スケートボードの魅力を広げ続けている。

The post Skateboarding Unveiled vol.10 ~My Favorite Local 静岡~ first appeared on FINEPLAY.

  • 1
  • 2
 
   

ランキング(スポーツ)

ジャンル