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木村多江(52)が明かす「生きる意味がわからなくなった」過去。きっかけは父の死

女子SPA!

 木村多江さん(52歳)が、国際的な合作プロジェクトである映画『コットンテール』に出演。闘病生活の末に息を引き取る、リリー・フランキーさん演じる60代の作家、大島兼三郎の最愛の妻・明子を演じています。

 贖罪や和解、認知症や介護、孤独といった普遍的なテーマを描くヒューマン・ドラマである本作。木村さん自身は認知症や介護とは遠いところにいながらも、現実に向き合う本作に出演したことで、想いを新たにすることが多かったと言います。

 リリー・フランキーさんに続いて、木村さんにもお話を聞きました。

“夫婦の深い愛の話”として

――本作の夫婦関係、家族関係は、他人事ではない普遍性も感じましたが、木村さんご自身は何か影響を受けるようなことはありましたか?

木村多江(以下、木村):わたしの周囲には認知症の方がおらず、知らない世界でした。自分が演じるにあたって、いろいろな方にお話を聞いたり、映像を観たりして、介護をしている方々の大変さや、自分を失っていくような心情などを目の当たりにしました。

認知症の方がときどき普通に戻り、ハッとすることがあるそうです。そこで起こり得る、“自分がどうなるか分からない恐怖”というものがあると知ったことが、わたしにとってはすごく大きなことでした。

わたしは父が早くに亡くなりましたが、母はまだ健在、義理の両親も健在で、親の介護をまだ経験していません。伯父、祖父、祖母も認知症ということはなかったので、ほとんど知らない世界だったんです。でも、国民の半分以上が40歳以上なわけですから、たぶん経験のある人は、割合としては多いと思うんですよね。

この映画は家族の再生の物語だから、これがひとつの希望となってほしいとは思っているけれども、実際に介護されている方の大変さや、わたしたちはどうやってこれからの課題、そして現実にちゃんと向き合うべきなのか、そして他人事ではなく、我が事として見ていかなきゃいけないなということを、演じてみてさらに考えるようになりました。

――木村さん演じる妻は、リリー・フランキーさん演じる夫に手紙を残したりするわけですが、このふたりの関係は、どのように理解して演じていましたか?

木村:いろいろなご夫婦の介護の映像を観たりするなかで、兼三郎さんという人は、大変だけれども、やっぱり妻の明子をものすごく愛している人だということはすごく感じたので、だからこそ兼三郎に自分の未来を託すという夫婦の深い愛の話でもあるなと思いました。

お互い愛してるからこそ起こり得る、あの過程と結末なんじゃないかなと思いました。そして、それはもう本当にリリーさんだから余計に上手くいったんだと思うんです。長く連れ添った夫婦みたいな空気感が出ていて、お互いにどこか深いところで繋がっているみたいな。そういう感覚みたいなものを大切にして演じました。

仕事への“原動力”とは

――俳優としてのキャリアは長いと思いますが、今現在、何を想いながら日々仕事をされているのでしょうか?

木村:そうですね。やっぱり役者というか人間は、自分の生存意義みたいなものをどこかで求めているところがある気がするんです。自分が生きてる価値というか。

だから、それがわたしの場合は役者であるので、芝居をすることで誰かの役に立っている、誰かの心を潤す、ちょっと誰かの背中を支えている、そんなにギュッと押してあげられなくても、ちょっと支えてあげられたり、そういうことにお役に立っていけることが少しでもあるのなら、自分が役者をやっている意味があるなと思うんです。

また、わたしの場合、役者だけじゃなくて、ナレーションだったり、バラエティなど、いろいろなこともやらせていただいていますが、そういう中でちょっとみんなが元気になったり、少しでもお役に立てればいいなと思っていることが、実はけっこうモチベーションになっているところはありますね。



父の死を乗り越えられなかった10年間。そして…

――いつからそのように考えるようになったのですか?

木村:30歳前半くらいの時、わたしは父の死を10年近く乗り越えられず、自分の生きている意味みたいなものが、どうしても分からなくなってしまっていたんです。そこを乗り越えるのに、いかにみなさんに支えていただいてきたか。だからわたしはこうして生きてこられたし、頑張ってなんとか仕事をしてこられたんだなと思ったら、やっぱりそこは恩返しをしていく、今度は反対の立場になっていきたいと思うんです。

あとは『ぐるりのこと。』という映画の時に、リリーさんが演じたカナオという人が、わたしが演じる翔子をずっと支えてくれていて、人に手を差し伸べられることは素敵だなと思ったんです。手を差し伸べるって、ちょっと上からのような感じになっちゃうけれど、誰かが手を繋ぎたい、助けてと言っている時に、それまではどうせ手を離されるんだったら掴まないほうがいいと思っていた。

誰かと仲良くなるにしても、この人もいつか手を離すかもしれないと不安になってしまい、だったら仲良くならないほうがいいって言って、すべてにバリアを張って生きてきたんですよね。

でも、離されちゃってもいいじゃないかって。いつでも困った時に手を差し伸べられる人間になりたいな、カナオみたいな人になりたいなって思いました。あの映画以降、そういう風に思えるようになったような気がします。

――そしてまた時を経て、リリーさんと再共演という形で、その命題を実践するかのような作品に携われたということは、本当に素敵なことですね。

木村:そうなんです。この映画を通して、何かそういう人の絆みたいなものも感じていただけたらうれしいです。

<取材・文/トキタタカシ 撮影/塚本桃>

【トキタタカシ】
映画とディズニーを主に追うライター。「映画生活(現ぴあ映画生活)」初代編集長を経てフリーに。故・水野晴郎氏の反戦娯楽作『シベリア超特急』シリーズに造詣が深い。主な出演作に『シベリア超特急5』(05)、『トランスフォーマー/リベンジ』(09)(特典映像「ベイさんとの1日」)などがある。現地取材の際、インスタグラムにて写真レポートを行うことも。



 
   

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