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『スカルアンドボーンズ』それは憧れが生んだ幻なのか?「海賊史」に記された伝説の楽園リバタリア【ゲームで英語漬け#130】

Game*Spark

『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』の拡張コンテンツから出発した『スカル アンド ボーンズ』は、独立作品として海賊ロマンの要素を重視し、伝説の怪物や呪われた海賊船など「冒険」を楽しむコンテンツを盛り込んでいます。本作で海賊たちの根城になっている「サント・アン」は実際には存在しない架空の島です。モデルとしてはアダム・ボールドリッジが拠点にしたサントマリー島が考えられますが、名前などは変えて史実から離れた「パイレーツファンタジー」を目指しています。

海賊という存在は、現実の危険な無法ギャング以上に、その自由豪放な暮らしぶりの方がクローズアップされます。政府に抗って今で言うところの「ロック」な生き方に、当時の人々は共感するところがあったのでしょう。小説などの創作上で海賊は自由を愛し人間味あふれる存在として描かれてきました。

そんな海賊たちは各地に拠点を作り、ミニ国家として独自の掟に基づき統率していました。彼らのユートピアとして語られるのが「リバタリア」という伝説上の国家です。リバタリアはマダガスカルにあったとされる海賊の共同体で、『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』では「海賊王」ヘンリー・エイヴリーが略奪で得た財宝を使って建てた国とされていました。

リバタリアの名前は海賊の現役時代である1724年に出版された「A General History of the Robberies and Murders of the most notorious Pyrates」、通称「海賊史」に登場します。海賊の現役時代に書かれた同時代性の高い書籍で、今日に名を残す多くの海賊たちはこの本で紹介されたものです。「海賊史」によると、リバタリアを建てたのはエイヴリーではなくフランス人のミッソンで、国家に侵害されている自分たちの自由を守るため、独立して専制君主と戦うべきとして国を作ったとあります。ミッソンが部下に演説する場面ではこのように記述されました。

That indeed, Death given in War, was by the Law of Nature allowable, because it is for the Preservation of our own Lives; but no Crime ought to be thus punished, nor indeed any War undertaken, but in Defence of our natural Right, which is such a Share of Earth as is necessary for our Support.
この文章ではジョン・ロックが説いたNatural Right、いわゆる「自然権」について言及しており、先に特権階級によって起こされる争いを批判した上で、自然権を守るためでない限りは戦争が許されてはならない、とミッソンが述べたと書いてあります。他にも"they were no Pyrates, but Men who were resolved to assert that Liberty which God and Nature gave them”とあり、リバタリアの住人は無法の海賊ではなく天賦の自由を守るために戦う者、つまり抵抗権を根拠に君主へ逆らうのだというのです。

ロックが自然権を説いた「統治二論」は1689年ですが、アメリカ独立とフランス革命が達成されるにはそこから1世紀近くかかります。それよりもずっと前にいち早く近代思想の理念を海賊たちが実現していた、と「海賊史」は主張しているわけです。

現実にはリバタリアが存在したという証拠は存在しません。「海賊史」は裁判記録などを参照している一方で、かなり「盛っている」部分もあるようで、そもそもこのミッソン自体が作者の創作ではないかと考えられています。「海賊史」を記したキャプテン・チャールズ・ジョンソンが一体誰なのかは未だに不明で、「ロビンソン・クルーソー」のダニエル・デフォーの偽名とする説もありますが、確証を得る手がかりはありません。しかし、無法の海賊たちに国家の暴政から解き放たれた自由人というイメージを与えたのは間違いなくこの「海賊史」であり、作者は海賊に政治哲学における「自由」を見いだしていたようです。

実際の海賊は私掠免状で国家間の戦争に加わる、奴隷貿易を行うなど反体制や自由平等でやるばかりではありませんが、カリブ方面の海賊共和国では海賊の掟の下で人種関係なく平等ということになっているので、奴隷から身を立てた海賊も一定数いました。国家の手から逃れて彼らなりの新しいコミュニティを築いている姿は、自国の政治に思うところがある人間からしてみれば、単なる無法者ととることはできなかったのでしょう。「海賊史」は彼らに仮託した啓蒙の書だったのではないか、そう捉えることもできそうです。

海賊たちのユートピアは一瞬の儚い夢だったのかもしれません。それでも自由を求めた時代の追い風を受けて、現実から離れたロマンの世界で今も彼らは航海を続けているのです。

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