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Game*Sparkレビュー:『マリオvs.ドンキーコング』(2024)―“リメイク”の意義とはなんなのかを考えさせられる、物足りない作品

Game*Spark

近年はさまざまなクラシックゲームの移植やリマスターが続いていて、古いゲームでも最新の環境でプレイできるようになってきています。その中でリメイク――いわば“作り直し”を選択したからには、少なからずその意義を示す必要があるでしょう。また、その売り方にも気をつけなければなりません。

2月16日にニンテンドースイッチで発売された『マリオvs.ドンキーコング』は、残念ながらその意義を示しているとは言えず、物足りないリメイクとなっています。本記事では、『マリオvs.ドンキーコング』のレビューをシングルプレイ要素のみに特化してお届けします。

アクションパズル色の強いマリオ
本作は、ゲームボーイアドバンスで2004年に発売された同名作品のリメイクです。マリオが売り出すおもちゃ「ミニマリオ」が欲しくて工場から盗んでしまったドンキーコングを捕まえるべく、マリオが追いかけっこを繰り広げる……というところから物語が始まります。

シリーズとしては1994年発売のゲームボーイ版『ドンキーコング』の流れを汲んでおり、純粋なアクションだけでなく謎解き力が求められる点がゲームプレイの特徴です。リメイクとしては新たにワールドが2つ追加されているほか、ローカルでの2人プレイやグラフィック・サウンドの刷新などが行われています。

本作のマリオはアクロバティックなアクションが可能。例えば、スティックを下に倒してAを押すと逆立ち状態になって高くジャンプできたり、進んでいる方向と逆に入力してAを押すとバック宙ができたりと、主にジャンプ力を高める効果があります。他にも、ワイヤーに捕まっているときにスティックを上にして大車輪からの大ジャンプができるなど、仕掛けを使ったアクションもあります。

敵のバリエーションは豊富で、マリオシリーズで有名なテレサやドッスンに加え、シッポに掴まれるサルのおもちゃや、レンガを落としてくる謎の生物など本作オリジナルのものまで、パズルの仕掛けの一部として作られた敵が用意されています。敵のビジュアルの多くはぜんまい仕掛けのおもちゃのような見た目になっており、非常にキュートです。

サントラもアレンジや新規楽曲が多く用意されています。ある意味ちょっと“マリオらしくない”ような雰囲気の曲もあり、新鮮さがあります。

通常ステージの目標は「カギを入手してドアまで持っていく」もしくは「カプセルに囚われたミニマリオのところまで辿り着く」というもの。ステージに配置された敵やアイテムをいかに利用するかが攻略のカギとなっています。また、収集要素としてプレゼントボックスが用意されていて、これをコンプリートしようとするとやや難易度が高くなります。

ワールドごとに6つ用意された通常ステージをクリアすると、ミニマリオを連れてゴールを目指すステージに挑戦できます。このステージでは配置された「T」「O」「Y」のパネルを収集する要素があり、ミニマリオしか通れない通路をいかに通すかが重要となります。

アクションパズルとしての歯ごたえはそれほど高くなく、もちろんプレイヤーの熟練度にはよりますが、本作のルールを理解すればさほど悩むことはありません。新規ワールドとなる「メリー・ミニランド」や「ツルツルマウンテン」は風を起こす花や氷の床など新しい仕掛けがありますが、わかりやすさと難しさが既存ワールドと同程度の品質であり、リメイクで追加されたことがわからないくらい馴染んでいるところは好印象です。

全体的に、難易度はかなり低めと言えるでしょう。エンディングまでは3時間から4時間ほどでたどり着けるため、物足りなく感じるかもしれません。一方で、一度クリアした後に登場するエキスパートステージは歯ごたえがあり、すべてのステージが刷新。難易度もやや上昇するため、挑みがいがあります。

操作性はキビキビとしていて、プレイヤーの思い通りにマリオを操れます。しかしながら、パズルアクションであるがゆえの制限によるストレスも見逃せません。本作におけるマリオの通常ジャンプの高さや距離はやや低めに設定されており、横ブロック2つ分、縦ブロックひとつぶんくらいしかジャンプできません。

これはジャンプでゴリ押しできないようにするための設定ですが、そのせいで敵の上に乗ろうとして当たってしまうことも多く、いまいち納得できないミスが発生してしまいます。ここはもう少し、アクションに補正をかけるなどの工夫がほしかったところです。

しかしながら、このストレスはカジュアルモードを選択することで抑えることができます。クラシックモードではミスしたらやり直しで制限時間も設けられていますが、カジュアルモードにすれば5回までミスが可能になり、ステージ中に出現する中間ポイントからやり直すことができます。そのため、先述したようなミスがリカバーしやすく、謎解きもじっくり考えることができます。

このモードは単なる初心者向けというだけにとどまらず、頻繁なリトライが苦手なプレイヤーにも適しています。パズルの難易度は変わらないので、有効にしておけば快適にプレイすることができるでしょう。

リメイクする意義はあったのか?そのリリースは適切か?
アクションパズルとしては楽しめる出来ですが、本作最大の問題点は「リメイクとして発売する意義があったのか」という点です。本作をクリアした筆者は、疑問を呈さずにはいられません。

本作はかなり原作に忠実なリメイクであり、ほとんどのステージが同じ体験です。一部配置の修正や画面が大きくなったことでの仕掛けの見やすさなどは向上したものの、細かい部分の変更にとどまります。なお、ドンキーコングステージ(ボス面)をクリアした後のCGが削られており、ワールドクリア時がやや味気なくなってしまっています。

このリメイクにおける付加価値としては、グラフィック・サウンドの刷新や2つの新規ワールド、快適性の向上などが挙げられます。いずれも良い改良ではありますが、リメイク作品として発売するほどのバリューがあるかと言うと、やはり疑問を感じます。新規ワールドの追加で多少はボリュームも増えていますが、2024年のゲームとしてはやや物足りません。

本記事で主張したいことは「昔のゲームが現行機で遊べるようになること自体は重要である」という点です。過去の作品に触れることで遊べるゲームの選択肢も増えますし、40年以上続くビデオゲームを文化として学びやすくなります。しかしながら、原作をNintendo Switch Online向けに追加せず、リメイクして5,000円以上の価格で提供するという展開は、適切なリリースであるように感じません。

他の任天堂作品のリメイク・リマスターを見てみると、『メトロイドプライム リマスタード』はゲームプレイはそのままですが、グラフィックを非常に美しく刷新したうえ、コンセプトアートまで描き直すほど作り込まれており、価格は4,200円です。『アナザーコード リコレクション』はニンテンドーDSとWii向けに発売されていた作品をひとつにまとめ、フル3Dへ表現を進化させた上に謎解きやストーリーも変更を加えていますが、販売価格は6,500円です。

『ゼルダの伝説 夢をみる島』は本作と似た立ち位置のリメイクですが、発売当時はNintendo Switch Online向けにゲームボーイタイトルが用意されていなかったという背景があり、現在は原作も遊べるようになっています。

本作の価格はその“中間”ですが、筆者としては物足りなさを感じます。新規ワールドのクオリティはたしかに優れていますが、プラスアルファ程度のボリュームにしかなっていないのです。

筆者としては、原作でプレイできた「カードe+ステージ」を遊べたのであれば、リメイクとしての価値があがったのではないか……と考えます。ファンからはリメイク版への収録が望まれていましたが、筆者が確認した限りでは収録されていません。

原作では「カードeリーダー+」という周辺機器でカードを読み取ることで特別なステージをプレイできますが、このカードはイベントやコミック雑誌の懸賞品であったため、サイトによっては何百万円単位で取引されるほど入手困難です。

こうした試みは、Nintendo Switch Onlineで遊べる『スーパーマリオアドバンス4』で実現されており、入手困難だったカードe+用コースも遊べるようになっています。そのため、どうしても「本作でも実現できたのではないか?」と思ってしまいます。

「リメイクした意義がまったくない」とまでは述べませんが、Nintendo Switch Online向けに提供せず、わざわざ5,000円以上の価格でリリースするほどの価値には至っていません。

総評:★★☆
良い点 ・カジュアルモードや操作性など向上した快適さ
・おもちゃのような可愛らしい敵グラフィック
・原作同様のクオリティの新規ステージ

悪い点
・ジャンプが低いことに対するストレス面での工夫がない
・リメイクとして、5,000円以上の価格でリリースするほどの価値を付けられていない



「Game*Sparkレビュー」ではハードコアゲーマーなライターから読者に向けて、オリジナルレビューをお届けします。対象となるタイトルはAAAからインディーまで、ジャンルやプラットフォームを問わず「ハードコアゲーマーのアンテナが反応するゲーム」です。

このレビューでは、3段階評価をベースに「良い点」「悪い点」を挙げながら総評を下します。最低評価は「難アリ/オススメできない」、中評価は「ふつう/そこそこオススメ」、最高評価は「とても面白い/とてもオススメできる」に当ります。「プレイレポート」として公開している記事では、本企画と同様の評価を付けません。また、記事の性質上、ストーリーなどの「ネタバレ」を含む場合がありますので、閲覧の際はご留意ください。

レビュー記事に使ったゲームは「編集部およびライターが購入した物」であり、デベロッパー/パブリッシャーから提供されるゲームソフトは利用しません。また、「Game*Sparkレビュー」は「PR記事」と一切の関係を結ばず、すべての評価内容がライターの価値観に基づきます。特定の企業やプロモーション、ユーザーコミュニティにも影響を受けません。

なお、マルチプラットフォームで展開されている作品においては、対応している機種のうちのひとつのエディションのみをプレイし、評価します。そのため、本文内でプレイした際の使用機種についても明記しています。

 
   

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