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ホンダの次世代EV「ゼロシリーズ」が成功するカギとは?

週プレNEWS

渡辺 ホンダに尋ねると、「ホンダeの役割は終わった」と説明されました。ホンダeは柔軟な発想で未来を見据えて開発され、インパネには液晶ディスプレイを並べました。液晶表示のカメラシステムは、ルームミラーだけでなくサイドミラーにも採用しています。それが今後はN‐VANをベースに開発されたEVの「N‐VANe:」も登場します。つまり、EVはもはや未来のクルマではなく、現代の商品になったから、ホンダeの使命は終わったと判断したようです。


デビューから3年で姿を消すこととなった「ホンダe」
――ホンダeの売れ行きは?

渡辺 20年の発売時は、ホンダeは1年間に1000台を売る計画でした。市販車では少ない計画ですが、実際の売れ行きは21年が約730台、22年は約370台、23年は約330台まで減っていました。

――販売不振も廃止の理由のひとつかも知れませんね。

渡辺 そこにホンダの課題があります。日本では総世帯数の約40%が集合住宅に住むため、自宅に充電設備を持ちにくいのが現状です。すなわち、EVを売るのが難しい環境です。そこにEVを根付かせるには、ユーザーと一緒に育てながら販売していく姿勢が不可欠です。

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――根づかせる前に今、ニッポン市場でホンダにEVのイメージってあります? 新型のWR‐Vにしても、ハイブリッドすら用意されずガソリンエンジン車のみです。

渡辺 そのとおり! 23年に国内で売られたホンダ車の40%近くがN‐BOX。国内販売トップを走る〝絶対王者〟のN‐BOXですが、WR‐Vと同様、マイルドハイブリッドを含めた電動機能が採用されていません。

フィットやフリードにはハイブリッドのe:HEVが用意されますが、フィットの売れ行きはN‐BOXの約25%です。現状だとホンダは電動やEVのブランドイメージは乏しい。せっかくホンダeを発売したわけですから、今後も改良を重ねながら販売を続けるべきでした。

――ホンダeにそこまでの価値がある?

渡辺 はい、大いにあります。EVの国内販売状況を見ると、日産サクラが圧倒的な1位です。23年の届け出台数は3万7140台で、軽自動車を含む乗用EV全体の40%以上を占めました。

EVは1回の充電で走行できる距離が短いと指摘されますが、軽自動車なら、充電設備を持てる一戸建ての世帯がセカンドカーとして使います。遠方への外出にはファーストカーを利用するため、軽自動車サイズのEVであれば、走行可能な距離が短い不満も生じません。そして長距離を走らないなら、電池容量も小さくできて価格も抑えられます。


ニッポン市場で売れに売れている日産サクラ
――それでサクラは人気を高めましたね。

渡辺 ホンダeも全長が3895㎜のコンパクトカーですから、セカンドカーの需要に応えられます。

――ただし価格が高い。

渡辺 ホンダeの最終型の価格は495万円ですが、装備を過剰なほど装着しています。そこで、装備のシンプルな仕様をリーフの最廉価グレードになるXよりも少し安い390万円で設定すると、国の補助金となる約70万円を差し引けば、約320万円で手に入ります。人気の高いプリウスGとほぼ同額で、売れ行きを伸ばす余地も生じるでしょう。

――要するに長く売ることが大切であると。

渡辺 近年のホンダの欠点は、ユーザーの不安を誘う商品戦略です。オデッセイやシビックは一度廃止して復活させ、CR‐Vは再び廃止しました。そして今後のCR‐Vは、燃料電池車で復活する予定です……。ユーザーが新型に乗り替えようとしても、車種が廃止と復活を繰り返したら不安でしょう。


2022年12月に生産終了した3代目インサイト
――確かに嫌ですね。

渡辺 以前のインサイトも同様です。初代は低燃費を追求して、その廃止から3年後に登場した2代目は、価格を徹底的に安くしました。2代目の終了から4年後に発売された3代目は、上質感を表現したと述べています。

しかしユーザーは、生産の中断と頻繁に変わるコンセプトに付いていけません。先に述べたホンダeの「使命は終わった」という廃止理由も、ユーザーが聞けば寂しく感じるでしょう。メーカーは生産を終えても、ユーザーはそのクルマを使い続け、子供や孫に相当する後継車種にも乗りたいのです。


EVミニバン「スペースハブ」のリア
――ちなみにホンダゼロシリーズは2026年より発売されるグローバルカーです。ズバリ、成功のカギは?

渡辺 ホンダはユーザーの気持ちを理解しないと失敗に終わります。逆にホンダがユーザーに対する愛と理解を取り戻せば、私はホンダがEVで成功することは十分に可能だと思っています。

写真提供/本田技研工業 日産自動車

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