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『ブギウギ』は『あまちゃん』『ひよっこ』寄り? “サクセスもの”ではないスズ子の描き方

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『ブギウギ』写真提供=NHK

 朝ドラことNHK連続テレビ小説『ブギウギ』を観ていてずっと不思議に思っていたことがある。

参考:『ブギウギ』を貫く“さよならだけが人生だ” 戦争と地続きの戦後を描く意義

 主人公スズ子(趣里)が自分の仕事について思いをはっきり言葉にしないことである。

 スズ子は語らないが、第21週「あなたが笑えば、私も笑う」では、タナケン(生瀬勝久)と茨田りつ子(菊地凛子)が自分の仕事に対する矜持をガツンと語っていた。

「続けるしかない。邪魔されようが誤解されようが芸で伝えるしかない。生き方でわかってもらうしかないんだよ。歌手も役者も」(第99話/タナケン)
「上等じゃない。人気が欲しくて歌ってるわけじゃない。客なんてひとりでもいいのよ。たったひとりでも一生忘れられない歌、聞かせてあげるわ」(第100話/りつ子)

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 なかなかしびれる覚悟である。羽鳥(草彅剛)もかつて、「音楽は時世や場所に縛られるなんてばかげている。音楽は自由だ。誰にも奪えないってことを僕たちが証明してみせよう」(第65話)と熱く語っていた。

 みんな、音楽や芝居に信念を持っているのである。ところが、スズ子は主人公にもかかわらず、自分がいかに歌が好きか、ブギにどれほど魅了されているか、ステージに立ち続けることがどれだけ大変なことか、ということをまったく語らないのだ。

 スズ子がまだ若く、芸能の仕事をはじめたばかりの頃だったら、師匠のような羽鳥やタナケンや、たぶんちょっと年上のりつ子(モデルの淡谷のり子が7歳年上だった)に信念を教わって成長していくことになるという物語として、語らずともナットクはできる。だが、「東京ブギウギ」「ジャングル・ブギー」「ヘイヘイブギー」がヒットした1948年、スズ子のモデルの笠置シヅ子は34歳で、キャリアも随分積んでいる。

 たとえ、スズ子がなんとなくはじめてしまった仕事だとしても、やっているうちに、自分なりの心構えやノウハウみたいなものは出来上がってくるものだろう。まして、第一線でやっているのだから。その思いを聞きたかった。ところが、スズ子にはそういうところがまったくない。だからこそ、誰にでも親しみやすい存在になり得ているといえるのだろうけれど。

 第21週では、いつの間にか、舞台のみならず、映画にも進出することになっているにもかかわらず、その葛藤がじつにあっさりしている。だが、仕事への信念が省かれている分、スズ子の、愛子(小野美音)への執着が手厚く描かれている。スズ子はかたときも愛子から離れたくなく、仕事場に連れてきて、でも仕事中は誰かに見てもらうしかないため、トラブルが起きてしまう。

 ここで、スター笠置シヅ子伝説に縛られると、『ブギウギ』を読み間違う。『ブギウギ』とは、歌や演技よりも、我が子を大事にするヒロインの物語なのだ。どうして我々は読み間違えてしまうのだろう(いや、私は読み間違えてない、ちゃんとわかっている、という人にはすみません)。

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