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『不適切にもほどがある!』市郎と純子の身に起きた悲劇 錦戸亮がダンスと歌で存在感発揮

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『不適切にもほどがある!』©︎TBS

 「チョメチョメ」やら「おっぱい」やら、そんな言葉が飛び交うこのドラマでまさか泣かされるとは。いや、下世話で不器用なところも包み隠さない人間味溢れるこのドラマだからこそ、ストレートに心を打たれてしまったのかもしれない。

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 金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)第5話は、ついに市郎(阿部サダヲ)と渚(仲里依紗)が実の祖父と孫であることが判明する。それは同時に、渚の母であり市郎の娘・純子(河合優実)が「1995年の阪神・淡路大震災で亡くなった」という話とつながってしまうことを意味していた。

 渚の父で純子の夫・ゆずる(古田新太)の若き日の姿が、面影のまったくない錦戸亮が演じていることこそクスッとさせられたものの、そのあまりにも悲しい事実に複雑な感情を抱かずにはいられなかった。市郎にとっては少しだけ未来の、まだ見ぬ純子の人生がゆずるの口から語られる。不良の道から足を洗い、大学に進学したこと。女子大生ブームに乗ってモデルの仕事をこなすなど、充実した日々を過ごしたこと。そしてゆずると出会い、大学4年生のときに渚を身ごもったこと。

 もちろん、昭和の頑固親父である市郎は2人の結婚に猛反対。ゆずるもゆずるで、結婚の許しを乞うキレキレのダンスを披露するなどクセの強さを発揮するものだから、渚が生まれてもすぐに抱っこすることはなく、溝は深まる一方だったという。そんな2人の関係性が修復されるきっかけとなったのが、ゆずるがテーラーとして一人前になったことだった。最初に仕立てるのはお義父さんのスーツ。そう決めていたゆずるは、心を込めて市郎に手紙を出す。テーラーのある、神戸行きの新幹線の切符も添えて。その話を聞いた時点で、多くの視聴者はきっと嫌な予感を覚えたに違いない。そう、阪神・淡路大震災で亡くなったのは、純子だけではなかったのだ。

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 1995年1月16日、純子に連れられてゆずるの店までやってきた市郎。そのとき、初めて渚を抱っこすることもできた。ゆずるは緊張しながら何度も採寸の手順を間違えてしまうのだが、そのぎこちなさもまたこれまで離れていた2人の距離を縮める時間を与えるものだった。ついには日帰りの予定だった市郎の、帰りの新幹線には間に合わなくなってしまう。そこで朝方まで純子と3人で飲み明かしたのだという。そして、朝の5時46分にあの大きな震災が起こって……。

 おそらく多くの視聴者と同じく、市郎もその結末を予想していたに違いない。だが、自分が死ぬという日の詳細を、ましてや最愛の娘と共に迎える最期の日についてなど、冗談でも聞きたくなかったのではないだろうか。ゆずると離婚して南フランスに行っている嘘の話に騙されてみせたのも、「俺は(ゆずるのお店には)行かなかったんだろ?」と茶化してみせたのも、そんな心境の表れだったように思うのだ。

 そんな受け入れがたい事実と直面するときこそ、ミュージカルパートという新技が効いてくる。ゆずるにとって、てこずった採寸はやっと打ち解けることができた義父との一番の思い出とも言える。だが一方で、もし自分がもっとスムーズに採寸ができていれば、震災に巻き込まれなかったのではないかという心苦しさもあっただろう。「でもよかった。ちゃんと打ち解けて、仲直りして、酒飲んだり、孫抱っこしたり。そういうの一通りあるんだ、これから! ハハハ、楽しみだ」と、気丈に振る舞う市郎。本来、彼が生きる1986年から、あと9年後のことだ。自分と娘の運命を知ったショックを受けながらも、ゆずるを思う器を見せた市郎。その強さに、グッときてしまった。

 さらに「で、背広は?」と、ゆずるの願いを叶えるべく、肝心のスーツを持ってくるように促す。そのひと針ひと針に、どれだけの気持ちがこもっているのかと想像すると、胸が押しつぶされそうだ。こんな奇跡のタイムスリップがなければ一度も袖を通されることのないはずだったスーツを、笑顔でサラッと着こなしてみせる市郎。それを感慨深く見つめる渚。あれだけコンプラを一切無視して言いたいことを言い放ってきた市郎だが、すべての言葉を飲み込んだ表情にまた涙腺が刺激された。

 人生は正しくてスマートなことだけが美しいわけではない。無骨でも、非効率的でも、どう一瞬一瞬を一生懸命に生きたか。その積み重ねがその人らしさを形成し、生き様になる。そんなことを考えさせられた。

 八嶋智人が土曜の午後の番組MCに就任し「調子に乗ってる」「不審な動きはきっと不倫だ」なんて言われながら、実はこっそりとけん玉を特訓していたこともそう。令和で不登校だったキヨシ(坂元愛登)が、昭和で学校に来られていないクラスメートのためにラジオを通じてメッセージを送ろうと、地道にいくつもの番組にハガキを出していたこともそうだ。たとえ、そのまま誰からも承認されなかったとしても、いやむしろ人知れず行なったことこそ、自分自身の芯を作る誇りとなっていくのかもしれない。

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