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「バドミントン選手⇒人材会社経営」元アスリートが引退して気づいた“セカンドキャリアの難しさ”

日刊SPA!

 たゆまぬ研鑽の末、常人では考えられないパフォーマンスを見せるトップアスリート。だが、体が資本であり、いずれは己のセカンドキャリアと対峙することになる。
「自身の将来を考えるとバドミントンを諦めざるを得なかった」と語るのは、3年前までバドミントン選手として実業団に所属していた古屋玲氏。現在は人材会社を経営する古屋氏に自身の「引退」との向き合い方や、日本のアスリートたちが引退後に直面する課題について聞いた。

◆全国大会ベスト16のプロアスリートから、突如引退を決意

 2020年まで、実業団チームに所属するバドミントン選手として活動していた古屋氏。地元・山梨県で小学校4年生からバドミントンを始めたところ、才能が開花。県内一の強豪高校に特待生として入学後も実績を重ね、神奈川大学にスポーツ推薦で入学した。

「大学時代から『バドミントン選手として頑張っていきたい』という考えがあったので、卒業後は旭工芸という会社の実業団チームに加入しました。当時のチームは、サッカーでいえば、Jリーグ2部であるJ2の3~4位くらいのレベルでした。僕自身の現役時代の記録は全国大会ベスト16です」

 スポーツに打ち込み、キャリアを重ねたきた古屋氏だが、2020年に25歳で引退を決意した。

「きっかけは、コロナ禍で予定していた試合や大会などがキャンセルされるなか、『本当に自分はこのままアスリートを続けていていいのか』と不安になったからでした。その後、会社を辞めて、かねてから興味のあった人材業界で起業することを選びました」

◆トップ選手じゃないと「食えない」という実情

 スポーツ選手には「2つの障壁がある」という古屋氏は指摘する。その1つは金銭面。

「実業団選手は大会でいい成績を残しても、給与には反映されないケースがほとんどです。僕の場合は、初任給はほかの同期の正社員と同じで、月に約22万円でした。生活は十分できる金額ですが、遠征先での滞在費用や体のメンテナンス費用など出費も多かったので、生活には余裕はありませんでした。そんな日々を送るなか、『自分が結婚した場合、子供をちゃんと養えるのだろうか?』と不安になったことも次のキャリアを考えた理由です」

 また、古屋氏は、「そもそも競技に人生をささげてきたアスリートで、食える人は一握り」と続ける。

「野球のようなメジャースポーツであっても、独立リーグの選手などはバイトしながら試合に出ています。バドミントンのような競技人口が多くないスポーツの場合は、状況はもっとシビアです。僕はトップ選手である桃田賢斗選手と同年代なのですが、バドミントンだけで食べていけるのは、彼のようなトップ選手を含めた上位十数人だけじゃないでしょうか」

 現役選手として活動する以上は、当然自分もトップ選手になりたいと願うのは当然のこと。古屋氏の場合も同じような思いを抱いたが、実際に桃田選手をはじめとする、第一線の選手たちとも試合を重ねた結果、その願いは打ち砕かれたという。

「コテンパンにやられて、まったく歯が立ちませんでしたね。上に行けば行くほど、すごい選手と実際に試合する機会が増えるので、『努力では埋められない差ってあるんだな』と自分の実力のなさを痛感させられました」

◆引退後の「やりがい」が何もない状態に

 経済的な面のほかに、もう一つ、アスリートの目の前に立ちはだかる障壁となるのが精神的な問題だ。

「多くのアスリートは、それまでの人生でスポーツしかやっていません。でも、若い世代が追い上げて、体が老いてくれば、当然、将来のことをいつしか考えなければならない。そして、20代後半くらいになって初めて『自分はスポーツ以外のことを、何も知らない。引退後、自分はどうやって生きて行ったらいいんだろう』と悶々としてしまうんですね」

 実業団に所属する選手の場合は、頑張って会社で出世し、給与を上げるという手段もあるが、現役選手でいるうちはそれもなかなか難しいと古屋氏は感じたという。

「僕の会社の場合、評価制度は、ほかの社員と変わらずに平等に行われていました。ただ、通常の就業時間後は週3~4回は22時くらいまで練習があるので残業できないし、大会があるときは仕事を休むしかない。そうなると、やっぱり大きな仕事は任されにくいですよね。この状況でこの会社で出世なんてできないだろうなと、薄々感じてはいました」

◆アスリート人材には「極める力」がある

 現在はアスリートのセカンドキャリア支援なども行う古屋氏。現役の選手たちに、次のようなエールを送る。

「本来ならば、引退後、監督やコーチとしてその世界に残ることができれば理想的ですが、その席にも限りがあるので、大半の人は自分の大好きだったスポーツと離れる覚悟は必要です。ただ、第一線で活躍してきたアスリート人材には、ひとつのことを極める力があります。実際、僕の知人にも、現役引退後にトップ営業マンになったという人もいます。環境は違っても、新たに自分の興味関心を引く存在に出会えれば、アスリート人材は活躍できます」

 だからこそ、「現役時代のうちから、新たな選択肢を知っておいてほしい」と古屋氏は強調する。

「元アスリートとして、第2の人生に悩んでいるアスリートがいれば助けたいという思いは強くあります。ひとりで悩まずに気軽な気持ちで相談してほしいと思います」

 
   

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