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【クイーンC回顧】クイーンズウォークが示したスケール感 マイルより中距離路線で期待大

SPAIA

中距離型を多く出す重賞

桜花賞は8週間後。我々の感覚では春はまだまだ先のように感じるが、8週間は競馬の世界ではすぐそこといっていい。競馬で消耗した体力を回復させ再始動し、体調をピークにもっていく。そんな一連のアプローチはひと月では足りないかもしれない。外ラチのこちら側と向こう側では、流れる時間は同じでも肌感覚は大きく異なる。クイーンCから桜花賞直行がベストローテになる日もくるか。

とはいえ、クイーンCから桜花賞を制した馬は2022年スターズオンアース1頭で86年以降【1-4-5-45】。ただ、スターズオンアース(クイーンC2着)が出た以上、もはや勝てないローテではなくなった。時代の変化には敏感でありたい。一方、クイーンCからは昨年のハーパーや21年アカイトリノムスメ、19年クロノジェネシスなど中距離向きの馬が多く出現する。

今年の勝ち馬クイーンズウォークはレースぶりから明らかに距離延長でさらなる素質を開花させそうだ。前後半800m47.1-46.0と変則的ではあったが、スローペースのなか、4コーナー11番手から大外一気を決めた。遅めのマイル戦でも前半、流れに乗らないあたり、明らかにマイラータイプではない。変則ラップで必ずしも先行優位とはいえない競馬だったので、流れと逆の競馬をしたとはいえないが、スケール感は申し分ない。


最速ラップは残り600~400m

母ウェイヴェルアベニューといえば、フランケル産駒の持ち込み馬グレナディアガーズの印象が強い。母も7ハロンのGⅠであるBCフィリー&メアスプリントを制し、得意は1400~1600mだと考えていたが、父がキズナにかわり、クイーンズウォークは中距離の方が走りやすそうだ。

キズナは牡馬だとパワー寄りに出るが、牝馬ならソングラインなど切れ味鋭い産駒を出す。この日も上がり600mはメンバー中最速の33.4。ゴール前の脚色は一枚上だった。兄は2歳GⅠ制覇後、春は足踏みしてしまったが、底力勝負になるGⅠでは、実際の距離より少し長めの適性が問われる。ならば妹がクリアしてもおかしくあるまい。

変則的なラップとは、後半800m11.6-11.1-11.6-11.7のうち、2番目の残り600~400m11.1を指す。東京や新潟で先行勢が瞬発力勝負を嫌い、早めに勝負に出ると、このように最速区間が手前に動く。東京でいえば、4コーナー出口から坂下にあたる。この地点で11.1を出せば、坂を上がったラスト200mが遠く感じる。後半11.6-11.7と踏ん張る形になったことで、クイーンズウォークら差し馬勢に展開が向いたのは事実だ。スケールを評価しつつも、この点は覚えておこう。やはり、勝ち馬は中距離がよさそうだ。桜花賞はどれほど消耗戦になるかにかかっている。


気長に待ちたいサフィラ

2着アルセナールは上記ラップを踏まえれば負けて強しの内容だった。序盤から馬群のなかでタイトな競馬を強いられ、最後の直線も残り400~200mにかけ、狭くなる場面があり、能力全開とはいかなかった。2着で賞金加算には成功したが、桜花賞出走は状況による。それだけに痛い敗戦となってしまった。とはいえ、1戦1勝で重賞2着だから素質は十分に感じられた。母サンブルエミューズは毎年、重賞レベルを送る優秀な繁殖牝馬だ。半姉ナミュールはクラシックで善戦しながら4歳秋にGⅠをつかんだように、成長力もある。

3着ルージュスエルテは逃げて2連勝中だったが、今回は一変、後方から追い込んできた。得意パターンを決めるのは早計だったか。ゲートをゆっくり出て後方追走。先行勢に厳しい流れもアシストした。展開に恵まれた面も多分にあるが、最後に切れる脚を使えたのは収穫だった。

2番人気サフィラは9着に敗れた。最終追い切りで負荷をかけなかった理由はマイナス10キロの馬体重ではっきりした。陣営は体調の維持に苦心したと推測できる。直線では手応えがなく力を出していない。今回の凡走で桜花賞出走は状況次第だが、桜花賞までの期間、どれほど回復させられるかにかかっている。母サロミナの牝馬は3歳春に体力がつききっていないことが多い。そういった意味でも急かさず、気長に待ちたい。



ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース個人オーサーを務める。新刊『キタサンブラック伝説 王道を駆け抜けたみんなの愛馬』(星海社新書)に寄稿。

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