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『さよならマエストロ』“響”芦田愛菜が音楽をやめた真相 家族であり続けることの難しさ

Real Sound

日曜劇場『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』©︎TBS

 『さよならマエストロ~父と私のアパッシオナート~』(TBS系)第5話でオーケストラの演奏は小休止。代わって高座に上がったのはリアルの世界で活躍する落語家・柳亭小痴楽で、軽妙な語り口で笑いを誘った。『不適切にもほどがある!』(TBS系)第3話の八嶋智人に続く本人役での出演は、現実とフィクションの境界線を越えてうれしいサプライズとなった。

参考:『さよならマエストロ』石田ゆり子が妻の本音を激白 西島秀俊、玉山鉄二と三角関係に

 古谷(玉山鉄二)が志帆(石田ゆり子)にプロポーズしたことを知った俊平(西島秀俊)は動揺して落ち込む。響(芦田愛菜)から、晴見フィルが解散したらウィーンに帰るのかと聞かれた俊平は離婚したくないと語るが、響は「私には関係ない」と突っぱねた。俊平が瑠李(新木優子)といるところを目撃した響は、腹を立てて家出してしまった。

 俊平と響の親子げんかに巻き込まれているのが長男の海(大西利空)だ。個性的な両親と姉の陰でおとなしめな印象があるが、察しの良い海は夏目家の状況に心を痛めている。目の前でギスギスしたやり取りを見せられて愚痴をこぼすのも無理はない。両者の仲を取り持とうとするのは海なりの気遣いだが、その海も、俊平がヘマをやらかしたことで我慢の限界に達してしまった。

 100の家族があれば100の違う形がある。夏目家を見て感じるのは、家族であり続けることの難しさだ。俊平や志帆のように自分の世界を持っていると、共同体としての家族は妥協の産物になりがちだ。それぞれの妥協を持ちよってできた家族は、互いのことがおろそかになって意思疎通が不十分だと、往々にして空中分解しかねない。

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 家族の形に正解はないけれど、食卓を囲んで会話する大輝(宮沢氷魚)の一家のように、一緒にいる時間を作ることは家族を続けるための知恵といえる。海まで出て行ったことで俊平は完全に父親失格の烙印を押されてしまった。俊平に足りていないのは周囲の人々の気持ちを理解することで、一方で音楽に関しては常人にうかがい知れない天才を発揮する。その犠牲になったのが響だった。

 続けるのもやめるのも地獄。「10代でとてつもない緊張感のなかにいて、10代でからっぽになって、そのあとそれ以上の興奮も喜びも見つけられない」「ファーストキャリアがピークで人生が終わる」と蓮(佐藤緋美)は響の境遇を思いやる。俊平のことが大好きで天才少女と呼ばれた響が、勝つために自分を追い込んで壊れてしまう過程は胸が痛くなる。父との共演まであと一歩のところで響の心は折れてしまった。目の前にあったのは巨大な壁で、愛する人は自分を脅かす化け物に変わっていた。自分を守るために響は音楽をやめざるを得なかった。

 今作の芦田愛菜はいつになく不機嫌だ。響は推しの小痴楽の演目を聞いている時以外は常に仏頂面で、ことさら俊平の前でその表情は険しくなる。何かを守るように警戒心を解かず、いらだちをぶつける言動は一見すると「思春期」だが、深い理由があることが伝わってきた。自分の感情を持てあます響は悩みの渦中にいて、今も答えを探している。そこに投げ込まれたのが俊平という火種だった。自身に災厄をもたらした俊平への態度は嫌悪というより、どんな表情をしていいかわからないのが本心ではないだろうか。

 大輝役の宮沢氷魚は『ちむどんどん』(NHK総合)でもそうだったように大人数の食卓が似合う。祖父の二朗(西田敏行)が俊平に語ったとおり「二十歳の娘さんに父親がしてやれることなんてそうそうない」。ちょうど良いタイミングで大輝は響に手を差し伸べた。若い二人がどうなっていくかは、俊平との関係にも影響を与えそうだ。

 コンサートの休憩時間のような第5話は家族の姿を映す間奏だった。大輝と天音(當真あみ)の家族関係も描写され、このドラマが共通の背景を持ついくつもの家族の物語であることが示唆された。元マネージャー鏑木晃一(満島真之介)によって俊平の活動再開につながる布石も打たれた。ドラマは中盤にさしかかり、役者も勢ぞろいして物語は新章へ進む。

(文=石河コウヘイ)

 
   

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