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【週末映画コラム】もしこの映画がアカデミー賞の作品賞を得たら…『哀れなるものたち』/孤独なタクシー運転手と難民の少年の交流を描いた『白日青春 生きてこそ』

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『白日青春 生きてこそ』(1月26日公開)

 パキスタンから香港へやって来た難民の両親の間に生まれ、香港で育った少年ハッサン(中国名:青春)は、家族と共にカナダへ移住することを夢見ていた。ところがある日、父が交通事故で亡くなり、その夢は奪われてしまう。

 ハッサンは難民のギャング団に加わるが、警察のギャング対策に巻き込まれて追われる身となる。

一方、1970年代に中国本土から泳いで香港に密入境したタクシー運転手のチャン・バクヤッ(白日)は、警察官として働く息子との関係がうまくいかずに悩んでいた。

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 バクヤッはハッサンの逃亡を手伝うことを決心し、2人の間には絆が芽生え始めるが、やがてハッサンはバクヤッこそが父の命を奪った事故を引き起こした運転手だったと知る。

 香港を代表する名優アンソニー・ウォンが主演し、孤独なタクシー運転手と難民の少年の交流を描いたヒューマンドラマ。

 映画初出演となるパキスタン出身のサハル・ザマンがハッサンを演じ、本作が長編第1作となる香港の新世代監督ラウ・コックルイ(中華系マレーシア人4世)がメガホンを取った。

 香港と中国本土との関係の難しさ、パキスタン難民の厳しい生活という二つのテーマを、二組の父と息子の物語に仮託して重層的に描いている。

 中華系マレーシア人のコックルイ監督は「この映画は、父の愛を渇望する息子と、息子を理解しようともがく父親の物語。自分の移民としての経験や思いを注ぎ込んだ作品を観客に見てほしかった」と語る。

 主演のアンソニー・ウォンは「ここまでとことん自分勝手で無責任な偏屈野郎の役は初めてだ」と言いながら、喜んで演じたという。そんなウォンが発する「俺はより良い場所に住みたいだけなんだ」「俺はいい人になりたいだけなんだ」というせりふが、不器用なバクヤッの正直な気持ちを伝えて心に残る。

 ちなみに、劇中に登場する、中国・清代の詩人・袁枚(えんばい)の「白日不到處、青春恰自來」という漢詩が、本作のタイトルの基になっているようだが、2人の主人公、白日と青春とのダブルミーニングになっているのも面白い。

 本作は、コックルイ監督の長編デビュー作ということで、多少、粗削りなところはあるが、静かなパワーを感じさせる作品に仕上がっている。

(田中雄二)

 

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