安倍晴明に「やばい」恋の修羅場があった!?歴史解説書の「お堅いイメージ」をぶっ壊す『やばい日本史』が面白い!
安倍晴明に「やばい」恋の修羅場があった!?歴史解説書の「お堅いイメージ」をぶっ壊す『やばい日本史』が面白い!
日本史は難しい。いつ、どこで、何が起こったのかを覚えるだけでも大変なのに、〇代目などと同じ苗字の登場人物が多数現れ、学ぼうとするコチラのやる気を粉々に打ち砕いていく。ゆえに苦手意識を拭えぬまま、「まあでも社会に出たら使わ […]

日本史は難しい。いつ、どこで、何が起こったのかを覚えるだけでも大変なのに、〇代目などと同じ苗字の登場人物が多数現れ、学ぼうとするコチラのやる気を粉々に打ち砕いていく。ゆえに苦手意識を拭えぬまま、「まあでも社会に出たら使わない知識だし」となあなあに学生時代を終えてしまった方も多いだろう。
ところが、現実はそう甘くない。イケメン戦国武将を題材にしたゲームや大河ドラマが人気を博している昨今、実際問題として「まったく知らない」では済まされない場面も増えてきた。日常会話で当たり前のように偉人の名前が出るたび冷や汗をかいてしまう。とはいえ、今更勉強を始めるのは気が重い…。そんな悩める人々にこそお薦めしたい本が、『東大教授がおしえる やばい日本史』だ。

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

監修者の本郷和人氏いわく、どんな人物にも「すごい」一面と「やばい」一面があるという。例えば、「264年続く江戸幕府を開く偉業」を成し遂げた徳川家康には、「戦でビビッて脱糞した黒歴史」がある。本書は、こうした正と負の両方のエピソードを、時代の流れに沿って38人分、ふんだんなイラストを添えつつ解説している。
歴史の授業を退屈に感じながらも、教師が所々に挟む「教科書に書いてないけど~」系の小話は嫌いじゃなかった貴方なら、きっと気に入るはず。せっかくなので、この本の魅力をさらに知ってもらうためにも、取り上げられている中から3人分の「やばい伝説」をかいつまんで紹介させてほしい。

安倍晴明

平安時代、朝廷には占いや悪霊退治を専門とする部署・「陰陽寮」が存在した。そのなかでもとびぬけて優秀だった陰陽師が安倍晴明である。フィギュアスケートの羽生結弦選手がプログラムのモチーフとして採用したことも記憶に新しく、今や彼の名前を知らない人のほうが少ないだろう。
その能力たるや凄まじく、皇族や貴族の権力争いが過熱する中で、花山天皇や藤原道長のピンチを何度も救ったと伝えられている。お偉方から支持を集めたとなれば、さぞ順風満帆な人生を送っていたに違いない…と思いきや、そんな清明にも平等に「やばい」出来事は待ち受けていた。唐の仙人のもとで修業を積んでいる最中、あろうことか弟子である蘆屋道満に自分の妻を寝取られてしまったのだ。

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

さて、ここからの展開が凄まじい。ことの発覚を恐れた道満は妻と結託し、なんと師匠を呪文で殺してしまう。しかし、晴明は負けじと不思議なパワーで復活! 逆に2人を「殺し返す」に至った…今一度確認するが、SF小説ではなく日本史解説書の中に登場する話だ。これを教室で習っていたらもう少し興味を持てたのにと、若干悔しい思いもしてくる。

伊達政宗

伊達政宗は、幼少期に病気で右目の視力を失った。そのためか、当時はすぐに泣いてしまうような気弱な性格の少年だったそうだ。しかしある日、見かねた家臣の片倉小十郎に体を押さえつけられながら、刀で右目をえぐり出されてしまう。この出来事がきっかけで踏ん切りがついた彼は、のちに「独眼竜」と呼ばれる勇猛な武将へと成長していったという。
この時点ですでに相当やばい話だが、さらに耳を疑うような逸話がある。23歳のとき、政宗は豊臣秀吉から打倒北条家の援軍要請を受けるものの、すでに伊達家と北条家が同盟を組んでいたため、どちらに味方するべきか大いに悩む。その後、ようやく豊臣側へつくことを決めた頃にはすでに戦も終わりかけており、結果として「大遅刻」となってしまった。このままでは秀吉にあわせる顔がないと考えた彼は、なんとか機嫌を取ろうと死に装束を身にまとって駆け付け、あろうことか「母に毒を盛られたため遅れた。申し訳ないので死ぬ覚悟で来た」と大ウソをつく。この奇策が功を奏し、命からがら許されたのである。

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

しかも、これほど痛い目を見たにもかかわらず、政宗は翌年に再びやらかす。秀吉に対して反乱を起こそうとした結果、実行前にバレてしまったのだ。取返しのつかない状況を挽回するべく、彼はまた死に装束を身にまとい…それでも足りないと考えたのか、今度はなんと「金ぴかのはりつけ台」を引きずりながら町中を歩いて秀吉のもとへ向かった。そして謝り倒し、再び許されたという。ここまでくると、許してしまう秀吉もやばい気がしてならない。

夏目漱石

本書は、明治時代以降に活躍した人物についても紹介している。そのうちの一人が夏目漱石だ。『吾輩は猫である』『こころ』などの名作を生みだし、師としても芥川龍之介や内田百閒などの有名作家を育て上げた彼は、日本の現代小説の礎を築いた偉人である。
が、そんなスゴい漱石にも、一つだけ「やばい癖」があった。それは、「執筆中に自分の鼻毛を抜き、原稿用紙に一本一本並べて貼り付ける」というもの。なお『吾輩は猫である』の中にも、珍野 苦沙弥(ちんの くしゃみ)という登場人物が鼻毛を抜き、自分の妻に見せつけるというシーンが存在する。苦沙弥のモデルは漱石自身であるといわれているが、彼も奥さんに同じことをしていたのだろうか。

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

和田ラヂヲイラスト 『東大教授がおしえる やばい日本史』 ダイヤモンド社刊

加えてさらにやばいのが、その毛をコレクションしていた弟子の内田百閒。彼は後に『漱石遺毛』というタイトルのエッセイまで書き、それぞれの色や長さについて言及するほどの漱石マニアだった。「慕われていた証拠」と結論付けるにはいささか破天荒すぎるエピソードに、思わず吹き出してしまう。

いかがだったであろうか。とんでもない話ばかりではあるものの、だからこそ読みたいと思ってもらえたなら幸いだ。「親しみを抱く」ことから生まれる知識欲は、学びにおいて重要な武器となる。これから日本史を勉強したいが何から手をつけるべきかかわからないという場合には、ぜひ本書を選択肢に入れてほしい。

文 / 佐藤太亮

『東大教授がおしえる やばい日本史』

監修:本郷和人
イラスト:和田ラヂヲ
マンガ:横山了一
執筆:滝乃みわこ
ページ数:184頁
価格:¥1000+税
発売元:ダイヤモンド社
内容:東大教授・本郷和人先生による、まったく新しい歴史学習本が登場。歴史上有名人の「すごい」一面と「やばい」一面を紹介。今までにないふざけた切り口でありながら、学術的にしっかりした内容で、楽しみながらいつのまにか日本史が“ざっくり”わかってしまいます。

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(更新日:2019年1月6日)

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