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『セクシー田中さん』“危険”な魅力を漂わす前田公輝 人の本音を白日の下に晒す存在に

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日曜ドラマ『セクシー田中さん』©︎芦原妃名子/小学館/NTV

「ぶっちゃけ、男の学歴・年収と女の若さ・かわいさは等価交換。どっちもどっちでしょ」
「でも俺……何が欲しかったんだっけ?」

参考:木南晴夏×生見愛瑠『セクシー田中さん』が“信頼できる”理由 弱い自分の先にあるもの

 常に飄々としているが、合コンで出会ったばかりの朱里(生見愛瑠)にすぐさま猛アプローチをかけたかと思えば、保険で他の女の子にも誘いをかける打算的で人情に欠けたところがある小西。普通の恋愛ドラマなら、モブキャラで終わりそうな彼の存在が物語により深みを持たせている。

 もともと、朱里と小西は“似た者同士”だった。「若くてかわいい」という自分が持っている市場価値に自覚的で、それに見合うだけの無難な幸せをくれそうな男性を結婚相手として探していた朱里。小西は「若くてかわいい」という価値を誰よりも認めてくれる上に、「年収300万以上」「ギャンブルや借金をしない」「モテすぎない人」といった朱里が結婚相手に求める条件を優にクリアしている。相手をスペックで選ぶ2人にとっては、ラッキーとしか言いようがない状況。あとは機が熟すまで、出来レースのような恋愛に身を委ねておけばいいのだから。

 だけど、予想外の出来事が起きた。朱里が会社で密かに気になっていた田中さん(木南晴夏)のもう一つの顔を知ってしまったのだ。昼間は地味なアラフォーOLだが、夜はセクシーなベリーダンサーに変身する田中さん。いつの間にか“市場価値ゲーム”にどっぷりと浸かっていた朱里にとっては、どんな時も凛と背筋を伸ばし、他人の評価から自由であろうとする田中さんの姿は衝撃だったに違いない。そうして自分を尊重し、他人のことも同じように尊重する。だからこそ他人からも尊重される、良い循環の中にいる田中さんの背中を朱里は手探りで追ってきた。

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 そんな朱里を、なぜか諦めずに追い回してきたのが小西だ。朱里も最初は適当にあしらってきたが、小西は相手に「悪い気はしない」と思わせる天才である。人一倍気を遣えるし、いついかなる状況でも相手がその時、欲しいと思った言葉をくれる。そういう存在に、朱里のような自己肯定感が低い人はめっぽう弱い。

 とはいえ、視聴者の中にも小西に惹かれてしまったという人は意外と多いのではないだろうか。それは演じる前田公輝の手腕によるもので、危険信号はビシバシと感じるのに、自分にだけは誠実という一縷の望みに賭けてみたくなるような、絶妙なキャラクターを彼はここまで体現してきた。特に前田は表情管理が完璧。いつもは張り付いたような笑顔を浮かべているのに、ふとした瞬間に本気(マジ)な顔になるから朱里も視聴者も思わずドキッとしてしまう。それもまた、小西の策略のうちなのだけど、分かっていてもまんまとハマってしまう状況を作り出すのが本当に上手だ。

 そんな小西が初めて素に戻ったのが、朱里に「人が“嫌だ”って言ってることをわざわざやるのはDVと根っこが一緒だよ」と言われた瞬間。ここでも小西の表情がかなり印象的で、痛いところを突かれ、苦痛と静かな怒りで歪めたその顔にこちらまで胸が痛くなった。

 小西が進吾(川村壱馬)と飲みに行こうとしたことで初めて朱里と喧嘩になってしまった第7話で印象に残っている言葉がある。それは、落ち込む朱里に田中さんが教えた映画『マダム・イン・ニューヨーク』の「恋は要らないの。欲しいのは、尊重されること」という台詞だ。「若くてかわいい」うちに結婚して、手堅く無難な幸せが手に入ればいいと思いながらも、心の中ではずっと「心から愛されたい」と叫んでいた朱里。それはきっと、小西も同じだったのだろう。もともとあまりモテるタイプではなく、好きな人も両思いになれなかった小西。大人になってブランド価値の高い学歴と収入を手に入れて、一度はフラれた相手に振り向いてもらえたが、中身で好きになってもらえたわけじゃない。その傷つきは諦念に変わり、いつしか自分も相手をスペックでしか見ることができなくなってしまった。

 そんな虚しさを埋めてくれたのが朱里だったのではないだろうか。「若くてかわいい」だけと思っていた朱里は自らを変えようと必死で、ゆえに行動が人とズレているところもあるが、そこが小西にとっては愛おしくて堪らない部分になっていた。からかわれて、むくれた朱里の表情を見て「その顔……好きすぎる!」と思わず心の声を漏らした小西。あの瞬間のくしゃっとした笑顔は、何を考えているかわからないいつもの小西の笑顔とは全然違った。それこそ「好きすぎる!」。

 前田が演じることで、さらに魅力を増した小西は私たちに「人は変われる」ということを教えてくれる。ようやく市場価値ゲームから抜け出した2人が互いを尊重し合った結果、どんな関係を築いていくのか。最後まで温かく見守っていきたい。
(文=リアルサウンド編集部)

 
   

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