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『あなして』は2023年の代表作に 奈緒×岩田剛典×田中みな実×永山瑛太が見せた名演

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『あなたがしてくれなくても』©︎ハルノ晴/双葉社 ©︎フジテレビジョン

 セックスレスという夫婦のタブーに切り込み反響を呼んだ、2023年4月期に放送されたドラマ『あなたがしてくれなくても』(フジテレビ系)。

 吉野みち(奈緒)は、夫・陽一(永山瑛太)と結婚5年、セックスレスになって2年、子供もほしいと思っていたのに、素っ気ない陽一の態度が不安でならない。そんなとき、会社の上司・新名誠(岩田剛典)の優しさについ心が揺れる。誠もまた、妻・楓(田中みな実)が多忙につき、愛情表現を二の次にされ、心もとない気持ちになっていた。

 みちも誠も、好きな人には献身的になるタイプ。ところがパートナーに献身しがいがまったくない状態。そんなとき、お互いの思いを受け止め、好意的に接してくれる者が現れたのだから、互いに寂しさを埋めてもらいながら、どんどんのめり込んでいく。

 陽一はみちとはしないにもかかわらず、勤務先のカフェの従業員・三島(さとうほなみ)と関係を持ってしまうので、視聴者的には、みちはさっさと陽一と別れて、悪いところがこれっぽちもない、やさしくて家事も仕事もできる、穏やかな安定した誠とつきあえばいいと思ってしまう。とはいえ、楓は仕事一筋なだけであり、離婚するつもりはさらさらないので、ことは簡単ではない。余談だが、彼女はなぜか仕事一筋なわりに無駄に色っぽい。

 ここからはネタバレしますので、はじめてソフトで観るかたはご注意ください。

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 楓のことは、仕事に夢中で、誠に食事を作ってもらって家事を依存しているところが最初は、高慢に見えるし、いざ、誠とみちがあやしい感じになっていると知ると、がぜん、誠に尽くしだしたり、みちにも牽制をしかけたりと自分本位な人物である。にもかかわらず、浮気をしていないという点で、楓に同情の余地ができ、関係値が変化していく。そして、ドラマ全般では、みちと楓が、誠をめぐってカフェで対峙する第8話が最大のピークであった。

 はたして、みちは、陽一と誠とどちらを選ぶのか。まずは陽一と別れ、誰かに依存するのではなく、ひとりで生きていこうとするが、その間も、陽一や誠の影がちらついて……。原作マンガが完結していないため、ドラマオリジナルの結末になるところが、このドラマの難しさでもあり、見どころでもある。

 最終回、みちが選んだ相手はーー。結果、みちが陽一と元サヤに収まることに、拍子抜けしたり、納得できなかったりした人も少なくなかったようだ。が、そもそも、みちが、喫茶店で見かけた陽一のビジュアルに惹かれ、彼女からアプローチしていったわけで、みちが陽一を好きで好きでたまらず、彼との幸福な時間を取り戻す話なんだろうなあとはうすうす予想はできた。が、なぜ、陽一に執着するのか、陽一の魅力がわかりにくかったようで。ソフトの特典映像のひとつ、永山瑛太のクランクアップの挨拶で、自分の演じる役ながら陽一を好きになれなかったというような(大意)ことが語られるほど、妻とできないのにほかの女性といたしてしまう陽一の好感度は低く、みちはなぜ? ということになる。

 最終回のあとの特別編で、陽一とみちが別れて、再会するまでの空白の時間が描かれたとき、みちがマッチングアプリを介して知り合った男(野間口徹)によって、陽一が買ってくれた財布の真実がわかる。口がうまくないけれど、陽一はほんとうは優しいことを知っていたはずなのに、だんだんとおざなりになり、みちが陽一を傷つけていた面もあった。好きすぎてセックスできなくなる気持ち、好きすぎて求めずにはいられない気持ち、どちらもデリケートだし、相手に甘えすぎている。

 陽一の本音をわからないみちは、三島とのことを知ったとき、痛烈なショックを受けるのだが、仲良くなりすぎるとカラダの関係を逆に持ちにくくなることもあるようだし、三島に対する冷たすぎる陽一の態度を知れば、自分のほうが特別に思われていると安心できるのではないか、という気もするが、これもまた難しい問題で、精神的な優位も大事ながら、人はなぜか、肉体的接触に重きを置き、激しい嫉妬を燃やすことを止められない。楓は、自分から拒否しておきながら、誠とみちの関係に嫉妬を覚えるのも同じこと。このドラマは、誰と誰が結ばれるかというストーリー展開よりも、心とカラダの微妙な状態をアトラクションに乗るように楽しむことに向いている気がする。

 奈緒はものすごく赤裸々な人間の欲望を、下品にならず、かわいげのある範囲に留めながら演じて、親しみが持てた。永山瑛太は、極めて難しい、心とカラダが折り合わない苦悩を、重たくなり過ぎずに演じていた。岩田剛典は、先述したが、悪いところがこれっぽちもない、やさしくて家事も仕事もできる、穏やかで安定した人物を好演。岩田だからこそ、みちは誠と結ばれてほしいと思う視聴者を多く生み出した。奈緒と永山、奈緒と岩田、どちらの関係性も喜びも切なさも常にさざなみのように波打って、観る者の気持ちをざわつかせる、鮮度の高い演技だった。田中みな実は演技歴はほかの3人より浅いが仕事熱心な、サバサバした人物に清潔感があった。最終回の、岩田との場面はとても爽やか。とはいえ、ときおり出てきた色っぽいシーンは様式美を熟知したプロフェッショナルだった。

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