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「どうする家康」大坂の陣は家康が代償を支払う戦 脚本・古沢良太「ここまで可哀そうな人になると思わなかった」

シネマトゥデイ

第46回「大坂の陣」より徳川家康(松本潤)ら – (C)NHK

 松本潤が徳川家康役で主演を務める大河ドラマ「どうする家康」(毎週日曜夜8時~NHK総合ほか)の脚本を手掛けた古沢良太が、12月3日放送の第46回で描かれた大坂冬の陣、本作で目指した家康像に込めた思いを語った。古沢は、「最後の撮影で松本さんとお話したときに、“家康って可哀そう”とおっしゃっていたんですけど、僕もここまで可哀そうな人になるとは思っていなかった。天下を取ったのに可哀そうな家康ってなかったと思うから、自分でも予想以上に新しい家康像が出来上がったんじゃないかなと思いますし、 そういうふうに感じてくれる人が多ければ幸せです」と語っている(※一部ネタバレあり)。

 すでに最終回(第48回)まで書き終え、脱稿したという古沢に今の心境を問うと「2年ぐらいかけてずっと書いていたので、終わって、 やっとゆっくりできて少しずつ人間らしい生活を取り戻しつつ、でもまだ終わったっていう実感がそこまで持てなくて、心のどこかで直しの要求に備えている自分がまだいるって、そんな状態です(笑)」と率直に答えた。本日(3日)放送分では、家康にとって最後の戦となる「大坂の陣」が幕を開けた。これまで織田信長(岡田准一)、武田信玄(阿部寛)、豊臣秀吉(ムロツヨシ)ら名将たちを相手に桶狭間、三方ヶ原、長篠、小牧長久手、関ヶ原と数々の戦を生きながらえてきた家康。関ヶ原の戦いののち10年以上の空白を経て、再び戦場へと向かうこととなった。家康にとって「大坂の陣」はどんな戦いなのか。

 「大坂の陣は一番こだわった戦というか、長い生涯の間ずっと戦争し続けてきた家康にとって最後の戦。彼の悲願であった戦なき世というものを成し遂げる戦なんですね。ようやく彼が戦争に明け暮れた人生から解放されるわけなんだけど、決して晴れやかなことではなくて、それと引き換えに大事なものを捨てなければならなかった。平和を成す代わりに、多くの恨みや憎しみをかって、彼個人の幸せみたいなものを捨てた。そういう描き方をしたいなと思っていました」

 本作における家康像について、前提として「成長物語として描いていない」という古沢。その意図について以下のように語る。「そもそも成長っていう言葉が好きじゃないっていうか、成長物語っていう表現があまり好きじゃないっていうのもあって。身長が伸びるとか肉体の変化は成長なんだけれども、 内面的な変化を成長って呼ぶのって傲慢な話だなと。誰かにとって都合のいい方向に変化したら成長した、 逆に都合の悪い方向に変化するとダメになったように見えるというだけで、本人にとってはまた別の話。家康もいろんな経験をして、政治や戦において進歩があるかもしれないけど、この物語の家康は大きな喪失、耐え難い挫折といったものを経て変化していく。その結果、みなから恐れられる怪物のように思われ、あるいは神のように扱われる。だけど、本当の彼はドラマを見てくださった視聴者の方が知っている。そういうところに行きつきたかった。彼の行く末を見届けていただけたら、きっとそういう風に感じてもらえるんじゃないかと思います」

 家康は秀吉の晩年、豊臣の五大老になって以来、上杉景勝(津田寛治)らに陰で「狸」呼ばわりされるようになるが、古沢によると「特に上方の人達にとっては狡猾で腹黒い狸だっていう風に見える。家康の本質は変わっていないけど、腹黒い人間として生きて評価されていくことに対して、“この人って本当に幸せだったんだろうか”“可哀そうだよね”っていうところにたどり着くのかなと」と言い、あくまで本質は変わっていないという。

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 なお、家康にとってのラスボスとなるのが秀吉の側室・茶々(北川景子)だ。演じる北川は茶々の母・お市との一人二役も話題を呼んだ。お市は生涯を織田家に捧げ、浅井長政(大貫勇輔)、柴田勝家(吉原光夫)との政略結婚によって家の繁栄に貢献。最期は茶々・初・江の三人の娘たちを逃し、自身は夫・勝家と死にゆく運命を選んだ誇り高い女性だ。一方、茶々は根底に母を助けなかった家康に対する憎しみがあり、秀吉の側室となってからは息子・秀頼(HiHi Jets・作間龍斗)を天下人にする野望に生きていた。茶々は“ヒール”としての側面が強いが、古沢自身はどう考えていたのか。

 「北川さんにも聞かれたんだけど、お市は勇ましくてかっこいい女性で、でも初恋の人(家康)を忘れられない乙女心もどこかにあるような人。その娘である茶々は、織田、豊臣、浅井の血も入っていて、戦国のモンスターたちの遺伝子を全て受け継いだ秀頼という、いわば最後の乱世のモンスターを育て上げる人っていうイメージ。家康が戦ってきた人たちの思いとかDNAを受け継いだ最後の倒すべき最大の敵が、茶々と秀頼というイメージにしているんですね。そういう意味では、茶々はラスボスとして華やかで、狡猾で、ちょっとクレイジーで、パンクな感じにしました」

 なお、自身が最も「どうする?」と悩んだのが、「史実を守る」というルールを自身に課したことで、予想以上にリサーチが必要になったことだと古沢は振り返る。

 「史実は守ること、そしてなるべく最新の学説を採用すると決めたんです。そうしたら、家康は史料が大量に残っていて、なおかつこの数年でどんどん学説の進化があって、勉強しなきゃいけないことが想像していた以上にめちゃくちゃあるとわかった時に、でも放送は始まっているし、撮影も追いつかれるし……みたいな時が一番辛かったです。自分の中では大体これがわかっていればいいだろうと思っていたのが、全然それじゃ足りないっていう感じだった」と焦った時期を回顧。

 しかし、それと同時に得たことも多かったようで「もちろん悔いもあるんですけど、自分としては本当に学びが多かった仕事で、おそらく大河で学んだことは大河でしか表現できないと思うから、もしいつかもう1回チャンスをもらえるとしたら、次はもっと上手にやれる、そういう気持ちだけはあります。でも、当分先でいいです(笑)、『どうする家康』は今の僕にしか描けなかった作品。力は出し切りましたし、思い残しはありません」と完全燃焼した様子だった。(編集部・石井百合子)

 
   

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