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押井守×神山健治、『攻殻機動隊 SAC_2045』の結末を議論 「押井さんは変わりました」

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(左から)押井守、神山健治

 士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作に、神山健治監督と荒牧伸志監督がフル3DCGで作ったアニメーションシリーズ『攻殻機動隊 SAC_2045』。このSeason2を藤井道人が編集した劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』が、11月23日から3週間限定で公開されている。12月2日には、『攻殻機動隊』をいち早くアニメ映画化した『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』(1995年)の押井守と神山が対談するイベントがグランドシネマサンシャイン池袋で開かれ、“師弟”で『攻殻機動隊 SAC_2045』について語り合った。

参考:田中敦子、『攻殻機動隊』の歩みを振り返る 「いつでも皆さんのそばにいます」

 「シリーズで描こうとしたことが、どんどんと外されていくような時の流れの速さを感じている」。『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』の上映後に、押井と共に登壇した神山はこう話し、『攻殻機動隊 SAC_2045』が2022年4月にNetflixで配信され始めてから2年以上が経つなかで、世界情勢が急激に変化したことを改めて指摘。未来の社会やテクノロジーを描いたら、現実に先を行かれてしまうことへの驚きを口にした。

 こうした、アニメで社会を描こうとする神山のスタンスに、「神山はまだやっていたんだ」と言った押井。これは、『攻殻機動隊』シリーズをまだ手がけていたという意味ではなく、「時代というテーマを相変わらず追いかけているんだということに感心した」という意味で、戦争によって経済の維持発展が保たれているような未来の世界像や、AIをはじめとしたテクノロジーの驚くべき進化の姿を、『攻殻機動隊 SAC_2045』シリーズで神山が描き続けていることを評価した。

 「僕がやってきたのは、素子とかバトーといったキャラクターの物語。神山という監督がやっているのは、世界に何が起ころうとしているとか、これから何が起こるのかといったこと。今時そういうことをやっている人間はまずいない」と押井。アニメで社会に切り込もうとする神山が希有な存在であることを指摘した。加えて、「ウクライナやガザのようなことが起こるとは誰も考えていなかった。時代は確実に変わっているが、それを映画という射程の中でやっていくのは相当な勇気がいることだ。本当によくやっている」と、神山の仕事ぶりを持ち上げた。

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 それを受けて、「ドラえもんの道具のように、今の時代に僕が欲しいものを作っていると思う」と話した神山。「最初に『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』を作った時は、荒巻大輔や草薙素子のような人がいてくれたらと思っていた。今回は、今の時代にこんなAIがあったらといった欲しいもの探しをした」と、自分の興味を探求していった結果が、今の時代を問う内容の作品となったことを改めて紹介した。

 『攻殻機動隊 SAC_2045』では、AIがとてつもなく進化して、人類を次のフェーズへ導こうとするビジョンが示される。神山は、『攻殻機動隊 SAC_2045』を作るに当たって、「かつてファンタジーとして描かれてきた人形使い(『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に登場する高度なAI)というAIが、生成AIの登場もあって現実の中に出て来ている今の時代に、どのようにアップデートするのかを課せられていると思った」と話した。ポストヒューマンと呼ばれる進化した人類を生み出すAIは、その意味で人形使いの進化形と言えるかもしれない。

 ただ、現実の中でAIが進化していても、それを捉える人間の側が進化しておらず、世界を滅ぼすAIといったイメージが今も続いていることも指摘した押井も、AIについては「『ターミネーター』のように人間がAIに滅ぼされるかもといった恐怖は、実は人間の願望の裏返しみたいなもの。僕らの仕事は、願望を下敷きにしてある種の恐怖や憧れを作り出すことだが、実際に研究をしている局面で、AIを人間に似せることはテーマではない」といった指摘をして、自分たちの作中に描かれる、AIが人間社会を破壊するようなビジョンの到来に、懐疑的なスタンスを示した。

 『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』についても、押井と神山のそれぞれの見解が示された。作中には、ダブルシンクという現実を生きながらも理想的な虚構の中を生きているという、不思議な状態へと人類が進んでいく可能性が示される。そうした、現実と虚構とが入り交じった社会の到来について、神山は「違う形になるかもといった希望を持って道を探したが、ここに至るしかないという感じ」と話して、世界がそのようになっていく可能性を示唆した。

 現実と虚構とが入り交じるといったテーマは、『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』を始め押井がこれまでの作品で頻繁に問うてきたものと重なる。押井は、「人間は現実だけを生きている訳ではなく、自分の中の虚構を生きているんだということは、信念として持っている」と話して、神山監督の示した考えに理解を見せた。「実際には、お腹がすいたらすいたといった現実しかないが、若い人の中にはそうした思考があるかもしれないと思っている」とも話して、ゲームの世界を現実と同等と感じているような世代が出てきていることを示した。

 劇場版『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』のラストでは、コードを抜かないという道を選ぶことで、現実と虚構とが重なり合った状態のままにし続けるか、抜くことによって現実だけの世界に戻すべきかといった決断を、素子が委ねられるシーンが登場する。これについて押井が、「神山は結論を出したくなかったのでは」と指摘し、神山が「そう見ましたか」と受けて、判断に違いがあることをほのめかした。

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