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『どうする家康』は“史実を守った”ドラマ? 脚本・古沢良太が明かす最終回に込めた思い

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――古沢さんはこの作品でどのような家康を描こうとしていたのでしょうか?

古沢:1983年に放送された滝田栄さんが主演の大河ドラマ『徳川家康』で、偉人伝としての家康はもう十分描かれ尽くされていると思いました。僕が描きたかったのは1人の普通の人が、どうやってこの乱世を生き抜いていったかという物語。自然と歴史上で大事な出来事と、いち個人の人生にとっての大事な出来事は違ってきて、自ずと物語のバランスも変わってきたんです。私人としての家康の人生をどう魅力的に描いていくかでいうと、家臣たちとの絆であったり、家族との物語が大事で、なるべくそっちを重点的に描きたいと思っていました。例えば、信長とか豊臣秀吉(ムロツヨシ)、武田信玄(阿部寛)、今川義元のようなスターが出てきますけれど、彼らはある意味では一代で隆盛を築いて、その後継ぎへの継承で失敗して、滅んだり、力を失ったりしていて、家康だけがそれを成功させているんですよね。僕は家康だけが天才ではなかったんじゃないかと思っていて、信長も秀吉も信玄も義元も天才だったけど、天才は天才にしか運営できない仕組みを作ってしまうから、それは継承できないものになってしまう。でも、家康は普通の人だったから、普通の人が運営できる体制を作れた。だから秀忠(森崎ウィン)に、そして徳川幕府という300年も続く江戸時代に続いていったんじゃないかと僕なりに解釈しています。家康は天才でもなんでもない、むしろか弱い凡人として描くのが新しいし、このドラマのテーマになると思ったので、そういったところからスタートしていきました。彼の人生は艱難辛苦の連続で、その過程で変貌していく物語をやりたいと松本潤さんにお願いしたわけですけど、最初に作った全48回の構成を彼は熱心に読み込んで、どこでどう変化していくのがいいのかを懸命に考えて、家康像の段階みたいなものをご自分の中で計算しながら現場に入っていった印象があります。

●「自分でも思っていた以上の新しい家康像が出来上がった」

――『どうする家康』が始まる前の構想から終わりにかけて、古沢さんのなかで思ってもいない動きを見せていったキャラクターはいますか?

古沢:全員と言えば全員です。全てのキャラクターを計算ずくで書いていたわけじゃなく、書きながらこの場面だったらこの人はどうするか、どんなことを言うかっていうのを考えながら進めていたので、どのキャラクターも自分が思っていたよりちょっと違う、想像を超えるような働きを最終的にはしていると思います。でも、やっぱりいちばんは家康かなと思います。家康がどう変化していくかは割と最初に作っていて、基本的にはその通りなんですけど、途中で何回か松本さんと話し合いながら、家康が最後にたどり着く境地は書きながら見つかったものでした。自分の中では想像していなかったところにたどり着いた感じがあります。と言っても松本さんと話したのは3回ぐらいですけどね。非常に真面目な方なので、家康が変化していくタイミングで改めて確認したいということで、そこで話し合いながら僕の考えもまとまっていく感じでした。最後の撮影でお話しした時に、松本さんが「家康ってかわいそうですね」っておっしゃっていて。天下を取ってかわいそうって思われる家康って今までにないと思うから、それは自分でも思っていた以上の新しい家康像が出来上がったんじゃないかなと思いますし、そういうふうに感じてくれる人が多ければ幸せです。

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――古沢さんが最終回に込めたメッセージがあれば教えてください。

古沢:僕はこの作品が家康の成長物語だと思って書いてきてはいないんです。そもそも「成長物語」という表現が好きじゃないのもあって。背が伸びるとかは成長なんだけれども、人間の内面的な変化を成長と呼ぶのは傲慢な話じゃないですか。誰かにとってその人が都合のいい方向に変化したら「あいつは成長した」って言うけれど、都合の悪い方向に変化するとダメになったというのは、それはその人にとってそう見えてるだけであって、本人にとってはまた別ですよね。この物語の家康は何か大きな喪失とか耐え難い挫折を経て、そのタイミングで変化しているので、僕の中では成長ではなく、「心が壊れていっている」というか。彼本来の人間らしさ、優しさ、弱さ、幸せを捨てていっているという解釈で僕は書いていました。その結果、みんなから怪物のように恐れられ、あるいは人ではない神のように扱われる。でも本当の彼は全然違うということを、ずっと観てきてくださった視聴者の皆さんには感じてもらえるんじゃないかと思っています。

(取材・文=渡辺彰浩)

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