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『きのう何食べた?』“2人”だから美味しいし楽しい 心の支えになる“変わらないもの”

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©︎「きのう何食べた? season2」製作委員会 ©︎よしながふみ/講談社

 人気漫画家・よしながふみの同名コミックが原作のドラマ『きのう何食べた? season2』(テレビ東京)。第9話では、内野聖陽演じる矢吹賢二(以下、ケンジ)と西島秀俊演じる筧史朗(以下、シロさん)のこれまでの日常が一変する。

参考:『きのう何食べた?』が提示した“人生のための別れ” 間違いを許すための離婚

 離婚後のベトナム傷心旅行から帰ってきた祐(マキタスポーツ)は、ベトナムに店を出すという野望をケンジに打ち明ける。新たな挑戦をするなら今がラストだという祐から、ケンジは日本の店を任されることになった。ケンジはシロさんに相談する。ケンジは2人の時間が減ることに不安を抱くが、シロさんに背中を押され、店長になる覚悟を決めた。

 第9話で描かれる前から、シロさんとケンジは日々の生活の中でお互いを思い合ってきた。だが、第9話では、激務の日々が続き、2人で食卓を囲む回数が減ってしまったことで、思い合う様子がより際立つ。

 もちろん、お互いに顔を合わせている時でも、2人は相手を慮る。たとえば、ケンジがシロさんに相談する場面では、シロさんがリラックスした様子で向き合う姿が印象的だった。ケンジの顔つきや所作はどことなく自信なさげで、店長を任されたことへの不安いっぱいな様子がうかがえた。そんなケンジを前に、シロさんは落ち着いた佇まいで向かい合い、じっくり話を聞く。

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 シロさんを演じる西島のリラックスした立ち居振る舞いは、シロさんの傾聴する姿勢を印象付けるだけでなく、ケンジの不安に寄り添うシロさんの懐の深い優しさをも印象付けている。シロさんは笑顔で「お前、やってもいいかなって顔してるよ」とケンジに伝えた。「ケンジ、店長向いてると思うよ。気配りできるし」と励ます姿に嫌な印象はない。これまでの回でさまざまな変化を受け入れてきたシロさんだからこその激励だ。新しい挑戦に直面するケンジに、シロさんは「ここらで頑張ってみるのもいいんじゃないかな」と変化をすすめた。

 とはいえ、ケンジが想像していた通り、2人の生活は激変してしまう。ケンジは夜遅くまで仕事をし、朝も食事を取らずに出ていく。スーパーで買い物をするシロさんは、ずらりと並んだ美味しそうな肉を眺めながら「油たっぷりの鉄板焼きとかやりてえなあ」「でもなあ、ああいうのは一緒に食わないとうまくないしな」と心の中で呟く。1人で食事をとるシロさんの姿からも十分寂しさが滲み出ていたが、“一緒に食わないとうまくない”の台詞から、あらためてシロさんの胸中を知ることができる。シロさんが心の中でため息混じりに発した「つまんねえな」の響きが切ない。一方、ケンジは店内で思わず「つまんないよぉ……」と心の声が漏れ出ていた。遠巻きにもふてくされた表情がわかり、感情表現豊かなケンジらしい姿が愛おしい。

 ケンジと仕事中のシロさんがラーメン店で鉢合わせる場面は面白かった。田渕(坂東龍汰)から「ま、こういう時は1人飯満喫したらいいんじゃないっすか」と言われ、ケンジは1人だからこその食事に大盛りのラーメンを選ぶ。普段ケンジは体型を気にしてシロさんとともに節制した食生活を送っている。だからこそ、シロさんと鉢合わせした時、偶然会えたことへの驚き以上に、食事内容への気まずさが勝っていた。「早く食え。のびるぞ」と圧強めに言い放つシロさんも面白い。だが、シロさんが苛立って見えたのは、ケンジが不摂生な食事を取っていたからではない。シロさんはケンジの前で少し気まずそうにこう明かした。

「違うんだよ。お前に店長やれって言ったの俺だし、頑張れって言ってんのも俺なのにさ、ちょっと……つまんねえなとか思ってる自分に腹が立ってんだよ」

 シロさんは、人に変化を促しながらも、それによって変わってしまった生活を受け入れられずにいることに葛藤していたのだ。苛立ちの原因もさることながら、自身の心境を正直に打ち明けるシロさんの姿が胸を打つ。ケンジに食事を出すシロさんは、心の内を打ち明けた手前、気まずさと恥ずかしさがあるのか伏せ目がちだったが、シロさんは一途にケンジを気にかける。「とにかく、体だけは壊すなよ」という口ぶりが優しく、心に沁み入る。

「何やってんだ、俺は。俺が元気づけてやらなきゃいけないのに」

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