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「コンビニでバイトするほうが全然儲かる」プロの人気作家が明かす“夢の印税生活”のリアル

日刊SPA!

 誰でも一度は「小説家」や「印税生活」を夢見たことがあるはず。今であれば、「note」や「小説家になろう」などのWebサイトで名を馳せたい、もしくは有料記事で稼ぎたい……かもしれない。
 近年は会社員の副業、あるいは子育て中のママが自宅にいながらできる仕事として「Webライター」が人気。髪型自由、服装自由、面倒くさい世間のしがらみはなく、好きなことを書いてお金が得られる——。いわゆる「物書き業」に対してそんなイメージを持っている人も多いかもしれないが、果たして実際のところはどうなのか?

 現役の小説家でコピーライターや映像作家としての顔も持ちながら、クリエイター向けの実用書『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』が大ヒット、11月に最新刊『プロの小説家が教える クリエイターのための 名付けの技法書』(共に日本文芸社)を上梓した秀島迅氏に、小説家の仕事や収入事情など“リアル”な部分を聞いた。

◆約1年半で4作品を発売、“クリエイターのための”シリーズがヒット中

 秀島氏の“クリエイターのための”シリーズは、2022年7月発売の1作目『クリエイターのための物語創作ノート』がロングセラー。2023年6月の2作目『プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑』は発売後に即重版に至るほど(※現在は5刷)。そして11月には4作目となる『プロの小説家が教える クリエイターのための名付けの技法書』が発売され、話題を呼んでいる。

「何度かライターとして一緒に仕事をさせていただいていた編集者さんからお声がけいただいて、このシリーズがスタートしたかたちですね。実用書を書くのは初めてでしたが、全く気負いなく書けました。

 最初は軽い感じで引き受けたんですけど、世界史研究者の祝田秀全さんに監修いただいた3冊目の『中世ヨーロッパの世界観がよくわかる クリエイターのための階級と暮らし事典』も含めて、売れ行きは好調みたいですね」

 小説や文章の書き方の指南書は数あるが、同シリーズは文章の書き方への理解がより深まるエッセイ風の解説文なども好評を得ているという。表紙のイラストに人気イラストレーターを起用しているのも特徴で、来年1月には5作品目となる「プロの小説家が教える クリエイターのための語彙力図鑑 性格・人物編(仮題)」が刊行予定とのこと。

「クリエイター向けということで、最初はどこまでニーズがあるのか読めない部分もあったんですが、出版社さんと戦略的に考えてやったことがうまくハマった気がします。自分がデビューできなかったときって、どういうことを悩んでいたかな……とか思い出しながら、どういう言い回しだと伝わりやすいのかなって、常に俯瞰して執筆することを心がけています」

◆大手広告代理店や世界的IT企業を辞めて……

 秀島氏は青山学院大を卒業後、コピーライターとして大手広告代理店に就職。世界的な大手IT企業の宣伝部にヘッドハントされ、北米で6年あまり勤務。帰国後は30代前半で退職して友人と広告制作会社を立ち上げた。

 広告制作の仕事自体は順調だったが、大企業のクライアントを相手に仕事することに疲弊していたという。その頃、執筆した小説作品を文芸誌の賞に応募し始めるようになったそうだ。

「そもそも僕が小説家になろうと思ったきっかけは、小説で食っていくことが難しい時代だからこそ、小説家になって食ってやりたいと思ったんですよ。いつかは映像や広告の仕事を辞めて専業作家になるという夢はいまだに持っていますよ」

「手当たり次第、純文学からエンタメ、ラノベまで応募を続けて、3〜4年は一次選考で落とされるという下積み時代、俗に言う暗黒時代を過ごしていました。広告制作の会社もやりつつでしたけど、本当に心が折れそうな日々でしたね。小説投稿サイトの『小説家になろう』などにも投稿していました」

 400字詰め500枚の小説を年6本書けるほど筆が早いそうで、複数の作品を応募可能な賞にはダンボール1箱に原稿用紙をぎっしり詰めて送ったこともあるという。

◆「単行本を1冊出したからといって食えるほど甘くない」

 そして2015年、応募総数日本一の電撃小説大賞から選出され、『さよなら、君のいない海』(KADOKAWA)で小説家デビューを果たした。単行本はのちに文庫化もされたという。

「広告制作の会社を辞めたのは、その1年後くらいですね。当時30代後半で収入面は同年代の会社員の倍ぐらいもらっていたんですけど、やっぱりちょっと1回、仕事人生を仕切り直したくて、なんとか食えるだろうと思って辞めました。ただ、結論から言うと小説だけでは食べられませんでした。単行本を1冊出したからといって食えるほど甘くなかったです(笑)」

「単行本の場合、5000部で黒字ラインに立つそうですが、大手出版社でも文庫本を出すときは、なかなか5000部も刷ってもらえません。契約内容にもよりますが、新人作家がもらえる印税は8〜10%で、700円の文庫本を発売するとしたら税金の問題などは抜きにして単純計算で1冊70円。3000部刷ってもらっても1冊あたりの収入は21万円ほどです。売れている作家でも基本的には年3〜4冊ペースが限界ですから、コンビニでバイトしたほうが全然稼げる計算です」

◆実際は“兼業”の小説家が多い

 自由業と呼ばれることもある作家・小説家だが、業界の慣習としてデビューから3年ほどは他の出版社から小説作品を出せないというケースもあるそうだ。そのため小説家としてデビューを果たしてからも“別の本業”とのハイブリッドなかたちで働き続けるうち、2作目が刊行されぬまま小説家を辞めてしまう人がほとんどなのだとか。つまり、それほど厳しい世界だという。

 また、「著書が50冊あれば印税だけで生活ができる」とも言われているらしい。雑誌やWebメディアの記事などの単発の仕事よりは、将来的なストック収益型のビジネスとして夢がありそうな気もするが?

「デビューして10年で60冊くらい本を出したほど筆が早い仲の良い作家がいるんですけど、その人はいわゆる“印税生活”を送っていますね。ヒット作が10冊以上あれば、先ほどと同じような計算式で100万、200万くらいの不労所得が手に入るようなイメージでしょうか。逆に言えば、それくらいヒット本に恵まれていないと印税生活は送れません」

<取材・文/伊藤綾>



【伊藤綾】
1988年生まれ道東出身、大学でミニコミ誌や商業誌のライターに。SPA! やサイゾー、キャリコネニュース、マイナビニュース、東洋経済オンラインなどでも執筆中。いろんな識者のお話をうかがったり、イベントにお邪魔したりするのが好き。毎月1日どこかで誰かと何かしら映画を観て飲む集会を開催。X(旧Twitter):@tsuitachiii
 
   

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