11月18日からHuluで独占配信がスタートした、Hulu初の韓国オリジナルドラマ『プレイ・プリ』。この作品は日韓合作で、韓国のTVINGと同時配信されている。原作は、韓国で累計閲覧数1億回、グローバルでも累計閲覧数2.1億回(2022年12月時点)、日本国内累計閲覧数2,000万回以上(2023年11月時点)を記録する2F(イエフ)による大人気webtoon「プレイリスト」(LINEマンガで配信中)。覆面シンガー“プリ”としてカバー楽曲を動画サイトにアップしている、表向きは平凡な女子大生・ハンジュ(キム・ヒャンギ)を、超人気アイドル“レビ”ことドグク(シン・ヒョンスン)が彼女の歌を気に入ってフォローした事から始まるヒミツのラブストーリーだ。今回、W主演のキム・ヒャンギとシン・ヒョンスンにインタビューを慣行。作品や役柄についての想いをたっぷり聞いてみた。
■『プレイ・プリ』はラブだけじゃなくて、夢を追い求める若者のストーリー
――この作品の出演オファーが来た時の気持ちを教えてください。
キム・ヒャンギ オファーをいただいて台本を読んだ時、ラブストーリーだけじゃなくて夢を追い求めて頑張っている若者の話でもあったので、これは良い作品になるからゼヒ出演したい、と思いました。それと、日韓合作で、日本と韓国、同じタイミングで配信になる作品は私にとって初めてなので、面白そうだな、とも思ったし、日本の皆さんがご覧になって、どう感じるかも気になりました。
シン・ヒョンスン 僕も、台本を読んで魅力溢れる作品になりそうだな、と思いました。映像も美しくなりそうだし、作品内で流れる音楽もグッときて、癒しのある作品になると感じたので、参加できる事になって嬉しかったです。
■ヒャンギさんを見て「芸能人だ!」と思いました(笑)
――お互いの第一印象は?
シン・ヒョンスン ヒャンギさんの事は、僕が子供の頃からドラマなどで見ていたので、最初に会った時は「芸能人だ!」と思いました(笑)。一緒に演技できるのが楽しみでしたね。撮影中は、冗談交じりに「ハンジュ(彼女の役名)先生」と呼んでて(笑)。さすが「先生」らしく、これまでの長いキャリアで積み上げてきた底力を感じました。しっかりと中心になってくれていたので、大きな心配も無く演技できたし、学ぶ事も多かったです。
キム・ヒャンギ 初めて会ったのは、マクチュン役のヨンオさんと3人でのテスト撮影の時で、モニターに映ってるヒョンスンさんを見て「ドグクにピッタリだな」と思いました。ドグクは自分の気持ちをありのまま表現して、エネルギー溢れるキャラクターですが、実際のヒョンスンさんは慎重な面がある人です。
――今回、演じるにあたって準備した事はありますか?
キム・ヒャンギ 一番心配したのは、ギターの弾き語りです。楽器を習った事が無いので、大丈夫かな…と思いました。撮影前の練習では、しっかり学ぶほどの時間は無かったので、とりあえずコードを中心に覚えました。できる限り自然に見えるように練習したんですが、「楽器って難しいな…」と思いました(笑)。
シン・ヒョンスン 僕はアイドルの役なので、歌やダンスがとても心配でした。その上ギターも弾くので、練習しなくちゃいけない事が多かったんですが、全てを徹底して準備できるほどの時間が無くて…。だから、撮影の無い日も練習していました。
――歌うシーンもありますが、いかがでしたか?
キム・ヒャンギ 撮影の前に歌は録っておいて、それに合わせて歌ってる演技をしました。歌ってる時の表情や感情は音と違って後から修正できないので、上手く表現できるように集中しましたね。ハンジュとドグクが一緒に曲を作るシーンがあるんですが、そこで醸し出される2人のケミ(化学反応)が良く表れたらいいな、と思いながら演じました。
シン・ヒョンス 歌のシーンにいちばん気を遣いました。今回のドラマで僕が歌う歌は、ハンジュとドグクの関係を物語るようなものが多く、聞き流すタイプではなくて「歌で気持ちを伝える」という意味も込められていたので、歌詞を大切にして歌いました。ハンジュと初めて会った時、どんな気持ちだったんだろう、とか、その後どんな感情を持ったんだろう、とか、この歌を通して相手に何を伝えたいんだろう、と考えながら、歌の内容をしっかり伝えられるように心がけました。
――お2人とも、歌うのは好きですか?カラオケに行ったりとか。
シン・ヒョンスン 好きです。カラオケも大好きで、時々行って熱唱してますね。
キム・ヒャンギ 私も好きで、カラオケに行っていろんなジャンルの歌を歌います。演技をしている立場からだと、歌詞やメロディから感じる気持ちが演じる時の助けになるという事を今回学べたので、これからも役作りが難しいなと思ったり、感情が掴めない時には、歌を聴いて役立てようと思いました。
――カラオケでよく歌う歌は?
シン・ヒョンスン その時の気分で違うんですけど、カラオケに行ったら叫びたいので(笑)、キム・ゴンモさんの「ソウルの月」とか。あと、今回のドラマで知った曲ですが、O.WHENさんの「今日」という歌も気に入ってます。
キム・ヒャンギ ユ・ジェハさんの「私の心に移ったあなたの姿」という歌をよく歌いますね。
■ハンジュは実際の私と似た部分が多かったです
――ハンジュ、ドグクは、それぞれどんなキャラクターですか?
キム・ヒャンギ ハンジュは、自分が置かれた現状の中でベストを尽くして努力する女の子です。大学に通いながら就活もして、そんな大変な中でも夢を諦めない。自分の本当の想いに誰も気づいてくれなくても、とにかく前に進もうとする力はどこから湧いてくるんだろう…と、考えながら演じました。
そして、ハンジュは心の傷を抱えてるんですが、それを単なる痛みと捉えるんじゃなくて、1つの思い出にしようとしてるんです。彼女は本心を表に出さないし、もしかしたら自分でも本心に気づいていないのかもしれませんが、そう努力してるように思いました。そんなハンジュが、ドグクと出会って、「自分はこんな人間だったんだ」と気づいていく過程が描かれているので、彼女の変化にも注目しながら、そして、ハンジュが周りに見せている姿と本当の気持ちの両面を理解しながら観ていただきたいです。
――ヒャンギさんは、これまで演じてきた中でも今回はかなり等身大の役ですよね。
キム・ヒャンギ そうですね。今回、ハンジュと似ている部分が多かったです。ハンジュは大学に通いながら、皆には内緒で音楽活動をしていて、ある意味2つの顔を持ってますよね。私も幼い頃から演技活動をしているのと同時に、学校に行って友達と過ごす普通の生活もしています。その両方を同じようによく過ごしたいという欲もあって、いろんな事を学びながら努力してきました。毎日を充実させて生きていきたいという気持ちもハンジュと同じなので共感もしたし、彼女のそんな部分を上手く表現できるように気をつけながら演じました。
――映画『神と共に』の“ドクチュン”みたいなちょっと現実離れした役と、自分に近い役、どっちが演っていて面白いですか?
キム・ヒャンギ 現実とかけ離れた役の時は、自分の思い通りに想像しながら演じられるので、クリエイティブな面白さがあります。今回のような現実の世界のお話の時は、演じるその人物になりきって、その気持ちを楽しみながら演じるという面白さ。それぞれに違う面白さがあるので、私はどちらも楽しいです。
■実際のアイドルの友達にいろいろ聞いて役作りをしました
――ヒョンスンさんは?
シン・ヒョンスン ドグクは、清らかな澄んだ魂を持った人物です。幼い子どもみたいなところもあって、僕はそれがすごく不思議でした。アイドルのレビの時は、ファンにそんな姿も見せてますが、実際の彼はそれだけではない何かがある、と感じました。ドグクも、ハンジュと出会う事で成長していきますし、とても人間的なキャラクターだと思いました。
――アイドルという事で、モデルにした方は居ますか?
シン・ヒョンスン 誰か1人を参考にした、というのは無かったんですが、大学の同級生や今回の共演者に実際のアイドルが居たので、「アイドルとして生きていくのはどんな気持ち?」とか、彼らにいろいろ尋ねました。レビは7年目のアイドルで独立を考えている人物だったので、その時期のアイドルはどんな事を考えてるのかも聞いて役作りの参考にしました。
あと、アイドルらしく見えるように、例えばアクセサリーはどんな物をどういうスタイリングで着けたらいいのか考えたり、ヘアメイクさんとエクステを付けたり顔にキラキラを付けたり(笑)、試行錯誤しながらレビのスタイルを作っていきました。
■大学での呼び名は「クレヨンしんちゃん」!?
――ドグクが飾らずに話せる気楽な女友達はハンジュですよね。ヒョンスンさんにもそんな気楽な女友達は居ますか?
シン・ヒョンスン 大学の同級生とは気楽な関係です。僕の苗字が「シン」で、“クレヨンしんちゃん”の名前が韓国だと“シン・チャング”なんですよ。だから『チャングは止められない』(韓国でのタイトル)をもじって「ヒョンスンは止められない」って言われてます(笑)。
■アイドルとの恋…相手次第かな?(笑)
――ハンジュは超アイドルと恋に落ちていくんですが、ヒャンギさんは女優さんだから同業者にはなってしまいますけど(笑)、普通の女の子だと仮定して、そんな人気者に告白されたらどうしますか?
キム・ヒャンギ まずは、「私?」って不思議な気持ちになると思います。あとは、その人がどんな人なのかによりますね(笑)。いい人だったらとても嬉しいし、超人気アイドルだという事はあまり気にならないんじゃないかと思います。
■監督は「新語製造機」
――とても楽しい撮影現場だった、と聞いたんですが、どんな感じだったんですか?
キム・ヒャンギ 撮影現場で一番のムードメーカーは監督でした。とてもエネルギッシュな方で、例えば大切なシーンを撮る時に、自らアツく演じて見せてくださったり(笑)、お昼ゴハンの後、ちょっと眠くなっちゃったな…という時も「さあ、頑張って撮ろう!」と声をかけてくださって、現場でのエネルギーを一定に保つ事ができました。オモシロエピソードがいっぱいありすぎて…(笑)。
シン・ヒョンスン 監督はワードセンスが独特なんですよ。独特すぎて、最初は何の事を言ってるのか全然わからない事も多かったんです(笑)。例えば、撮影後のチェックでモニターを見ながら、「トンカツ、トンカツ」って言ってて(笑)。
キム・ヒャンギ (笑)。そうやって新しい言葉をどんどん作るんですよ。
シン・ヒョンスン 何の事か聞いたら、モニターに映像が映ってない、って事らしくて(笑)。そのうちに僕らも慣れて、同じように使ってました。
■学びの多い現場でした
――撮影を通して、ご自身の成長を感じた部分は?
キム・ヒャンギ 私は作品に出演するたびに、何か学んで成長していきたいと思ってるんです。今回、監督が、強制的ではなくそれぞれがベストを尽くせるように引き出してくれてエネルギーを与えてくれたので、自分もそうなりたいと思ったし、現場で楽しんで演じたいと思うようになりました。それと、音楽への関心が増して、前よりたくさん聴くようになったし、その歌が持つ情緒なども知りたくなって深く聴く習慣が付きました。
シン・ヒョンスン 今回、かなりタイトな日程での撮影で、スタッフ含め皆大変だったんですが、監督のおかげでずっと楽しくて明るい現場でした。おかげで僕も明るいエネルギーをたくさんもらえて、前向きな気持ちで撮影に臨む事ができて、良い現場だと自分にも良い影響がある事を学びました。そして、ヒャンギさんを始め、良い先輩方やスタッフの方と出会えて、僕自身も多くの事を学んだり考えたりする良い機会になりました。それと、ダンスの練習をしてる時に、普段からいろんな事を準備しておく姿勢を持つ事が大切だと感じました。何事も準備しておけば、必要な時にすぐ動けるでしょ?これからは、常に様々な事を準備しておこうと思います。
インタビューに答える2人は終始とても楽しそうで、コンビネーションもバッチリ。良い作品ができた事が窺えた。
『プレイ・プリ』は、Huluにて毎週土曜12:00に新エピソードが2話ずつ追加され、全8話構成。超人気アイドルとのヒミツの恋にドキドキしたり、夢に向かって頑張る姿を応援しながら、2人の成長を楽しみたい。
◆取材・文/鳥居美保
Hulu初のオリジナル韓国ドラマ「プレイ・プリ」 W主演のキム・ヒャンギとシン・ヒョンスンインタビュー
2023年11月21日