
数年前から音楽においてノスタルジックな表現が目立つ。その代表格は「ヴェイパーウェイヴ」だが、一方で「フューチャーR&B」や「フューチャーソウル」といったジャンルは現代的な音色を使って懐かしい曲調に新たな息を吹き込んだ。
乙川灯さん(@otokawa_03)が描いたSNS漫画『深夜高速にふたり』は、その構造を漫画に置き換えている。修学旅行のバスや80年代を思わせる絵柄に、スマホやAirPods、そして「フューチャーファンク」。懐かしい漫画物語を現代の要素で新たに装ったといえる本作について、作者本人に尋ねた。
――投稿から4日ほどで9.4万を超えるいいねが集まっています。
乙川灯(以下、乙川):ここまで反響をいただくことはなかったので驚いています。1年前の「コミティア」で既に発表していた作品だったこともあり、素直にびっくりしました。ありがたいことにフォロワーさんも約6000くらい増えて。
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――なぜ改めてXに投稿されたのでしょう?
乙川:発表して1年経ったら無料で公開しようとは考えていて、今はちょうど仕事が少ない時期だったので思い付きで公開したんです。
――着想された時のことは覚えていらっしゃいますか。
乙川:現在29歳になりましたが、アイデアを得たのは大学時代にサークルの冬合宿で夜行バスを利用した時でした。乗りこんだ時はみんなでワイワイ話していたのに疲れ果てたのか、静まり返ってしまって。その空気感や窓の外の遠くにある光など、その雰囲気が印象に残ったんです。
さらにここに同じ気持ちを共有できる人がいる、という漫画にしたら面白そうだなと。実体験としては誰か相手がいた訳ではなく、ひとりでぼうっとしていただけでした(笑)。
――物語の展開については?