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「悪文」を「伝わる文章」にするには? 今こそ読まれるべき超ロングセラー文章読本。

BOOKウォッチ

悪文(KADOKAWA)

 驚異のロングセラー文庫『悪文 伝わる文章の作法』(KADOKAWA)が、第6回八重洲本大賞(主催:八重洲ブックセンター)を受賞した。

 情報があふれる「今こそ読まれるべき本」に贈られる八重洲本大賞。「従来の既存のジャンルにとらわれず、今こそ読まれるべき本を選び、幅広い読者に届けること」を目的に、八重洲ブックセンターが毎年選定している。

 2023年は「始動」をテーマに選考が行われ、本書と『言語の本質 ことばはどう生まれ、進化したか』(今井むつみ、秋田喜美 著、中央公論新社)が受賞した。

『悪文 伝わる文章の作法』とは?

時代を超えて役立つ、普遍的な文章読本
メール、履歴書、企画書、ブログ……。不用意な語順、たった一文字の助詞の違い、身勝手な句読点の打ち方により、読み手に届かないだけでなく、誤解や行き違いを引き起こすことも。「すらりと頭に入らない悪文の、わかりにくさの要因」はどこにあるのか? 伝わらない文章の具体例を挙げて徹底解剖。悪文の撃退法を50の鉄則で示し、添削法を明かす。

国立国語研究所の国語学者による共著
日本語のスペシャリストが集う国立国語研究所。所長だった岩淵悦太郎氏(1905―1978年)を中心に、8人の国語学者が集結。身近な文章を「悪い例」として引用しながら、ときに歯に衣着せぬ批評により、文章作法の要点をコンパクトに解説する。

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巻末の「悪文をさけるための五十か条」は必携
本文の要約と索引を兼ねた「五十か条」を巻末に掲載。「文章の組み立て」「文の組み立て」「語の選び方」「敬語の使い方」に関する教えが一覧できる。文章のプロの中には、この部分をコピーして座右に置く人も少なくないという。

『悪文 伝わる文章の作法』岩淵悦太郎 編著(KADOKAWA)

文章表現の根本は「達意」

『悪文』の初版は、1960年に日本評論社より刊行された。本書は、1979年に刊行された『第三版 悪文』を改題して文庫化したもの。

 明治時代が「美文時代」だったのに対し、現在(1960年当時)は「悪文時代」だと、編著者の岩淵さんは書いている。平明な文章が好まれるようになったことは一つの進歩としつつ、今やマス・コミ時代で、文章が大量に生産され、書く層も広くなってきた。その結果、世間に現れる文章が必ずしもきちんとしたものとは限らないのだろう、と分析している。文章の大量生産、書く層の広がり、というのは、60年以上経った現代にも言えることだ。

「悪文のいろいろ」の章を見ると、「わかりにくい文章」「誤解される表現」「堅すぎる文章」「混乱した文章」とある。本章に出てくる「悪文」の例は、1958年、1959年頃の新聞、放送、広告、広報などから集めたものだという。

 岩淵さんの言う「悪文」とは、「一読しただけでは意味がよくわからない文章」のこと。さまざまな「悪文」を紹介しながら、それらがなぜわかりづらいのかをズバリ指摘している。たとえば……

・一つの文が非常に長い。
・主語が文の終わりにあり、何について述べようとしているのかがわからない。
・修飾句が長すぎる。
・持って回った言い方をしていて、すらりと頭にはいらない。
(「わかりにくい文章」より)

 ほかにも、「混乱した文章」では、いろいろな事柄がごたごたと並べられていて整理されていない「悪文」について、文章の構成を最初に十分に考えることなく、思い浮かぶままに片っ端から書いていったと言っていい、とバッサリ。そうなると、読み手はどこへどう引っぱられていくのか予測がつかない、と指摘している。

「すべて、一読してわからないような文章は悪文である、ときめつけるのは軽率かも知れない。しかし、昔から『達意の文』ということが言われている。文章表現の根本は、何と言っても意味が読み手に通ずるかどうかということであろう。情緒だけ伝わればいいという場合もないではないが、普通の文章では、まず『達意』ということが基本になると言ってよい。」
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