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『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は親父たちの挽歌である

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水木しげる生誕100周年記念作品として制作された『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』が11月17日に公開された。55年に渡って愛されてきたアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」。まさに老若男女、すべての世代が知る国民的アニメの劇場公開作品の魅力を語るとともに、各世代それぞれの鬼太郎を振り返りたい。

父親たちのエピソード・ゼロ

ある廃村に向かうトンネル。暗がりに鬼太郎、目玉おやじ、ねこ娘が浮かび上がり、真夜中の湿気帯びた荒れ果てた土地で目玉おやじが過去を回想する。その廃村は、行方不明の妻を探している、かつての目玉おやじと、ある密命を背負ったサラリーマン水木が出会い、運命的なつながりを得た場所だった‥‥。

アニバーサリーイヤーに公開される本作の監督を務めたのは『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂!!』(2008)を担当した古賀豪。『〜日本爆裂!!』は、「ゲゲゲの鬼太郎」アニメ放送40周年を締めくくるプロジェクトとして制作され、アニメ第5期の実質最終エピソードという位置付けである。

そして今回の『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』は、アニメ第6期のエピソード・ゼロともいえる。タイトルこそ「鬼太郎誕生」となっているが、本編の内容としては、かつての目玉おやじと水木、いわば鬼太郎の父親たち2人の冒険譚である。

目玉おやじの過去の姿は、原作「墓場の鬼太郎」の不死の病を患ったミイラ男の様な姿でもなければ、アニメ第6期14話「枕返しと幻の夢」で登場したイケメン姿でもない。

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昭和52年「週刊実話」で連載されたお下劣ギャグ漫画「続ゲゲゲの鬼太郎」(現「ゲゲゲの鬼太郎 青春時代」(KADOKAWA))で描かれていた高校時代の鬼太郎に近いイメージだろうか。

もちろん、鬼太郎が生まれた経緯が分かる前日譚となっている。コレじゃない感を感じるファンもいると思うが、ラストにはアニメ版「ゲゲゲの鬼太郎」にも「墓場の鬼太郎」の第1話にも帰結するような展開になるのでお楽しみあれ。

また水木も、帝国血液銀行勤めのサラリーマンという設定で登場する。少々野心家である点を除けば、ほぼ原作どおり。本編では、血液銀行の説明が省かれているので、ここで補足すると、かつて日本では1950年代から1960年代半ばまでは、手術に必要な血液は患者個人が買うもので、個人が血を売り輸血用血液を民間の血液銀行が保存、供給していたのだ。

物語の舞台は、戦後復興から立ち直り高度経済成長へ向かおうとしている昭和31年。
昭和31年5月31日に読売ジャイアンツ選手、川上哲治が達成した2000本安打や、昭和28年公開の『君の名は』で一躍トップスターとなった、中井貴一の父こと佐田啓二、昭和33年に竣工される東京タワーについての話題が登場する。こういった時代背景を表すちょっとしたセリフがあり、抜かりがない。
原作「墓場の鬼太郎」の設定をアレンジしないこと、水木しげる、ならびに作品が生まれた時代へのリスペクトを感じる。

それぞれの鬼太郎と墓場の歴史

鬼太郎は常に時代とともにある。ここで鬼太郎シリーズの変遷をアニメシリーズを中心に振り返りたい。

昭和29年、水木しげるは、鬼太郎シリーズの原点となる紙芝居物語「墓場の鬼太郎」を仕立てる。昭和35年には、貸本漫画版「墓場鬼太郎」を発表。この時期の鬼太郎は、人間の味方ではなく、関わる人間に怪奇な結末をもたらす不吉な少年だった。

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