
結婚のあいさつをするために彼の実家へ行く女性を描いた『今日のきょうこさん』が2023年10月にXで投稿された。ハイヒールを履きキチンとした女性であることをアピールしようと意気込むものの、どうやら順調にはいかないようで……。
作者の岸田夏子さん(@natsugasuki2)は商業作家として活動しつつ、本作のような短編漫画もSNSに投稿している。本作を創作したきっかけ、商業作品とは異なる漫画も制作する背景など、話を聞いた。
ーーお義父さんの表情がすごく好きでした。本作を創作したきっかけは?
岸田夏子(以下、岸田):最近パートナーのご実家に結婚のあいさつに行きまして。親戚付き合いが苦手ですごく怖かったのですが、義理のご両親がすごくいい方で、楽しく過ごさせていただきました。その日のことを忘れたくないと思い、この経験を題材にした漫画を描こうと思いました。
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はじめはエッセイとして作品を描こうかと思ったのですが、フィクションの漫画として作品を描きたいと思い本作のような作品となりました。
また作中で「岩をかついで川の底を歩く」というエピソードがありましたが、これは自分が子どもの頃にやっていた遊びでした。実際にあいさつの場でパートナーにその遊びのことを言われて、自分なりに背伸びしながらキチンとしていたのに、岩をかついでいた女の人という印象になってしまい……。その瞬間は恥ずかしかったのですが、御家族には笑ってもらえたのでよかったなと思い、作中でも同じエピソードを描きました。
ーーハイヒールをモチーフとして描いた背景は?
岸田:物語の最初と最後で主人公が変化していなければいけないと思い、わかりやすい変化のかたちとしてハイヒールを描こうと思いました。実際のあいさつでは、私はぺったんこの靴で行ったのですが……。ちなみにパートナーはTシャツと短パンだったので驚いたのですが、それがこの人のいいところだと思い、作中でも当時のことを描きました。
ーー恋愛要素とコメディ要素が入り混じる本作を描くなかで意識したことは?
岸田:『女の園の星』の和山やま先生が好きで、本作を描くなかで和山先生の作風を真似しようとしたものの、自分の絵柄から変えなきゃ無理だと思って……。自分は少女漫画を読んで育ってきたので、最後は男の子にかっこいいことを言うシーンにしたくて、本作のような結末になりました。そのためギャグ漫画に振り切れなかったのですが。