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【ONE PIECE考察】ガープ中将は“次世代”に何を託したのか? その偉大なる功績と影響力

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 『ONE PIECE』がネットフリックスのドラマとして実写化されたことにより、世界中から注目を集めているガープ。本作の主人公・ルフィの祖父であり、物語の行方を大きく左右する存在だ。

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 そんなガープがいま、原作コミックのほうでも注目を浴びている。「海軍の英雄」とも呼ばれる伝説の海兵として「大海賊時代」と対峙してきた彼が、その生涯を終えようとしているかもしれないのだ。つまり、“ガープ死亡説”が読者の間で話題となっているのである。彼の死の真偽のほどは別として、ここではモンキー・D・ガープという存在の功績を振り返り、本作における影響力の強さを見つめ直してみたい。

 海軍本部中将の地位にあるガープが初登場したのは、45巻第431話「愛の拳」でのこと。18巻第157話「エース登場」で初登場したルフィの兄のポートガス・D・エースと同じように、不意に彼は読者の前に現れた。私たちの誰もが、麦わらの一味の面々と似た反応を示したのではないだろうか。

 ガープは登場するなりルフィを殴りつけたが、ゴム人間に打撃が効くはずはない。「愛ある拳は防ぐ術なし!!」などと言っていたものだが、肉親だからといってそんな特別ルールが『ONE PIECE』の世界に通用するはずもない。そこには何かしらのカラクリ(=秘密)があるのだろうと読者の誰もが考えただろう。それはのちに“覇気”によるものであったことが判明するが、この時点でルフィらとガープには圧倒的な力の差があり、海軍中将クラス以上の者たちがいかに底知れぬ強さを持っているのかを一瞬で私たちに植えつけた。

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 「自由にやるにはこれ以上の地位はいらん」との理由から昇格するのを蹴ってきたわけだが、彼の存在が海軍将校の地位にあるキャラクターたちの強さの指標のひとつになってなっていたのは間違いない。となれば自然と、『ONE PIECE』の世界におけるパワーの相関図もクリアに見えてくるというもの。孫のルフィが物語の中心人物である本作において、これがひとつのガープの功績にして影響力である。

 そして彼はルフィの祖父というだけでなく、革命家・ドラゴンの父でもある。「海軍の英雄」として圧倒的な権威を持っているがゆえに、誰よりも複雑な立場に置かれている人物なのだ。しかしこの複雑さを吹き飛ばしたのが、ルフィとよく似たその豪快な性格。どんなことでも「ぶわっはっはっはっは」とすべて笑い飛ばしてみせる。そう、だからこそ、59巻第574話「ポートガス・D・エース死す」にてのぞかせた激情は私たちの胸に迫るものがあった。愛と憎しみと怒りと悲しみに満ちたガープの姿は「海軍の英雄」などではなく、心を持ったひとりの人間だったのだ。

 これ以降、ガープというキャラクターの複雑さは増していく。幼少期のルフィや、海軍将校を目指して入隊してきたコビーらを鍛えた点についてはここでは置いておこう。言及したいのはその人物像だ。

 かつて海賊王であるロジャーから託されたエースが死に、海兵に育てたかった孫のルフィはさらに海賊として名を上げていく。コビーやヘルメッポら愛弟子たちは着実に力をつけてきたが、それはときに危険なミッションに放り込まなければならないことを意味するだろう。実際、コビーはもっとも危険な黒ひげ海賊団の囚われの身に。そして、コミックス最新刊である107巻第1081話「黒ひげ海賊団10番船船長クザン」では、一番弟子のクザン=青キジが反旗を翻し、黒ひげ海賊団への加入が判明。交戦しなければならないことになった。その心中は察するに余りある。もはや不条理の領域だ。

 そんなガープはかねてより、“未来”や“次の世代”のことを第一に考えてきた人物でもある。時代が変われば人々の価値観はガラリと変わる。上の世代の者が下の世代の者たちに教え諭すのには限界がある。そして、「正義」というものは環境によって変わる。ガープの存在をとおして、私たちはこの真理に触れるのだ。ルフィは海賊然とした海賊ではない。彼が目指すのは誰よりも自由な存在。海賊とは敵対関係にある祖父を振り切り、自由を求めて海へ出た。ガープの存在があることで、『ONE PIECE』が持つ主題はより際立つのだ。

 
   

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