
財務省が16日発表した10月の貿易統計速報(通関ベース)によると、輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は6625億円の赤字となった。赤字は2カ月ぶり。ただ、輸出が自動車の好調を背景に増加したほか、輸入も資源を中心に減少したことで、赤字額は前年同月から7割減少した。
輸出は前年同月比1.6%増の9兆1471億円。半導体の供給回復で堅調だった自動車がけん引し、単月の輸出額は比較可能な1979年1月以降で最も多かった先月に次ぐ水準で、10月としては過去最高だった。
輸入は12.5%減の9兆8096億円だった。資源高の緩和を背景に原油は16.8%、液化天然ガス(LNG)は37.6%それぞれ減少した。
国別の貿易収支は、対米国が9152億円の黒字。輸出はハイブリッド車(HV)の増加などで8.4%増の1兆9286億円となり、単月の過去最高を更新した。対中国は6743億円の赤字。東京電力福島第1原発の処理水放出を受けた水産物の全面禁輸が影響し、食料品の輸出は55.0%減った。
◇10月の貿易統計
輸出額輸入額差引額
総額91,47198,096▲6,625
(1.6)(▲12.5)(―)
〔主要貿易相手別の内訳〕
中国16,51223,255▲6,743
(▲4.0)(▲2.9)(―)
米国19,28610,1359,152
(8.4)(▲4.5)(27.6)
EU9,36410,231▲866
(8.9)(▲5.6)(―)
(注)通関ベース。単位億円、億円未満四捨五入。カッコ内は前年同月比増減率%。▲は赤字または減。―は比較できず