任天堂は11月8日に行われた「2024年3月期 第2四半期決算説明会/ 経営方針説明会」の「質疑応答」資料を公開し、任天堂IPについての考えを明らかにしました。
IPを活用した循環がカギ
古川俊太郎 代表取締役社長は、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の成功もあり「モバイル・IP 関連収入等」の売上高が大きくなっているものの、「ゲームを通じて培われたIPに対するイメージや愛着を壊さないように、非常に丁寧な監修が必要」であることから、「IP関連ビジネス全体に対して売上等の数値目標を掲げることは考えていない」と明言。一方、ぬいぐるみなどの関連グッズやテーマパークのアトラクション、また映画といった手段を通じて「任天堂IPに触れる人口の拡大」を基本戦略として掲げていると説明しています。さらにこのようにすそ野を広げた上でニンテンドーアカウントを通じて、ユーザー一人一人との接点強化と長期的な関係構築を考えているとのことです。
ノウハウがないテーマパーク運営についてはライセンスという形態を、貴重なソフトウェア資産となる映像コンテンツではクリエイティブ面を含め深く関与する必要があるとするなど柔軟に対処するとしています。
「ゼルダの伝説」の実写映画化は丁寧に進めていく
また、質疑応答の回答の中で、「IP価値の最大化と毀損リスクのバランスについては、今までどおり過度な露出を控えながら、一つひとつ丁寧な展開を続けることで、ゲームファンの皆様の期待や思い入れを裏切らないことが大切だと思います。」と発言、同社のIPに対するスタンスを明白なものとしています。
それに関連し、代表取締役フェロー宮本茂氏は、「ゼルダの伝説」の実写映画化について、世界中のファンの期待を裏切らない映画を制作するのは大変なハードルだと考えているとし、そのハードルを覚悟した上で、Arad Productions Inc.代表のAvi Arad 氏とは10年ほど前から話し合いを続けてきたとのこと。自分たちが納得できる良いものが完成するまで時間をかけて取り組むことができる関係者が集まっており、期待を裏切らない良いものができたタイミングで公開したいとしました。
「マリオ」や「ゼル伝」など多くのIPともに堅実な成長を続ける任天堂、これらの精神とともにこれから先どう成長していくか楽しみです。
「ゼルダの伝説」実写映画化も丁寧に進めていく―ゲーム専用機需要拡大のため任天堂IP価値の最大化は不可欠
2023年11月17日