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新納慎也のクセの強さがたまらない! 『ブギウギ』の世界に新風を吹かせる存在に

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『ブギウギ』写真提供=NHK

 ヒロイン・スズ子(趣里)が故郷を離れて上京し、新章がはじまった朝ドラ『ブギウギ』(NHK総合)。愛する家族や切磋琢磨し合った仲間たちとの別れを惜しみつつも、新たな出会いに胸を高鳴らせているところだ。

参考:朝ドラ『ブギウギ』に新たな“クセ強キャラ”小栗基裕が登場 本格的なダンスシーンに期待

 そんな彼女を迎える者のひとりが松永大星。これからのスズ子にとって超重要人物となるであろう存在だ。演じているのは新納慎也である。

 この松永という人物は、スズ子を東京に連れてきた張本人。東京の梅丸で「梅丸楽劇団(UGD)」を立ち上げるために大阪の「梅丸少女歌劇団(USK)」を視察に来ていたところ、彼はスズ子の歌唱の才能に目をつけたのだ。「UGD」の旗揚げ公演を任せられているやり手の演出家であり、海外留学の経験から日常会話に英語を交える、だいぶクセ強めの人物である。

 第5週の第24話で初登場を果たすなり、そのキャラクターを発揮。身振り手振りをともなった新納の大胆なパフォーマンスは、個性的な人物が数多く登場する本作においてもひときわ目立つものだった。ほんの短いシーンの限られた出番の中でも新キャラクターとしての存在感を示し、『ブギウギ』の世界に新しい風を吹き入れる役割を担ったのだ。

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 本作の公式ガイドである『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)にて新納は、「松永の登場シーンは、演じ方によっていくらでも派手にすることができました。しかし、あまりやりすぎると、その後のシリアスなシーン等で困るだろうなと。そこで、『こんな人もいるよな』と思えるリアリティのある“個性的に生きる松永”を意識して演じました」と述べている。

 もちろん、作品の世界観から逸脱する者がいないように演出が施されたりするわけだが、全体のトーンや物語の流れを脚本から読み取り、パフォーマンスに反映させるのが俳優の仕事である。新納が語るように松永の初登場回の直後には、このうえなくシリアスな展開が用意されていた。そう、スズ子の尊敬する大和礼子(蒼井優)の死だ。もしも松永があのようなテンションで登場していなければ、私たち視聴者にとって作品の感触は異なるものになっていただろう。悲しみ一色になっていたに違いない。

 たしかに、スズ子の憧れの人の死は悲しい。けれども彼女の人生はこれからも続いていく。いや、これからが本番なのだ。スズ子の今後に関わる松永という人物の登場を、新納があのような愉快なパフォーマンスで提示してみせたことが、絶望の先に希望の光があることをも示していたと思う。優れたバランス感覚による妙演だった。さすがは演劇界で相当な場数を踏んできた猛者である。

 ストレートプレイにミュージカルにと、板の上の新納はジャンルを問わずさまざまな名作の誕生に貢献してきた。蜷川幸雄、栗山民也、三谷幸喜、そして『ブギウギ』にも登場する宮本亞門らなど、クリエーションをともにしてきたのは日本を代表する演出家たちである。

 とくに三谷作品では舞台だけでなく、2016年放送の『真田丸』(NHK総合)と2022年に放送された『鎌倉殿の13人』(NHK総合)にも出演。どちらも大河ドラマである。後者に関しては昨年のことだということもあり、新納の好演ぶりを鮮明に覚えている人は多いのではないだろうか。『真田丸』では豊臣秀次を、『鎌倉殿の13人』では阿野全成を演じ、いずれも退場時には“ロス現象”を巻き起こした。こうして大役を任されるあたりに、三谷からの信頼度の高さがうかがえるだろう。

 さて、そんな新納慎也。彼の演じる松永はスズ子の導き手となるだろうか。大河の次は朝ドラ。今度は朝のお茶の間を大いに盛り上げ、作品をリードしてみせるに違いない。

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