
万が一のときのために加入している生命保険。しかし、病気やけがによる治療が長期化し、収入が減ってしまい家計が赤字になると、月々の保険料負担を重く感じることもあるかもしれません。保険の保障のなかには、そうした事態を防ぐものがあることをご存じでしょうか。本記事では、株式会社ライフヴィジョン代表取締役のCFP谷藤淳一氏が、西村優子さん(仮名・41歳)の事例とともに、がん保険の適切な備え方について解説します。
家計を支える夫が胃がん発症
千葉県流山市在住、専業主婦で41歳女性の西村優子さん(仮名)。家族はふたつ年上の夫と長女、長男の4人家族。
夫は大学卒業後商社に勤め年収は約900万円。こどもは現在7歳と5歳で、長女はピアノと英会話、長男は水泳の習い事につかせています。5年前現在の一戸建ての自宅を購入し、夫名義の住宅ローンを返済中です。貯蓄は約500万円で、子供たちの教育関連や住宅ローンの繰り上げ返済などに充てようと考えています。
現代では夫婦共働きというライフスタイルも一般的ですが、西村さん夫妻に関しては親の影響なのか夫が仕事で家計を支え、妻が家事と子育てを担うという形で結婚以来過ごしてきています。そういったスタイルで経済的には夫に全負担がかかっている西村家の家計ですが、3年前会社の健康診断から夫に胃がんが発覚し現在に至ります。
がんの宣告を受けた際には『がん=死』というイメージだった西村さんは絶望の気持ちになりましたが、夫は手術を受けその後も薬の治療を受けながら仕事に復帰することができ、心の底から安堵しました。
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ところが1年半前の定期検査でがんが転移していることが発覚、再び治療を始めることになりました。今度は手術ができない状態とのことで、3週間に1回の通院で抗がん剤治療を受けています。
加入している保険はすべて死亡保険
西村さん夫妻は5年前、第2子である長男の誕生をきっかけに生命保険の見直しをしました。家計はすべて夫が支えているため、保険の対象はすべて夫で加入した保険は以下のとおりです。
①終身保険 保険金額1,000万円
②収入保障保険 保険金額月額25万円
③学資保険 満期学資保険金額220万円×2
相談に行った来店型保険ショップで、夫の死亡時に必要な保障金額を試算ソフトでシミュレーションし、当時は約8,500万円の保障が必要との結果となりました。仕事の経験がほとんどなく、夫に万が一のことがあった場合に自分で稼ぐ自信がまったくなかった西村さんは、必要になる額の分生命保険に加入してもらいたいという気持ちがあり、夫もそれに応じて3種類の商品にわけて死亡時の保険に加入してくれました。