
■最初の出会いはお互い“犬”として!?
――初めて会ったのは『ふぉうちゅんドッグす』の現場かな?
そうですね! 私がフレンチブルドッグのフレディで……。
――僕がしゅびっち(※小林由美子さんの愛称)の相棒で、ミニチュアダックスのドッチね。
もう16年前とかですねぇ……その節はお世話になりました。
――本当に声優の現場って不思議な世界だよね。初めての出会いが犬の声って(笑)。
本当ですね(笑)。ただ私としては、昔から一方的に知っていた裕さんが、同じ場所で同じ空気を吸いながら一緒にいることが不思議でした!
――それだと僕がリアルな人外みたいじゃん!(笑)。
ああ、失礼しました!(笑)。

■声優になりたいきっかけは『ドラゴンボール』
――でも初めて会った時から真弓(※田中真弓さん)とか、みなみ(※高山みなみさん)と同じ印象で「面白い子だなぁ……」って思っていたよ。
わーっ! ありがとうございます!
――どこかで声は習っていたの?
いえ、全く習った事はなくて、小学校4年生の時に「声優になりたい」と思っていました。それから現在に至る感じでして。
――声優になりたいと思ったきっかけは?
『ドラゴンボール』ですね。毎週水曜日の夜7時に見るのが楽しみでした。その時はまだ声優という存在は知らなくて、キャラクターが普通に声を出していると思っていたら、友だちが学校に声優雑誌を持ってきて、「この人が悟空の声をやっている人だよ」って教えてくれて!
――マコさん(※野沢雅子さん)だね。
そうなんですよ! しかも女性の方が男の子の悟空の声をやっているとかもぅ「ええーーー!?」と声を上げちゃったくらい衝撃的で……。
――いいね、声優冥利に尽きるよ(笑)。
そこから声優に興味を持って、インタビューや声優雑誌を読み始めて「野沢さんみたいに男の子の声が出る声優になりたい!」と思うようになりました。

■デビュー当時から“矢島晶子さん”への憧れ
――ちなみに大人になってから影響を受けた作品はありますか?
これ話しちゃうと、「ちょっと、できすぎてんじゃないの?」って思われるかも知れないのですが……。声優になりたいと思ったきっかけの、「男の子の声をやりたい」という思いはずっと変わらず、男の子の役を演じる女性声優さんの声をいっぱい聴いて勉強している中で、外画(※ 日本以外で制作された映像作品)でも通用する、より自然で、子役さんともいい勝負ができるような男の子の声でもありたいと思っていたんです。
――うんうん。
そんなときに、矢島晶子さんが吹き替えをしている『ホーム・アローン』を観て、マコーレー・カルキンの吹き替えを聴いて、これ何回聴いても子どもの男の子の声にしか聴こえなくて……。
――矢島さんは本当にナチュラルな芝居ができるからね。
本当に「どうしてこの声が出るんだろう……?」と思い、録音して毎日毎日聴きましたが、いまだに子役さんがしゃべっているようにしか聴こえないですね。
――我々は作品を“観る”より“聴く”からね。それ、いつの頃?
デビュー当時なので20年前です。それからずっと矢島さんの芝居に近づきたくて、矢島さんのカルキンのセリフを起こして毎日練習していました。
――セリフまで起こしていたんだ! それから20年経って、矢島さんと交代してしゅびっちが演じるとはね。
そうなんです! 『クレヨンしんちゃん』のオーディションのチャンスはいただけましたけど、まさか私がしんのすけを演じるとか夢にも思っていませんでした。ナチュラルではない声の部分かもしれないですが、20年経ったいまでも矢島さんが積み上げてきたしんちゃんの声をDVDで毎日聴いて、矢島さんのセリフを起こして、勉強させていただけるとは……。

■昔もいまも“矢島晶子さん”がお手本!
――いまでも矢島さんのしんちゃんのセリフを起こしているんだ! 本当に不思議な縁だよね。
本当に私が勝手に思っているだけですけど、縁を感じています。いまでも毎日矢島さんのしんちゃんと、私のしんちゃんはどう違うのかを聴いて、声に出して勉強しています。
――でも国民的な作品でもあり、大きなチャンスをいただいたよね。
矢島さんのナチュラルな男の子の演技は、私の中でいつも目標としてあるので、このお話しをいただいたときは、何とか私もその目標に近づけたら…!これはそのチャンスだ…!と思いました。
――僕は誰かが演じていたキャラクターを受け継いだ事はないんだけど、実際それってどういう感覚になるのかな?
とにかくしんちゃんはキャラクターイメージが強いので、ウチの子どもも『ドラえもん』と一緒に必ず観る番組ですから、子ども達が違和感なく観られるようにというのを凄く意識しました。そのためには、子供達や長く観てくださっている方のためにもとにかく雰囲気を壊さないよに極力先代に近づけていこうと…。いつかそこに自分の色も出せたらいいなと…。
――プロだねー!
いまは矢島さんの積み上げたものまねでしかないですけど……(苦笑)。

――でも“真似る”というのは耳があって、再現する気持ちがあって、それに声の技量がないとできないからね。そして真似てもどこかで必ず自分の色に変わるし、子どもに違和感なくという制作側の立場で理解をするのはプロの仕事ですよ。そのうちしゅびっちのしんちゃんになっていくから。
が、がんばりますぅぅぅ~~(感動の表情)。
■切札ジョーは我が子……?
お子さんがいるじゃないですか、演じる上で参考になります?
なりますね(笑)。いま『デュエル・マスターズ』の切札ジョーという小学4年生の男の子の役をやらせていただいていますが、ほぼほぼ娘を参考に演じています。
――そうなんだ(笑)。
娘は小学1年生ですけど、お転婆で男の子みたいなところがあるので(笑)。ウチの娘と面識のある方から、「絶対、娘が入っているでしょ?」とか言われるくらいでして(苦笑)。

小林由美子さんとくれば文豪も思わず唸りたくなるほどのブログ「おかわり自由」日記を読めば、切札ジョーのお手本となっている娘さんも登場しているから要チェック! ちなみに愛称の“しゅびっち”は「小林由美子を早口でいうと『しゅびこ』になるのを『しゅびっち』にしました!」ですって(笑)。どこまでも面白い方でした!☆☆☆

●小林由美子プロフィール

●インタビュアー:水島裕

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