
俳優、司会者、エッセイストとさまざまな分野で活躍する黒柳徹子が1981年に刊行した『窓ぎわのトットちゃん』の続編となる『続 窓ぎわのトットちゃん』が10月3日に刊行され、同日、都内で黒柳が発売記念会見を行った。
『窓ぎわのトットちゃん』は黒柳の小学生時代の思い出を描いた本で、国内で800万部、全世界で2500万部を売り上げた大ベストセラー。小学1年生で最初に通っていた学校を退学になった黒柳を受け入れた「トモエ学園」のこと、黒柳にとって救いの存在となった小林宗作校長先生のこと、そしてたくさんのユニークな個性を持った友人たちとの交流といったさまざまなエピソードが描かれ、最後は戦争が始まり満員の疎開列車の中で眠りにつく場面で終わった。今回の『続 窓ぎわのトットちゃん』はそこから先のお話を描いている。
会見で黒柳は42年の年月を経て続編を書くに至った理由として「いつも考えていることは“戦争の時は嫌だったな”ということ。ロシアのウクライナへの侵攻があったことがもしかしたらこの本を書こうと思ったきっかけかもしれないです。やっぱり、いつでも子供にとって何が一番嫌かというと自由じゃないということだと思うんです。私にとっては一番自由ではなく、何をやってもいけないと言われ、逃げ惑ったあの戦争中のことは思い出すのも嫌だったんですが、そんなことを考えて、それで続きを書こうかなと思ったわけです」などと現在も続くロシアのウクライナへの侵攻が念頭にあったことを明かした。

また「続編を書いてほしいというお話は前からありました。でも“書くことないしな”と思っていたんですが、やっぱり一番大きいのはウクライナの問題でしょうか。“子供たちはどうしているんだろう?”と思った時に、自分が戦争の時にどうだったかと思いだして、それは前の本の時にも書いたので良かったんですが、やっぱり“もう少し書いておこうかな”と思って、それとなく、よく分かるようにこの中に(思いを)込めてあります。一番書きたかったのはそのこと」とも続けた。
続編を執筆中のエピソードとして「一番びっくりしたのは、自分で『続』のほうを読んで“私は何て変わらない人間なんだろう”と思った。1年生の時にあんなにダメで、学校も退学になるし、何かにつけて問題児。それが以降、変わっているのかと思ったら、これを書いているうちに“何も変わってないじゃない”と笑いました。でも私は芸能界というところで70年仕事ができたから“まあいいか”と思って自分を納得させたようなところがありました」と語った。
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そして最後は「読んでいただけたらうれしいと思います。それとやはり根底にあるのは前に書いたものの、トモエ学園の校長先生の“君は、本当は、いい子なんだよ!”と私に言い続けてくれた教えなので、そういうところも読んでいただけるとうれしく思います」と締めくくった。