◆■予選ラウンドの大一番で勝利
アジア競技大会男子予選ラウンド3戦目は韓国との一戦。勝ったほうかグループ1位となる重要な決戦は、韓国に一度も逆転されることなく83−77で勝利。予選ラウンド全勝を飾り、準々決勝へと駒を進めた。
日本はインドネシア戦で負傷したセンターの平岩玄(アルバルク東京)をロスターから外し、その平岩の代わりにスタメンに入った佐藤卓磨(名古屋ダイヤモンドドルフィンズ)がチェンジングディフェンスの要となって奮闘。得点では今村佳太(琉球ゴールデンキングス)を主体に3ポイントを重ねて出足で13-0と先行。この先制パンチが最後まで効いた。
リバウンドで奮闘した佐藤は「韓国を最初から乗らせたらいけないので、出足からディフェンスとリバウンドを頑張ることが重要でした」と語り、得点源となった今村は「僕らの考えでは韓国は格上と見ていたので、その相手にアグレッシブさをなくしてしまうと最初の5分で試合が決まってしまうので、出足から全員で共通意識を持ってアタックしました」と試合の入り方を特に重要視していたことを明かす。
対して韓国は開始早々にエースガードのホ・フンが打撲のアクシデントを負う重い立ち上がりから試合がスタート。前半は動きに切れがないまま散漫なディフェンスで試合が進み、日本のノーマークを作り出す動きの前に後手に回っていた。シュートタッチが冴えていた今村はこう話す。
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「今日で3試合目ですが、試合をすればするほどスクリーンの精度が上がってきています。自分が3ポイントを打つフォーメーションでは、いいスクリーンからオープンが作れたので、いいタイミングで気持ちよくシュートが打てました」
日本の3ポイントは前半だけで11/25本(44パーセント)という高確率。内訳は今村の3本を筆頭に、赤穂雷太、熊谷航(ともに秋田ノーザンハピネッツ)、西野曜(横浜ビー・コルセアーズ)、佐藤、市川真人(ベルテックス静岡)、川島悠翔(NBAグローバルアカデミー)、細川一輝(三遠ネオフェニックス)、米山ジャバ偉生(富山グラウジーズ)が各1本ずつ決め、コートに送り出された選手たちが次々と仕事をやってのけた。
前半を43-37と6点リードで折り返した日本は、後半に何度も韓国の反撃にあい、第3クォーターには同点、第4クォーターには1点差に迫られるが、そのたびにオフェンスリバウンドやこぼれ球に跳びつき、3ポイントにつなげる粘りを見せて83-77で勝利。最終的には3ポイントが17/41本の成功で41パーセントを記録。これはトム・ホーバスHCが求める日本のスタイルができたことを示している。
◆■なぜ格上相手に勝てたのか?
今村が「格上」と語っていたように、日本にとっては会心の勝利を収めたといえるだろう。韓国側からの情報で言えば、大会前に攻守ともに要となっていた195センチオーバーの選手を故障で2名欠き、さらに希望していた選手を数名負傷で招集できなかったことから、ガードの選手を補強。そのため、「大型フォワード主体のバスケから、ガード主体のバスケにスタイルを変更した」(韓国代表チュ・イルスンヘッドコーチ)と大会前に語っており、懸念を抱えていたことは事実である。
ただ、それでも個々の顔ぶれを見れば、大学生1名を除く招集された11名はKBLでトップの技量を持つ選手たちであり、7月の日韓戦当時から「アジア大会で金メダル」を公言していたのだから、日本に敗れた衝撃は大きいと言える。