とある実業家のホームパーティー映像の流出をきっかけに、娘が謎の不審死を遂げたばかりか、「担任の男性教師とパパ活をしていた」という捏造スキャンダルを流された一家による家族総出のなりすまし復讐劇を描く「ブラックファミリア~新堂家の復讐~」(毎週木曜夜11:59-0:54※10月5日[木]スタート初回は0:09-、日本テレビ系)。
今回が連続ドラマ初主演となる板谷由夏は、娘の死の真相を暴くため、ホームパーティーを主催した実業家の父親の愛人として相手方に潜入する新堂一葉を演じている。一葉は、自分のことよりも家族のことを一番に考える優しく頼もしい母親であり、家族のためならどこまで戦い抜く強い意志を持った女性だ。
プライベートでも二児の母親である彼女に、演じる一葉の印象やドラマの見どころはもちろん、母親として子どもたちと対するときの思いについても語ってもらった。
■連ドラ初主演に驚き
――今回の主演オファーを聞いた時、台本を読んだ時の感想を教えてください。
まさか、この年齢になって連続ドラマで初めて主演をやらせていただけるとは思ってもいなかったので、オファーをいただいたときは本当に驚きました。最初は「どうしましょう!」という感じだったのですが(笑)、今回は自分一人が主演というよりも、家族一丸となって復讐相手に立ち向かっていくお話なので、力強い味方がいるのは本当に頼もしいです。
台本をいただいた時は、素直な気持ちで面白いなと思って読ませていただきました。家族が一丸となって復讐していくのも新しいと思いましたし、私自身、まだどういう結末に向かうのかを知らないので、早く台本の続きが読みたくて仕方がないです(笑)。
――演じる一葉に共感するところはありましたか?
共感というよりも、一葉の気持ちは分かります。やはり物語のベースに“娘の死”というものがあるので。私も実生活では母親なので、自分の子どもを亡くすことを想像するだけでもつらいし、一葉もわが子にそんなことが起きるとは考えもしなかったと思うんですよね。しかも、その娘の死に不可解なことがあるのだとしたら、それを追求して復讐したいという気持ちは、親としてはあることだと思います。
ただ、人として恨みや復讐心を抱き続けるのは、一葉だけでなく、家族にとってもつらいことなのではないかと思うんですよね。そこは家族である新堂家のキャストの皆さんと感情を共有しながら、しっかりと演じていければいいなと思っています。
■共演者とは“家族”になれそうな印象
――新堂家の皆さん(山中崇、森崎ウィン、渡邉理佐、星乃夢奈)とは今回が初共演だそうですが、手ごたえを感じている部分はありますか?(インタビュー時は初顔合わせ後)
まだ分からないところもありますが、なぜか「はじめまして」感があまりなかったんですよね。皆さんが持たれている空気感やモチベーションが似ている気がして、ちゃんと家族になれる気がしました。
とくに今回のドラマは「新堂家 VS 早乙女家(実業家一家)」という構図になっているので、最初からそう思えたのは、すごく頼もしかったです。
■母親として大事にしていること
―― 一葉は家族のことを一番に思って行動する女性ですが、亡くなった娘が事件のきっかけとなるホームパーティーに参加していたのは知らなかった。板谷さん自身も子どもを育てるお母さん。子どもが成長するにつれ、親がどこまで子どものプライベートに干渉するのかは難しい問題だと思いますが、そのうえで家族とのコミュニケーションで大切にしていることはありますか?
うちは男の子のふたり兄弟なので、女の子ふたり姉妹の新堂家とは家族構成が少し違うのですが、コミュニケーションという意味で言えば、今、うちの息子たちは年齢的に思春期まっさかりなんですね。なので、母親としては言いたいことは多々あるけれど、それをぐっと我慢している毎日です(笑)。でも、彼らも同じように我慢しているところがあると思うので、できるだけぶつからず、なるべくスマイルで接する。それはいつも心掛けています。
――子どもとのコミュニケーションの取り方も年齢とともに変わってきますよね。
昔は「ママー!」と寄ってきていた子たちが、こんな顔をするのかと思うと、母親としては寂しいところがありますけどね(笑)。だからこそ、私や夫を含め、家にいられるときには家族全員でご飯を食べたいなと思うし、そうできるようにしています。やっぱり家族で過ごす日常というのは、すごく大事なものですからね。
■復讐劇を見るのは大好き
――そういった家族の幸せな日常を、新堂家は娘の死によって壊されてしまいます。その要因となる上級国民ファミリーに、家族それぞれがなりましをして潜入する。ドロドロの物語が予測されますが、そもそも板谷さんはこういったドロドロの復讐劇は好きですか?
一視聴者としては大好き(笑)。見る側としては「もっとドロドロしていけ!」と思うけど、いざ自分が演じるとなると、改めて大変だなと思っています。というのも、俳優は自分と違う役を演じるのが仕事なので、ある意味、常になりすましているんですよね。でも、今回は一葉を演じつつも、相手方を陥れるための別人格も演じないといけなくて。ある意味、“なりすまし”の上の“なりすまし”という二重構造になっているので、そこは自分にとっても挑戦ですし、頑張って演じていきたいなと思っています。
――復讐の相手がゲスな上級国民ファミリーと、そこに群がるゲスな人間たちというのは、視聴者としては痛快感がありそうですね。
ドラマを見てくださる方からしたら、「もっとドロドロしろ!いけ、いけ!」と思いますよね(笑)。たぶん、私が視聴者ならそう思うと思いますし、今回は家族で動くお話なので、皆さんが新堂家の一員となって物語に入ってきていただけるとうれしいです。一緒に物語を動かすという意味でも、みなさんもこの復讐劇に巻きこまれていただきたいです!
撮影=阿部岳人/取材・文=馬場英美
板谷由夏、連ドラ初主演作「ブラックファミリア」での挑戦『“なりすまし”の上の“なりすまし”という二重構造』
2023年10月1日