
森田かおりさん(仮名・45歳)の住んでいるマンションは、大規模マンション。
当然自治会がありますが、ほとんどかかわったことがなかったそうです。
ところが、とある事情から参加すると、そこには驚きの光景が広がっていました。
ただの説明会なのに…やる気に満ち溢れた参加者の空気
「普段は、自治会の会議など参加したことがなかったんですけどね。10~15年に一度のマンションの大規模修繕が入ることになり、ベランダのものを撤去するなど各戸でも対応が必要になってしまって。説明会に参加することにしたんです」と森田さん。「行ってみてビックリ。9割が高齢の男性でした。ただの説明会なのですが、皆さん、なんだかやる気に満ちた感じで、資料を読み込んでいたのを覚えています」と続けてくれました。
国会さながらのヤジに驚き
時間になり、早速説明会がスタート。修繕委員会の説明の後は、施工業者による具体的なスケジュールや、各戸が対応する必要のあることなど、大事な説明に入ります。「ですが、施工業者の責任者が声が小さい上に要領を得ない話し方で、何がどうなっているのかサッパリわからず……。後で質問をしようと思っていると、男性陣が騒ぎ出しました。
『声が小さくて聞こえねーよ!』『もっと分かりやすく話してくださいよ!』とヤジのようなものが飛び交うんです。紛糾した国会中継を見ているようでビックリしました」

「どうやら10年前に修繕が入ったときには、網戸は外さなくても良かったそうなのです。選定業者によってある程度やり方が違うのだろうなと思いますが、わたしも大きな網戸を室内でしまうのは困るので、他に方法がないか質問しようと思っていました。
ですがほかの参加者たちが激怒して『そんな話は聞いてない!うちは外さない!』とか言い出して、説明会が大混乱。それどころではありませんでした」
ヤジを飛ばしたかっただけ?

ヤジや怒号が飛ぶ説明会に驚いた森田さんは、ママ友にそのことを話しました。
すると、「絶対に外さない」と言ったのはママ友の義父だったそう。
「ママ友の義母は『網戸なんか興味ないくせに、ただヤジを飛ばしたいだけなんでしょ』とあきれ顔だったそうなんです。確かにベランダ周りのものの片付けなどは、奥さんのほうが手配するイメージが強いですよね。
参加者の高齢男性はおそらくみなさん定年退職をされた方たち。エネルギーが余ってしまって、会議のような場所で『仕事モード』を発揮したくなるのかなぁと思ってしまいました」
ヤジに感謝する一面も
後日、施工業者から先日の説明会で再検討した案が配られてきました。会議が大紛糾したおかげか、網戸の件は、施工業者が外から外して、期間中は袋に入れて、修繕に邪魔にならない場所に置いてくれることになったのだとか。
「大きな網戸を家で保管するのは大変だと思ったので、何もしなくてよくなったのは本当に助かりました。ですが、大の大人が自治会の場で、挙手して発言するどころか、ヤジを飛ばすという行為にはちょっと驚きです。もう少し冷静に進めたらいいのにな……とは思いましたね」
自治会というと、なんとなく面倒くさいイメージが付きまとうのは、こういうことがあるからかもしれませんね。
<文/塩辛いか乃>
【塩辛いか乃】
世の中の当たり前を疑うアラフィフ主婦ライター。同志社大学文学部英文学科卒。中3繊細マイペース息子と20歳年上の旦那と3人暮らし。乳がんサバイバー(乳房全摘手術・抗がん剤)。趣味はフラメンコ。ラクするための情熱は誰にも負けない効率モンスター。晩酌のお供はイオンのバーリアル。不眠症。note/Twitter:@yukaikayukako