
『どうする家康』(NHK総合)の第36回「於愛日記」で、秀吉(ムロツヨシ)の新たな側室として家康(松本潤)の前に姿を現した茶々。かねてから「成長した茶々を誰が演じるのか?」とSNS上でも話題になっていたが、信長(岡田准一)の妹・市役からの、茶々として北川景子の再登場シーンは大いにインパクトのあるものだった。
参考:北川景子、茶々役で『どうする家康』に再登場! 「ラスボスのようなキャラクター」
母の美しさをそのまま受け継いだ美貌には、家康も「お市……様」と心の声をもらすほど驚きの表情を見せる。市の幻を見るような家康の様子に、秀吉がさらに上機嫌になるというお市様マジックも発動。
ただ、茶々が満面の笑みで手にしていたのは火縄銃で、いきなり家康に銃口を向けて「ダァーン!」と撃つ仕草などは信長の威圧感をも彷彿とさせるものだった。魔王のような信長の血筋を色濃く感じさせる茶々であり、信長が果たせなかった野望も、母である市の無念もそのまま譲り受けたような強い毒も併せ持つ高貴な姫。母と娘の二役だからこそ、織田家の系譜がより印象的なものとなり、北川景子が意識して市と茶々を演じ分けることにより、茶々の個性が際立つのが面白い。
ほかのキャストが続々と発表されるなか期待される茶々役については公表されず、二役というのにも驚きはあった。それにもまして、お市とあまりにも印象が異なること、はしゃいでいるのに凄みがあり、しっかりラスボス感まで漂うところにも魅了される。そんな茶々を演じられるとなると、北川のほかに誰がいるだろう。
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茶々として再登場するにあたり、北川景子は「お市役に続き、茶々役を務めさせていただきます。お市役と同時に、茶々役のオファーもいただいていました。最初は、一人二役だと見ている方を混乱させてしまわないかと不安も大きかったのですが、お引き受けすると決めたからには、しっかりと演じ分けたいと思いました。声の出し方や表情の作り方はもちろん、かつらの形や衣装も相談させてもらって、扮装の力も借りながら、お市とはまた違う、強さや危うさを併せ持った人にできればなと」とコメントしている。(※)
そもそも茶々という女性は覇権争いの真っ只中、乱世に生まれ、父である浅井長政(大貫勇輔)も母の市も、義理の父、柴田勝家(吉原光夫)も秀吉によって死に追い込まれた。その茶々が親の敵である秀吉の側室となる道を選んだということは、彼女なりの「天下を取る」ことへの強い意志が働いていることなのだろう。
北川景子も「『どうする家康』のラスボスのようなキャラクターなので、遠慮せずに最後まで暴れ抜いてみようと思っています。ぜひ、楽しみにしていてください」と言うように、家康にとっては、思いもよらぬかたちで登場したラスボスであり、今後どう対峙していくのか予想を超える展開が待っていそうだ。
艶やかさに信長的な恐ろしさを兼ね備えた茶々を演じる北川景子。物語の最後まで家康とどう戦っていくのか、ラストまで期待しかない。
参照
※ https://realsound.jp/movie/2023/09/post-1441407.html
(文=池沢奈々見)