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『葬送のフリーレン』『七つの大罪』が新枠で放送 テレビがアニメに力を入れる2つの理由

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 テレビ東京は「アニメと配信」を成長エンジンに掲げており、放送収入を補ってあまりある成績を残している。テレビ東京は、利益では「放送事業が15,731百万円、ライツ事業が13,802百万円」でライツ事業の利益が放送に追いつきそうな勢いだ。TBSは実写ドラマの配信展開に積極的であることやハリーポッターのイベント事業などが放送外収入を牽引している(境氏の原稿より)。

 つまり、テレビ局の事業立て直しのためにはCM枠販売を中心とした放送収入からの脱却が必要となる。アニメはそれを牽引できるコンテンツと目されているのだ。

■テレビ局のグローバル市場参入

 アニメは今、日本の映像コンテンツの中で最もグローバル市場を切り開いている分野だ。テレビ各局がアニメに力を入れるもう一つの理由に、グローバル市場参入を急ぎたいというものがある。

 これは放送収入の低下ともかかわりのある話だが、国内人口減少を止める有効な手段がなく、国内市場の縮小が決定的な日本では、今後生き残るためには、グローバル市場への進出を求められる。テレビは、多くの人にCMを見てもらうのがビジネスモデルだったが、人口が減れば広告効果は当然減る。国内市場だけではいよいよやっていけないかもしれないという危機感は、テレビ業界にも広がりつつある。

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 TBS映画・アニメ事業部の辻本珠子氏は、あるイベントで「国内市場だけで回収するこれまでのビジネスモデルに限界を感じていて、グローバル展開しないとまずいという漠然とした空気」が業界内にあると言う(※2)。

 テレビ東京は、2022年度はアニメの海外向け展開が23%の伸長という高い成長率を見せている。この分野でテレビ東京は、2010年代前半から海外配信に積極的であり、クランチロールと最初に提携したテレビ局でもある。アニメは放送外収入と海外市場の獲得、この2つを同時に満たせるコンテンツなのだ。

 テレビアニメだけでなく、劇場アニメへの取り組みの増加も同じこの2つが理由だろう。日本テレビの谷生俊美プロデューサーは「放送に捉われないコンテンツ制作の必要性」が増す中、アニメ映画はテレビ局にとって「非常に大事」だと言う(※3)。

 日本テレビは、昨年末から今年の始めにかけて『劇場版 転生したらスライムだった件 紅蓮の絆編』『かがみの孤城』『金の国 水の国』と立て続けに3本の出資映画を公開している。元々、スタジオジブリや細田守監督の作品などでアニメ映画の出資していた同局だが、さらにその輪を拡げ、テレビアニメの展開にもより力を入れていく。『葬送のフリーレン』はその象徴的な存在にするつもりなのだろう。

 やや話がそれるが、つい先日発表された日本テレビのスタジオジブリ買収も、テレビ局にとって放送外収入の重要性が高まっていることと無関係ではないはずだ。

■ゴールデン帯のアニメ復活はあるか

 日本テレビやTBSのアニメ枠増設は、こうした不可逆の産業構造の転換を背景にしている。これまで深夜に集中していたアニメ放送をより、多くの人が観られる時間帯に持ってくるのも、(まだ)強いテレビのリーチ力を活かしてヒット作を生み出すことを企図しているのだろう。前述したように10月期だけで70本以上の新作アニメがあるので、各作品ともまずは視聴者獲得競争で優位に立たねばならない。浅い時間帯に放送できることには大きなアドバンテージがある。

 『葬送のフリーレン』の23時台という放送時間は、『「鬼滅の刃」刀鍛冶の里編』とほぼ同じ時間帯だ。テレビ東京は10月からの『SPY×FAMILY』シーズン2を同じく23時台に放送する。各局期待の作品は23時台に放送することがデフォルトになるかもしれない。

 テレビをリアルタイムで観る人間は確実に減少しているが、それでも配信にはない強みとして同時間帯に一斉に同じものを観て盛り上がりを作れるという強みは失われていない。近年のテレビアニメでこうしたリアルタイム視聴の盛り上がりが作品人気に貢献した例は『機動戦士ガンダム 水星の魔女』だろう。毎週放送時間に関連キーワードがX(旧Twitter)のトレンドに入り続けた同作品は、テレビの力でトレンドが作れることを証明している。トレンドになれば、後からその話題を聞きつけた人も配信で観るようになり、視聴層を拡大していけるし、今の時代そうした情報はグローバルに拡散される。Netflixなどの独占配信タイトルは、これができずに苦しんでいる部分がある。

 アニメの放送時間は、アニメの事業構造に大きく左右される。かつてゴールデン帯にアニメが放送されていたのは、どの世帯にも子どもがいたから、玩具メーカーなどを中心にスポンサーがつきやすかったからだ。少子化が進んだ現在、世帯のあり方も多様化しているが、かつてとは別の理由で再びアニメをテレビ局が求めるようになってきているわけだ。もしかすると、ゴールデンタイムにアニメが再び放送される時代もあり得るかもしれない。ゴールデンは19時~22時、プライムタイムは19時~23時までを指し、特に在宅率の高い時間帯でテレビの花形となる時間帯だが、『葬送のフリーレン』の放送時間はプライム一歩手前だ。

 スポンサーも世帯視聴率よりコア視聴率(コア層と呼ばれる13歳~49歳までの男女の個人視聴率)や見逃し再生数を重視する傾向になっている。アニメはコア層にも強いことを考えれば、ゴールデン帯に放送してもおかしなことではないだろう。

■参照
※1. https://mediaborder.publishers.fm/article/27328/
※2. https://branc.jp/article/2023/09/05/721.html
※3. https://branc.jp/article/2023/01/27/281.html
(文=杉本穂高)

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