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米政府機関がポップな音楽アルバムをリリース 若者に伝えたいメッセージとは

NewSphere


 アメリカの消費者製品安全委員会(Consumer Product Safety Commission:CPSC)が、若者の日常生活の中でよく起こる危険回避を促すために、音楽アルバムをリリースした。その内容とは。

◆ポップな楽曲アルバム
 CPSCは、アメリカの消費者の安全を守るために消費財に関連した怪我や事故のリスクを減らすために活動する政府機関で、消費財に関する安全のガイドラインを作成したり、リコールを促したり、消費者に対して情報発信や啓蒙活動を行っている。そのCPSCが9月20日、『We’re Safety Now Haven’t We: Volume 1』(訳:ぼくら/わたしたちは安全じゃんねー:第1弾)という文法的にも少しおかしなタイトルの楽曲アルバムをリリース。そのアルバムカバーの画像には、ユニコーンが宇宙を舞っていたり、ネットのミームに出てきそうな猫や犬の画像が携帯電話やヘルメットなどの消費財とともにコラージュされていたりと、リコールなどを行う政府機関のイメージとはかけ離れた、色鮮やかでポップなものだ。

 冗談まじりの演出にも見えてしまうが、この楽曲アルバムはアメリカにおける13歳から24歳までの若者に安全のメッセージを送るという真面目な目的を持って制作されたもので、アルバムにはCPSCが、匿名の若者世代の音楽家らとともに制作した7つの楽曲が含まれている(うち1曲は、同じ曲のスペイン語版)。たとえば、『Protect Ya Noggin’』という楽曲は、自転車やキックボード、電動スクーター、スケートボードに乗る際のヘルメット着用を訴える曲。この楽曲はスペイン語版もリリースされている。ほかには、歩きながらの携帯電話の使用は控えようというメッセージを発信する『Phone Away』、家の中での火災を防ぐため、煙探知機がきちんと設置されていることの確認を促すための『Se pone caliente』(スペイン語で熱くなってきたという意味)、花火の正しい遊び方を伝えるための『Going Off Like Fireworks』、ATV四輪バイク乗車の際、ヘルメットや適切なギアの着用を促すための『Off Road Adventure』といった楽曲が収録されている。

◆楽曲テーマを裏付ける事故のデータ
 歌詞を意識しないで聴いていれば、普通のポップソングとも思えるほどの完成度だが、それぞれの楽曲のテーマには事故のデータの裏付けがある。たとえば、2013年から2022年までの年間平均で、13歳から24歳の若者の21.2万人が自転車などの乗り物に関連した負傷事故を起こしており、なかでも頭部の怪我が最も多くなっているとのことだ。一方、ATV四輪に関しては同期間の年間平均で、同年齢層の3万6000人の若者が怪我し、2015年から2019年の間においては合計3700人もの若者がATV関連の事故で死亡した。スペイン語バージョンの楽曲も含めると3曲がヘルメット着用に関連したものになっている理由は、こうした事故のデータに基づいているからだ。

 携帯電話に関しては、2013年から2022年までの年間平均で、13歳から24歳の若者の5100人が通行中などの携帯電話の使用に関連した事故で緊急治療室に運ばれている。火災に関しては、同期間の年間平均で7200人の同じ年齢層の若者が家での火災に関連した事故で緊急治療室に搬送された。この事故件数が極めて多いのかどうかを判断することは難しいが、安全対策をすることで防ぐことができる事故や怪我であるということが重要な点だ。

 CPSCがこのような楽曲アルバムをリリースしたのは初めてのことだが、同局はこれまでもユーチューブなどを通じて曲を発表するなど、消費者に対してさまざまな方法でメッセージを発信してきた経緯がある。今回のアルバム名に「第1弾」とあるのには製作者側の遊び心があるようだが、このアルバムが成功し、新たな予算を獲得できれば「第2弾」もリリースされるのかもしれない。話題性が安全対策の徹底につながるかに期待がかかる。

 
   

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