
(カバー画像)長沢芦雪《虎図襖》重要文化財 天明6年(1786)
和歌山 無量寺・串本応挙芦雪館 10月7日~11月5日展示
愛らしい仔犬やユーモアセンス溢れる虎、ダイナミックな龍の屏風絵などで知られる長沢芦雪
(1754 – 1799)。 伊藤若冲(いとう・じゃくちゅう)、曽我蕭白(そが・しょうはく)と共に「奇想の画家」のひとりとして近年国内外から注目を集めています。
芦雪は江戸時代中期に京都で活躍した画家で、写生画の祖、円山応挙の高弟です。卓越した描写力に加えて、奇抜な着想と大胆な構図、また人を驚かせ楽しませようというサービス精神や面白みで、独自の世界を展開しました。
このたび、大阪中之島美術館において「奇想の画家」長沢芦雪の画業を紹介する、大阪で初となる回顧展「特別展 生誕270年 長沢芦雪 ―奇想の旅、天才絵師の全貌―」が2023年10月7日(土) – 12月3日(日)まで開催されます。
絵を描くことが好きで、常に新しい表現や技法を追求し、精力的に活動した芦雪。
多くの傑作は200年以上経った今も、観る人を魅了し続けています。
本展では、代表作の《龍・虎図襖》(重要文化財)、初公開作品も含め、初期から晩年までの選りすぐりの優品を一堂に展覧し、奇想の天才絵師、長沢芦雪の魅力に迫ります。
国内にある芦雪の代表作から今回新たに見つかった作品まで、重要文化財4件を含む約100件が一堂に会しました。
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芦雪が得意とした 障壁画(襖絵)8作品 が登場します。西光寺(島根)、 無量寺(和歌山)、 高山寺(和歌山)、薬師寺(奈良)、大乗寺(兵庫)の襖絵が揃って出品されるのは23年ぶりとなります。
また、生き生きとした動きや鳴き声が聞こえてきそうな、芦雪ならではの小動物の描写もみどころのひとつです。
卓越した技法や繊細な筆遣いに注目し、 芦雪の世界が大画面で紹介されています。
是非、この機会にご堪能ください。
それではシネフィルアートで、展覧会構成に従っていくつかの作品を観ていきましょう。
第1章 円山応挙に学ぶ
長沢芦雪は武士の子として生まれ、当時画壇をリードしていた円山応挙(1733 – 95)に入門します。20代後半からは「芦雪」と署名する作品が多くなっていき、徐々に屏風など大画面の制作の依頼も受けるようになりました。本章では、10代半ばから「于緝(うしゅう)」という号で描いた最初期の作品や、応挙画風を踏襲した女性像や動物画など、自らの画風を模索する時期の作品が展示されています。

長沢芦雪《西王母図》天明2年(1782)個人蔵 10月7日~11月5日展示
第2章 紀南での揮毫(きごう)
天明6年(1786)10月頃から翌年2月にかけて、芦雪は師の代理で紀南地方(現在の和歌山県南部)に赴き、 本州最南端の町・串本町にある無量寺をはじめとする寺院の襖絵を描きます。本章では紀南へ赴く直前に描いた《龍図襖》(島根・西光寺)や滞在中に制作した代表作《龍・虎図襖》(和歌山・無量寺)をはじめ、多くの大画面作品がご覧いただけます。

長沢芦雪《虎図襖》重要文化財 天明6年(1786)和歌山 無量寺・串本応挙芦雪館
10月7日~11月5日展示
