
2023年、東京・有明アリーナで新たな音楽の祭典が産声をあげた。ダンスボーカルシーンを彩るアーティストが一堂に会する都市型音楽フェス、『STARLIGHT TOKYO 2023』だ。NTTドコモ・スタジオ&ライブが初主催するこのイベントでは、デジタル技術を用いた都会の星空や光の演出が見どころとなり、ステージパフォーマンスに華を添えた。23日、24日の2日間で計10組が熱いステージを届けた本イベントから、今回は23日の模様をレポートする。
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1日目のオープニングを飾ったのは、今年6月に韓国でデビューした8人組グループ・LUN8。グループ名に「暗い夜を明るく照らす月明かりを抱いた8人の少年」という意味を持つ彼らは、デビューアルバム『CONTINUE?』のタイトル曲「Wild Heart」でフレッシュに登場。メンバー・EunSeop(ウンソプ)が健康上の欠席となり7人での参加となったが、リーダーのJinSu(ジンス)は「EunSeopさんの分まで最後までかっこいい姿をお見せします」とコメント。JiEunHo(ジウノ)も「大きな身体と、それに見合わない赤ちゃんのような魅力を持ったメンバーです。帰りに検索していただけたら嬉しいです」と不在の最年少メンバーへの愛情を見せていた。
続いては、7人組グループ・OCTPATHが登場。今年デビュー2年目を迎えた彼らだが、驚いたのは、「IT’S A BOP」で「What’s up, STARLIGHT TOKYO 2023!」と現れた瞬間から見せた、長年の歴を感じさせるようなパフォーマンス力とオーラだ。彼らがもつ高い実力と、この1年間で積み上げてきた経験値の濃さを思わざるを得なかった。また、「Bump」、「Playboy」と立て続けに攻撃力の高い楽曲を披露し、とりわけ四谷真佑の伸びやかなロングトーンや古瀬直輝の安定感ある歌声が耳を楽しませる彼らのステージとなった。「オンラインの方もありがとうー! 奥までありがとう、端もありがとう!」、そうして隅々まで感謝を伝えた笑顔とエネルギーにあふれる7人のパフォーマンスは、会場に心地の良い余韻を残していった。
「みんなー、今日は僕たちと一緒にいっぱい遊ぼうー!」と田中笑太郎の掛け声で元気よく飛び出してきたのは、LAPONEエンタテインメントから今年5月にデビューした6人組グループ・DXTEEN。「Brand New Day」で登場早々にパワフルなパワーを届けると、「Unlimit」ではカラフルなレーザーの演出が彩る。MCでは「のんびりポワポワお兄ちゃん」(福田歩汰)、「お寺の寺尾」(寺尾香信)、「芋けんぴならぬ、ひらけんぴ」(平本健)など、インパクトのある自己紹介を披露した。初秋に夏の爽やかな海を想起させる「Dive」や、会場の天井に宇宙を投影した星座の風景が楽しめた「Come Over」など、自然を感じさせるエンタメ性を盛り込んだほか、花火をモチーフにした楽曲「Firework」も披露し、大人っぽさを感じる話し声とキュートな歌声のギャップで惹きつけた。
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中盤を担うのは、6人組グループ・ONE N’ ONLY。ビジューが上品なグレーのセットアップで現れた彼らは、ベースをかき鳴らすアップテンポのロックナンバー「OPEN」で登場するや否や大きな歓声に包まれる。「Departure」「QUEEN」「What’s Your Favorite?」「Beautiful」をメロディ形式で歌い上げ、ヒップホップベースの挑戦的な楽曲から甘い言葉を歌うポップなラブソングまで、色とりどりの楽曲を届けた。MCでは、「僕たちのファンの名前は“SWAG”って言うんですけど、この時間だけはSWAGになったつもりで、ここから声を出したり振りを踊ったりしていきたいと思います」と話したリーダーのHAYATO。その言葉通り、スパニッシュなパーティーサウンドが縦ノリを誘う「EVOL」ではサビの〈EVOL EVOL〉で観客と一体に。一方、「Dark Knight」では、4ビートに刻まれるHAYATOのテクニカルなラップスキルとキラーな魅力を前面に押し出しながら、彼らのSWAGを随所に散りばめていく。このようなクールなパフォーマンススタイルからは想像もつかないようなハートフルなポップチューン「My Love」では振り幅の広さで驚かせ、全員で真ん中にぎゅっと集まって笑顔を見せる姿には初めて見た人にも伝わる仲の良さが溢れ出ていた。「最後、さらに会場一つになろうぜ!」とのNAOYAの言葉に、観客もタオルやペンライトを振って楽しんだ“唯一無二”の時間。10月から47都道府県を回るツアーを開催することも告知し、「今日会えた皆さんにまた会えるのを楽しみにしています!」とステージを後にした。
後半戦を盛り上げるのは、ダブステップとヘビーロックを融合させたストリートな音楽性を特色とする、EBiDANの9人組グループ・SUPER★DRAGON。スモークが上がり、ファンネーム“BLUE”にちなんだ青色のペンライトが揺れる中、序盤からグループを象徴する楽曲「Pioneer(Keep It Real)」で激しいパフォーマンスを見せた。MCでは鉄道オタクの伊藤壮吾が恒例の車内アナウンスを有明バージョンで披露したり、田中洸希がボイスパーカッションをして楽しませたりと、個性豊かな魅力も満載。また、古川毅が衣装を担当していたり、最年少の柴崎楽がグッズを製作していたりするなど、クリエイティブな一面を知ることができた。ラストには、チルなR&Bにジャン海渡と松村和哉が手がけたラップ詞が映える「Hey, girl」や「LRL -Left Right Left-」、緊迫感あるストリングスが多彩な音楽性を象徴する「Revolution」、「Untouchable MAX」をノンストップで歌唱。最後には「Reach the sky」でステージを動き回りながら観客とともにタオルを振り回し、屈託のない笑顔で惜しみなく楽しんだ様子だった。
始まる前から聞こえてくる「A.B.C-Z」のコール。今年でジャニーズから結成15周年を迎えるA.B.C-Zが、満を持してフェスに登場したのだ。「今日は楽しんでいきましょうー!」という河合郁人の言葉を皮切りに、「Za ABC~5stars~」、「頑張れ、友よ!」を歌唱。休養からの復帰を発表した塚田僚一の初めてのステージ、さらに河合が今年12月21日のグループ脱退を発表して以降、初のパフォーマンスとなったが、色とりどりに光るペンライトを見つめ、心底楽しそうにステージを駆け回るメンバーの笑顔は終始輝いていた。「日常で溜まっていたもの全部解放していってください!」という戸塚祥太の一言は、この日初めて出会った観客の肩の荷をその一瞬で軽くしたに違いない。「Summer上々!!」では、「超特急のファンの皆さんは体力温存しておきたい気持ちは分かる、(応援するアーティストの)出番が終わったファンの人たちは疲れているのも分かる。でも声出していきましょうー!」と叫んだ塚田が、誰よりも元気に20回連続バク転を見事成功。デビュー前から長年愛されてきた「Vanilla」では、シックな背景に5人の姿がシルエットで映し出され、数々のステージを積み重ねてきた5人だからこその深みを演出した。続く「Black Sugar」でも、セクシーさを兼ね備えたアクロバット・通称「セクロバット」が繰り出され、A.B.C-Zならではの身体能力の高さを感じるダンスで魅了。ダンスの合間にシャツの肩を落として魅せる橋本良亮の大人の魅力も堪能できたのではないだろうか。会場の天井に光が走るような映像とともに楽しめた「Reboot!!!」では、アクロバット前の塚田がフロアに放ったアイテムを河合がキャッチして、アクロバット後の塚田に渡すシーンも。節々に長年の絆を感じる瞬間があるのが、ともに歩んできたグループの魅力だ。最後には、塚田と五関晃一が振付を共作したというEDM風のパーティーチューン「FORTUNE」でステージを去った5人。MCタイム無し、ノンストップでステージを作り上げたA.B.C-Z。誰もいなくなったステージに、客席からはあたたかい拍手が贈られた。
「MORA MORA」で大きな歓声に包まれて登場したのは、今回ヘッドライナーを務める超特急。新体制で人数が増えたことにより迫力が増したのはもちろんだが、確実に日本のボーイズグループ界を牽引する存在だと感じるほど、ステージでの立ち姿には鳥肌を立たせるような貫禄があった。この日誕生日を迎えたタカシを「お誕生日おめでとう!」と祝う傍ら、「ヘッドライナーを務めさせていただけて光栄です。絶対に皆様を後悔させないライブをしたいと思っていますが、そのためにも皆様のお力添えが必要です。素敵な方々の集まりだと聞いておりますのでよろしくお願いします!」と、リーダー・リョウガのMCスキルの高さが炸裂。カイもこの日の出演グループ全てのファンネームを呼び、A.B.C-Zのファンネーム「ぼたん」については五関に直接聞きに行き、「最近できた名前だからあまり定着していない」と言われたと話した。
さらに、この日、9月29日に配信リリースされる新曲「Lesson II」をサプライズで初披露。蔦が絡まる背景が怪しげな夜の森に迷い込んだような雰囲気を醸し出し、新たな世界観を見せたステージに歓声が上がる。その後もドラマ主題歌となった「My Buddy」や、超特急ならではのライブ定番曲「BakaBakka」、「SAY NO」で、9人はラストスパートに向けてお祭り騒ぎ。両手に大量のペンライトを持った観客の振り付けの完璧さを見ても、8号車の熱量の高さが窺える光景だった。ボーカル面で力強く支えるタカシとシューヤの存在の大きさはもちろんのこと、目を見開いてとぼけて見せるアロハや、毎度誰よりも振り切るハルらの存在感も超特急の持ち味の一つ。彼らがあらゆる意味でダンス&ボーカルグループの固定概念を覆すグループであることを改めて強く感じた。“真面目にふざける”超特急の醍醐味が存分に体感できたライブは「超えてアバンチュール」で締め括られ、イベントはクライマックスへと向かっていく。
「すごい、有明アリーナの一致団結のアンコール!」(リョウガ)と、アンコールで再登場した超特急。「ちょっと最後、皆さんも一緒に踊れる曲を。是非とも最後の最後まで楽しんでいただけたら」と言い出てきたのは、ONE N’ ONLYのHAYATO、A.B.C-Zの五関、SUPER★DRAGONの柴崎、LUN8のTakuma、DXTEENの谷口(OCTPATHは別件で不在)。各グループの代表メンバーが集い、超特急の楽曲「Burn!」のコラボパフォーマンスを全力で楽しんだ。所属事務所もグループも横断して全力で一つの音楽を作り上げるさまはここでしか見られない光景となり、見る人の心を大きく動かしたのではないだろうか。中でも、終始全力でバッテンポーズを決めていた、出演者の最年長であるA.B.C-Z・五関は、「すごく楽しかったです」とコメント。「僕たちもこういうフェスに参加するのは初めてですが、いいですね、みんなで盛り上がれて」と嬉しそうに話した。さらに、「僕グループで振り付けとかしたりするんですよ、ちょっといいですかこれ(バッテン)もらって」とジョークを投げかけると、カイに「曲ごとどうぞ!」と勧められる、フェスならではのクロストークも見られた。