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東大入試に体育を?スポーツ科学からみた運動も勉強もできる脳を育てる方法

パラサポWEB

しかし勉強もそうだが、好きでないもの、苦手なものを練習し続けるというのは苦痛なものだ。大人だって健康のために運動すべきだとは分かっていても、運動を継続的に行うのは難しい。

「運動をしないと健康を害するとか、病気になると言われたら、誰だって面白くありません。1日1万歩を歩きなさいということではなくて、たとえばゴルフのように面白くプレーしていたら、たまたま1万歩以上歩いちゃった、というのが理想です。最初はそれほど上手じゃなくても、1ラウンドで1回か2回思い通りのショットが出れば、面白くなって練習してまたプレイしようとなるわけです。そんな風に、運動は『苦しくて嫌なものだけど、やらなくてはいけないもの』ではなくて、『楽しいもの』だからやる。その結果、たまたま健康になるというロジックの転換が必要です。ですから、やらなければならないという考えは捨てて、面白いからやろうというふうに考えてほしいですね」

運動を楽しむためのコツとは?

深代氏によると、運動が苦痛なものではなく、楽しくなる、面白くなるためのコツは「上手になること」だそうだ。

「たとえばボールリフティングが昨日は1回しかできなかったのが今日は2回、3回とできるようになったとか、昨日より今日が上手くなると、面白いからまたやってみようっていうふうになるんですよね。筋力や持久力は骨格筋や呼吸循環器系の話ですから鍛えるためには苦しくても続ける必要がありますが、上手い下手を左右するのは先程お話した箸の使い方と同じ脳です。ですから、そうした脳を使った方法で上手くなって、運動を楽しいと思えるようになりましょう、というのが私の主張です」

日本人の中には、野球で甲子園に行くには体が悲鳴をあげるくらい練習をしなければいけないなどといった、苦しい練習をしなければ上達しないという思い込みがあったと、深代氏は指摘する。しかし、練習をたくさんしたからといって、必ずしも上達するとは限らないのだそうだ。

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「多くの人はどのくらい運動したら上手くなるか? などと考えがちですが、上手い下手に運動の繰り返し回数は関係ありません。自転車に乗る練習を100回やっても乗れなければ意味がありませんよね。その場合は何回やるかではなく1回乗れるようになるまでやるということです」

それは5回かもしれないし、10回かもしれないし、100回かもしれない。目的は回数ではなくて、あくまでも、上手くなること。それには、どれくらい運動すればいいか、何回やるべきかという考え方を捨てることが重要なのだという。

楽しく体の動かし方を学んで、運動好きに

子どもの頃、夏休みの宿題で、嫌いな教科のドリルをやるのは苦痛で後回しにしたが、好きな科目のドリルはさくさくと終わらせることができて、もっと難しい問題を解いてみたくなった、という経験はないだろうか。運動も同じように、ひとつできるようになると、もっと高度なことに挑戦したくなる。深代氏の著書の中には、そうした心理を上手く活用した運動ドリルがある。

「運動が上手くなるには、こういう動作を練習するといいという基本的な体の動かし方があることが、スポーツ科学の研究で分かってきました。しかし、分かっていても、自分ひとりでは最初から上手くできるものではありません。ですから、その動きを効率よく練習するためのドリルを開発したんです。たとえば、ボールを投げるのが下手な人にとって一番効果的な練習方法は、真下投げといって、昔の遊びのメンコのようにボールを握った手を上げてから真下に投げるんです。そうすると、手首の動きやボールをリリースする時の感覚を覚えることができます。そんな風にドリルにある動きをやっていたら、たまたま投げるのが上手くなった、たまたま走るのが上手くなった、というところから、体を動かすことが楽しくなってくれたら嬉しいですね」

かのアリストテレスやプラトンといった古代ギリシアの哲学者たちは、弟子と歩きながら、つまり体を動かしながら講義をしたという話が伝えられている。歴史の年号や英単語を暗記するときも、歩きながらの方が覚えやすいといった話もあるように、実は体を動かして脳に血液と刺激を送るのは、結果として脳が活性化するといった生理学的にも理にかなったことなのだそうだ。そう考えると、いい学校に入るために運動時間を削って勉強に集中するのは、実は目的に逆行しているのかもしれない。文武両道、それこそが一番の脳トレなのではないだろうか。

PROFILE 深代千之(ふかしろせんし)
日本女子体育大学学長 東京大学名誉教授。
トップアスリートの動作分析から、子どもの発達段階に合った運動能力開発法まで幅広く研究する、スポーツ科学の第一人者。国際バイオメカニクス学会元理事、日本バイオメカニクス学会元会長、(一社)日本体育学会元会長、など学術界で貢献。日本テレビ「世界一受けたい授業」やNHK「きわめびと」に出演した際の内容が話題に。『東大教授が教える/とっておきスポーツ上達ドリル』(少年写真新聞社)、『運動会で一番になる子どもの育て方』(東京書籍)、『子どもの学力と運「脳」神経を伸ばす魔法のドリル』(カンゼン)など著書も多数。


<参考図書>
深代千之著『運動も勉強もできる脳を育てる 「運脳神経」のつくり方』

(ラウンドフラット刊)

text by Kaori Hamanaka(Parasapo Lab)
photo by Shutterstock

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