これまで1000人以上の「出会いがない男女」の相談に乗ってきた筆者ですが、かつては髪もボサボサで化粧もしない“完全なる非モテ”。「人は変われる」を自ら実践し、多くの方々の「もったいないところ」をご指摘してきた経験から、誰も言ってくれない「恋愛に役立つリアルな情報」をお伝えします。
婚活さえすれば結婚できるという思い込み

マッチングアプリに登録したものの、よく知らない男性から届く「いいね」を吟味し、薄い会話を1週間ぐらい繰り返しデートにこぎつけても、プロフィールで書いたことを確認し合うだけで仲が深まりません。ドタキャンも経験し、アプリに疲れてしまいました。そこで、有名な大手結婚相談所に登録します。
麻紀さんによると「結婚相談所での活動は9か月」で、ギアチェンジして婚活の本気度を上げたのにマッチングアプリと変わらなかったそうです。誰と会っても距離が縮まらず、ピンとこない不毛な出会いの繰り返しに疲れて、入会から1年経とうとしていることに不安を感じていました。次の誕生日で35歳、アラフォーです。
「なぜこんなに婚活を頑張っているのにうまくいかないんでしょうか。私がうまくいかない理由って何だと思いますか?」と聞かれました。
結婚相談所は都合の良い未来しか説明しない
麻紀さんの疑問は、もっともだと思います。貴重な休日と、ヨーロッパ旅行ができるようなお金を使って婚活しているのに、成果が得られないのですから。こう考えるのは、麻紀さんに限ったことではありません。「婚活すれば結婚できる」という前提でいらっしゃる方々です。無理もないですよね。結婚相談所のほうだって、入会する前は“結婚できる未来”しか説明しなかったはず。それに、婚活を始めるタイミングで人は、「1年後には家族がいるもの」だと思っているものなのです。
ガチ婚活しても、成婚退会できるのは2割前後
「うまくいくようにお手伝いできることはします。でも覚えておいてほしいのですが、結婚相談所でも成婚退会できる方って、20代女性も含めて2割前後なんです」平成21年度 サービス産業生産性向上支援調査事業「結婚相談・結婚情報サービス業界統計」で消費者調査から推計した成婚率も2割程度、そして筆者の体感でもやはり2割程度です。

「ええ!! そうなんですか! なんでそんなことになるんですか?」
驚くのも仕方がないと思います。厳しい実態を、大手の結婚相談所が会員に教えるわけがないのです。
40歳以上の男性はすべて「お断り」
麻紀さんに、今度お見合いする予定だという男性のプロフィールを見せてもらいました。ちなみに、先方から申し込み(直接会いたいというアプローチ)をされて成立したお見合いでした。趣味はゲームとキャンプだという37歳のエンジニアで、年収約520万円の男性です。一方の麻紀さんの趣味はヨガと映画と食べ歩き。ゲームは「ポケモン GO」が流行った時にダウンロードした程度で、キャンプは虫が嫌いなので行きたくはないそうです。
他にも男性からの申し込みはたくさんあったものの、40~50代と年上の人が中心。麻紀さんは、40歳以上の男性はすべて断っていました。
「麻紀さんは、結婚相手に『大卒以上の学歴』って絶対に必要だと思いますか?」
「絶対じゃないですけど、私も大卒だし職場も大卒の人ばかりだし、高卒の人にあまり会わないです。家族になるなら近い学歴の方がいいのかなと思うんですけど。写真はみんなスーツで似たり寄ったりだし。ダメですか?」
「ダメってことではないんですよ。申し込みしてくれる男性で40歳と37歳がいたら、麻紀さんは40代の方を断って30代の方を選びますよね。そして大卒の方と大卒以下の方がいれば、大卒の男性を選ぶ。これって、他の女性と似たような選び方なんですよ」
「みんなやっているならいいんじゃないですか?」
「みんなと同じ選び方」がなぜダメか
「麻紀さんに申し込んでくれた37歳エンジニアの方ですが、多分、かなり人気会員だと思うんです。マッチングアプリも結婚相談所も、条件が先に見えちゃいますよね。人気がある男性って、『NG要素がない男性』なんですよ。麻紀さんが『会ってもいいかな』って思う男性は、他の女性も『いいかな』って思いやすいんです」
「あちらは29歳女性にも会っているかもしれないし、ゲームが好きな女性とかアウトドアが好きな女性とも会っているかもしれないんですよ。多分、人気レベルだけの比較だと、麻紀さんよりあちらの方が上かなと思います」
「ええ! これで人気なんですか! 3歳も年上なのに!」
大卒で年収500万より、高卒で年収700万の男性が苦戦する
「そうなんですけど、結婚相談所ってマッチングアプリと違って女性のほうが多いので、女性というだけで有利なわけじゃないんですよ。今までもこういう『NG要素がない男性』に会えたと思うんですけど、どこかで『会ってやってもいいかな』感を出していませんでしたか? 向こうはもっと若い女性とも会っていると想定して会って、人としておもてなしできてました?」「失礼なことはしていないと思うけど、おもてなしはどうかなぁ」
特別に高収入というわけでも、高学歴とかイケメンというわけじゃない普通っぽい男性が人気者になってしまうのは、婚活は“何かが欠けた”というだけで人気がガクッと落ちるためです。例えば、大卒で年収500万円の男性より、高卒で年収700万円の男性の方が苦戦します。
爆速で婚活卒業した男性が、“お断りした”女性たち
コミュニケーション力もあり女性に対して高望みもしない30代大卒男性で、結婚相談所で成婚した方に話を聞いたことがあります。お相手は初めてお見合いした2歳年上の女性でした。彼は結婚した女性の他に、5人の女性と会っていました。そのうち2人は、写真とまったくの別人でした。外見で選びたいわけじゃないものの、あまりにも別人の写真を使っていたので、あまり良い印象にならなかったとか。

5人目は悪い人ではなかったのですが、その頃にはのちに結婚する女性と3回目のデートまで進み次のデートで告白しようと思っていたため、お断りしたそうです。結婚することになった女性が一番笑顔で、唯一別れ際に「とっても楽しかったです」と言ってくれたとか。結婚相談所に在籍していた期間は、4カ月程度だそうです。
それって効率的? 条件検索で婚活することの弊害
麻紀さんは、条件も見直して、会ってくれる男性に感謝してお見合いすることを約束してくれました。婚活する女性たちに、覚えておいてほしいのです。話していて疲れない「普通の男性」は、爆速で婚活を卒業していく人気物件だということを。なぜかというと、条件検索をする出会い方では、人気がない男性が可視化されないからです。“普通以上”の男性しかマッチングせず、人気上位の男性を「普通の男性」と錯覚させてしまいやすいのです。
※個人が特定されないよう一部脚色してあります。
<取材・文/菊乃>
【菊乃】
恋愛・婚活コンサルタント、コラムニスト。29歳まで手抜きと個性を取り違えていたダメ女。低レベルからの女磨き、婚活を綴ったブログが「分かりやすい」と人気になり独立。ご相談にくる方の約4割は一度も交際経験がない女性。著書「あなたの『そこ』がもったいない。」他4冊。Twitter:@koakumamt