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『この素晴らしき世界』が示した自分らしく生きることの素晴らしさ 若村麻由美の“3役目”も

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『この素晴らしき世界』©︎フジテレビ

 最終回を迎え、寂しい思いをしていたのも束の間、『この素晴らしき世界』(フジテレビ系)の特別編が放送された。一度は終わったはずの妙子(若村麻由美)の“なりすまし生活”が再び幕をあける。妙子が次に挑戦したのは、若菜(若村麻由美:2役)が出演予定の海外で撮影される大型映画だった。

参考:『この素晴らしき世界』若村麻由美らクランクアップ 「支えられながら完走できました」

 妙子は唐突に連れ去られ、若菜へのなりすましを再開することになった。あの妙子のことだから、何だかんだ楽しんでいることだろう。しかし日本に残された人々は大変だ。妙子を目の前で連れ去られてしまったパート仲間の真由美(猫背椿)はびっくりして妙子の家まで事態を知らせに行くが、状況を知っている陽一(マキタスポーツ)とあきら(中川大輔)は驚かない。続いて真由美が相談した詩乃(平祐奈)も事情を知っていたため動じなかった。しまいに真由美は、妙子の家族と詩乃がグルになって妙子を殺し、そのことを隠しているのではないかと疑い始める……。

 特別編では、これまで妙子の良き友人でありパート仲間として描かれてきた真由美が大活躍。妙子とその仲間たちの物語が本編以上にコメディタッチで描かれ、笑いっぱなしの1時間であった。その一方で、各登場人物が現れるたびにこれまでのエピソードのダイジェストが挟まれ、妙子の紆余曲折ある数奇な時間にホロリとさせられる。特に莉湖(木村佳乃)や夏雄(沢村一樹)など、妙子と深い関わりのあった人物との回想では忘れがたい妙子の名言や、前向きな考えの数々が再び流れ、改めてこれまでの歩みが感じられた。

 本編では、芸能界の不正に立ち向かう妙子の姿にばかり目が向いていたが、改めてダイジェストが放送されると、本作は妙子自身の生き方を描いた作品だったようにも思う。妙子は「自分らしく生きる」ことについて幾度も語り、詩乃や莉湖、あきらを力強く励ましてきた。芸能界のキラキラした世界に照らされながらも、決して自分らしさを失わず、最後まで己の正義を貫き通した妙子。主婦である自分に誇りを持ち、芸能界に染まることのない姿は、ドラマを通して多くの視聴者に勇気を与えたと同時に幅広い年代の人たちの背中を押したのではないだろうか。

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 そして、妙子がそんなふうに自分らしさを確立した人物だからこそ、これだけの人望にも恵まれたのだろう。妙子をきっかけに繋がった人々は、手を取り合って妙子のピンチを切り抜けようと奔走する。相変わらず、とんでもない無茶振りが連発する中で、必死になる浜岡家や「プロダクション曼珠沙華」の面々に思わず笑みがこぼれる。これまで関係してきた人物が浜岡家のリビングに集結し、信男(須山結斗)の爆弾発言に西條(時任勇気)がごまかし笑いをする些細なところで、つい涙が溢れてしまった。そのシーンは妙子が若菜になりすますきっかけを作った人から、そのプロダクションの社長の孫までもが一堂に会した瞬間でもあったのだ。

 特別編では、妙子本人の登場は少ないものの、“妙子のなりすまし”も登場。今回、若村麻由美が演じたのは妙子と若菜に瓜二つ、いや瓜三つのイタリア人女性の役である。これまで観てきた『この素晴らしき世界』をギュッと凝縮した特別編は、若村麻由美の3役目も登場し、大満足のフィナーレとなった。

(文=Nana Numoto)

 
   

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