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コナンと灰原哀の関係性はどう変化してきた? 初登場から『黒鉄の魚影』までを振り返る

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 劇場版最新作『黒鉄の魚影』がシリーズ史上最大のヒット作となっただけでなく、歴代興行収入ランキングでも第20位にランクインするなど、連載から30年目となってもムーブメントを今なお広げ続けている『名探偵コナン』。特に『黒鉄の魚影』では灰原哀とコナンのやり取りが大きな話題となり、アニメシリーズや劇場版のファンはもちろん、原作のファンをもドギマギとさせた。

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 本稿では『黒鉄の魚影』の終映が近づいていることを踏まえ、原作コミックにおけるコナンと灰原の関係をプレイバック。『黒鉄の魚影』に至るまでの両者の関係を改めて考察したいと思う。

 18巻収録『黒の組織から来た女』事件で初登場した灰原。組織の元メンバーであり、コナンを幼児化した薬「APTX4869」の開発に携わった科学者でありながら、試作段階の薬を許可なく使用され、姉の宮保志保を組織のメンバーであるジンが殺害したことで「APTX4869」を服用し自殺を図るもコナンと同様幼児化。命からがら脱出した灰原は同じく幼児化したコナンの元へと向かった。当初はコナンや少年探偵団に対して灰原は一定の距離を置いており、その姿は19巻から20巻にかけて収録された『競技場無差別事件』などで見ることができる。

 そんな灰原とコナンの距離がグッと近づいたキッカケになったのは第24巻収録の『黒の組織との再会』事件だろう。学校からの帰り道でたまたまジンの愛車であるポルシェ356Aを見つけたコナンと灰原。ジンの足取りを追跡する最中、杯戸シティホテルで開かれる映画監督を偲ぶ会で組織のメンバーによる殺人が行われることを知り……

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 このエピソードでは組織のメンバーに周囲の人間の命が狙われることに恐怖する灰原に、コナンが自身のメガネをかけ、その正体を組織のメンバーに気付かれないようにおもんばかるシーンが描かれる。真白の背景にコナンと灰原だけが描かれるこのコマをコナン史上1番印象深いシーンとして挙げるファンも多いのではないだろうか。この灰原へコナンがメガネを貸すエピソードは『黒鉄の魚影』で再び描かれることとなる。『黒鉄の魚影』をより楽しむためにこのエピソードは必読と言えるだろう。組織に恐怖する灰原に寄り添い、勇気づけるコナンの姿は彼らしい正義感に満ちている。

 コナンが灰原を助けたエピソードといえば29巻収録の『謎めいた乗客』が思い浮かぶ。バスジャックに遭遇したコナンたち。コナンの機転と乗り合わせたジョディによって犯人たちは制圧されたものの、犯人たちが所持していた爆弾が起動。少年探偵団を含めた乗客たちは慌てて下車するものの、灰原だけは周囲の人間に組織の危害が及ばないようにと爆発に巻き込まれて死んでしまおうとバスに残る。灰原がバスに残っていることに気が付いたコナンは犯人たちが所持していた拳銃でリア・ウインドウを撃ち抜き、灰原を抱えて脱出する。

 コナンにとって灰原は、自身が元の姿に戻るためには必要不可欠な存在であり、言わば運命共同体である。が、コナンは元の姿に戻るため、いわば利己的な思考で灰原を助けているわけではない。誰一人として死なせないという探偵としての矜持、そして覚悟がコナンを突き動かしているのだ。

 そんなコナンの姿や少年探偵団、蘭や阿笠博士の愛情や優しさに共鳴したからこそ、灰原もストーリーを通してゆっくりと周囲に心を開いていく。それまでの後ろ向きで周囲を巻き込まないために死を選ぼうとする姿勢から、周囲も、そして自分も生き延びるための最善の手を考え、選択する灰原の変化に親心のような気持ちを抱くファンも多いだろう。そんなポジティヴな灰原の姿を最も堪能できるのが劇場版最新作『黒鉄の魚影』となっている。上述した原作エピソードを踏まえて、終映前に『黒鉄の魚影』を見れば灰原の変化をより楽しめるはずだ。

 
   

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