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マーキュロ[1万字インタビュー第3回]珖夜ゼラが得た絶対的な自信「大丈夫、無理にカッコよくしなくていいんだ」

Pop’n’Roll

耽美的で退廃的な世界観を押し出し、現在のライブアイドルシーンの中で異彩を放ちながらも、その存在感を急激に高めているマーキュロ。“絶望”を歌いながら多くのファンの心を鷲掴みにしている7人のダークヒロインの素顔に迫るため、今回、メンバーそれぞれ1万字に及ぶパーソナルインタビューを敢行。これまでの人生とマーキュロでの活動についてじっくり語ってもらった。第3回目となる本日は、珖夜ゼラのインタビューをお届けする。

いじめてくる人の思うつぼになるのが嫌だから、何がなんでも学校行ってやる

ーー先日出演した<SUMMER SONIC 2023>はどうでしたか?

ゼラ:
僕の4代目衣装が学ランで、生地が分厚いし、上からハーネスをしているので、ピチッとして風通しが何もない。SEの時点では暑くて泣きそうでした。でも後半になるにつれて、暑さよりも楽しさが増していって。誰もマーキュロを知らない人ばかりだし、通行人が足を止めて見る感じだったので、新鮮でした。どう惹きつけるかを頭に入れながらライブしてました。煽りをいつもよりシャウトっぽくすると効くんじゃないか、みたいなことを考えながらライブをやった日でしたね。

ーーいろんな意味で刺激になったと。

ゼラ:
はい。たぶん、V系っぽいジャンルに興味ない人たちが大半だったと思うんで、そういう人たちをどこまで惹きつけることができるか。通行人みんな“なんだこれは?”っていう顔してましたし、もうそれが気持ちよかったです(笑)。

ーー頼もしい! そんなゼラさんのアイドル人生を訊いていきたいのですが。小さい頃はどんな子でしたか?

ゼラ:
幼稚園の時は先生とずっと遊んでました。お友達作りが本当に苦手で。友達になりたい子はいるけど、お話できない。でも家に帰ったら、ずっと歌ったり踊ったりしてるみたいな。本当に人見知りで内弁慶っていう感じでした。

ーーその頃、なりたかったものはなんでした?

ゼラ:
プリキュアになりたかったです。プリキュアとか、ケーキ屋さんって言ってました。

ーー可愛らしいですね。きょうだいは?

ゼラ:
お兄ちゃんと妹がいます。お兄ちゃんは僕と離れていて、妹は近いです。仲はめっちゃいいですよ。

ーー小学校時代は?

ゼラ:
小学校はいじめられやすいタイプで、学年が変わって、人も変わってるはずなのに、標的にされちゃう。小学校2年生からそういうのが始まって、中学生までずっと。一度、小2の時にプツンって、キレちゃった時があって、手を出しました。服を引っ張って殴り合いみたいな。相手は女の子なんですけど、投げ倒してっていう、大暴れをして。でもやっぱり手を出したらこっちも怒られるじゃないですか。だから、反抗したらこっちも怒られるんだって思って。もうそこから、2年生から6年生くらいまでずっと耐えてました。何もせず、ただただ耐えるという。

ーーキレたことで状況は変わらなかったのですか?

ゼラ:
変わらなかったです。弱いくせに強がってんなよ、みたいな。3年生になって、クラスメイトも変わってるのに同じ状況に陥っちゃって。特に何かしたわけじゃない、口答えもしない、先生に何か言うわけでもない。たぶん、都合がよかっただけだと思います。それが中学生まで続きました。

ーー理由なく標的にされたりしますよね……。それで学校に行かなくなったりはしなかったんですか?

ゼラ:
いじめてくる人たちの思うつぼになるのが嫌で。だから何がなんでも学校行ってやる、という気持ちでした。

ーー1番強いタイプだ。

ゼラ:
そうですね。だからまた余計気に食わなく思われて、長々と続いちゃったというのもありますけど。無視されたり、昼休みに教室で1人にされるとか、ランドセル蹴られたり、つば吐かれたり、お道具箱の中をゴミだらけにされたりとか、それがもう日常みたいな感じでした。

ーーつらい……でも負けなかった。

ゼラ:
ええ、負けず嫌いなんで。

ーーそこを保てたモチベーションというのは、思うつぼになりたくない、負けたくない一心だったのですか?

ゼラ:
いじめに負けてる姿を親に見せたくなかったっていうのが1番強かったかもしれないです。負けてる姿を見たら親が悲しむから、そこを見せたくなくて。打ち明けてはいたけど、すべては知らないって感じですね。“大したことないから、大丈夫だよ”って。

ーーでも、よく折れなかったですね。

ゼラ:
そうですね……あとから考えると、よく耐えたなと思います。その時は、自殺とか自傷行為とかも知らなかったし、そもそも病むっていうことも知らなかった。負の感情の落としどころがわからなかった。負の感情に気づいてもいなかったのかもしれないです。

ーー中学校に上がっても、そんな生活が続いた……。

ゼラ:
部活で“こいつ、いじめられてたんだよ”“じゃあ、こいつでいいじゃん”みたいな。テニス部だったんですけど、ボールをぶつけられるとか。本当につらくて、でもチームワークを固めなきゃいけない。それで先生に言ったら、“面倒を起こすな”と返されて、何も変わらなかった。“いじめられる方にも非があるんじゃないか”とも言われた。それでもういいやって諦めました。でも自分はテニスがやりたくて部活入ったから、自分から辞めることは嫌で、続けてました。

ーーああ……。それはいつまで続いたんですか?

ゼラ:
中1の夏から引退まで。

ーーよくおかしくなりませんでしたね……。

ゼラ:
小学校からそうだったから、もう麻痺してたっていうのもあります。それが自分にとっての日常だったから。

ーー部活以外ではどうだったんですか?

ゼラ:
クラスにも友達がいない。権力のある人たちがテニス部にいたので、周りの子も従うしかないんです。

ーーもう、なんというか……息が詰まる毎日ですね。

ゼラ:
でも、ダンスをずっとやってたんで。幼少から中3まで、ヒップホップダンスを。それが唯一のストレス発散でした。

ーーそれが息抜きになっていたと。勉強はどうでした?

ゼラ:
勉強は、好きなものはとことんやるんですけど、好きじゃないなと思ったらやらない。国語や社会とか、好きな教科は点数が高かったけど、数学は本当に点数が取れなかったです。

ーー将来的なことを考えたりしました?

ゼラ:
具体的に将来やりたいことはずっとなくて。高校生になってからも。英語が好きだから英語が学べる大学に入って。かといって、英語の仕事に就きたいわけじゃない、みたいな。

ーーダンスを極めよう、と思ったことはなかったですか?

ゼラ:
僕くらい踊れる人はざらにいるから。好きだけど、仕事にはできないことはわかっていて。何か実績があったわけじゃないし。

自分を好きになってくれる人はどれくらいいるんだろう?って、試してみたくなった

ーーさすがに高校生になってからは、いじめられることはなくなりました?

ゼラ:
はい。中学、小学校の人たちがいない高校に入って。誰も知らない環境へ。そしたらすごい楽しくて、3年間あっという間でした。初めて学校が楽しいって思いました。その時に仲よくなった人たちは今でも仲がいいんです。

ーーそれはよかった! 部活は?

ゼラ:
軽音部でした。お兄ちゃんがバンドでギターをやっていて、それに憧れてはいたんです。でも部活見学には行ってなくて。自分は部活入らないでバイトするつもりでした。だから行かなかったんですけど、入部届の締め切り前日の夜に、お兄ちゃんに“どこにも入らないの? 部活入った方が絶対楽しいよ”と言われて。“えー、じゃあ、軽音入るわ”みたいな感じで、見学にも来たことないやつが急に入部することになりました。

ーーどうでした、軽音部は?

ゼラ:
めっちゃ楽しかったです! 女の子だけのバンドやって。みんな仲よくて、ずっと楽しかったですね。嫌な想い出は1つもなかった。小中の反動が高校で一気に来ました。いじめられてたのは、本当に自分に非がなかったんだな、ということを実感しましたね。

ーー充実した学校生活を送れたんですね。バンドの楽しさを知って、バンドを真面目にやろうと思ったりは?

ゼラ:
いつまでも初心者なんですよ、ギター。勉強をおろそかにしたくなかったし、バイトもしたかったし、ギターに100%注ぎ込むことができてなくて。だからウマくなったわけではないので、ちゃんとしたバンドは無理だなって。

ーーあくまで部活として楽しんだと。そして大学へ進学。

ゼラ:
大学受験は一般受験だったんです。倍率が10倍とかの世界だったんで、めちゃくちゃしんどかったですね。本当は推薦を取りたかったんですけど、出席日数が足りなくて。高校生の時、身体壊しまくっちゃって、けっこう長く休んじゃうことが多かったんです。だから推薦をもらえなくて。

ーー高い倍率を勝ち抜いて合格したキャンパス生活は?

ゼラ:
コロナで全然行けなかったです。新歓とかもなくて。ずっとバイト生活でした。

ーーバイトは何をやってたんです?

ゼラ:
ポケモンカードショップ。友達が働いていて、誘われたんです。全然興味なかったんですけど、なんか面白そうだからやってみようかなって、1年半くらい。けっこう長くやってましたね。

ーー(我執)キルさんのいたコンカフェでも働いたんですよね?

ゼラ:
はい。コンカフェは、チヤホヤされたい気持ちでやってみたんですけど、出勤2日目でキルに“アイドルやらない?”って、いきなり誘われたんですよ。

ーー2日目⁉︎

ゼラ:
そうです(笑)。出勤2日目の勤務が終わった時、TwitterのDMで“ちょっと話したいことあるから、LINE交換しない?”って来て、そこからアイドルの話が始まって。“まだ2日目だけど、もう自分が辞めること決まっちゃったじゃん!”みたいな(笑)。そこから、デビューまで働くという。

ーートントン拍子ですね。チヤホヤされたかったというのは、芸能的なものに憧れがあったとか?

ゼラ:
もともとTwitterに自撮りを載せる界隈で、褒められることが多くて、自分の容姿に自信持てるようになっていったんです。それで自分を売りにしてお金を得てみたいという気持ちが出てきて。自分を好きになってくれる人はどれくらいいるんだろう?って、試してみたくなったんです。

ーー自撮り界隈の時には、現在のスタイルは出来上がってたんですか?

ゼラ:
そうですね。中性っぽいのは好きだったな、もとから。でもここまで男要素が多かったわけじゃなくて、その時はもうちょい女の子らしい感じでしたね。中学校の時からボーイッシュになりたい気持ちはあったんですけど、振り切れなくて。だから、アイドルを始める時が振り切るタイミングでしたね。

珖夜ゼラ

キルがいるアイドルグループなら入りたいな

ーーアイドルに誘われて、どう思いましたか?

ゼラ:
アイドルもやってみたかったんです。コンカフェはいつでもできるし、誰にでもできる。でもアイドルは誰でもできるわけじゃないし、やってみようって。

ーーアイドル自体は好きだったんですか?

ゼラ:
K-POPに憧れはずっとありました。中学校の時からBTSが好きで、ライブ行ったり、握手会行ったり、CDもいっぱい買ったりしてましたね。すごいヲタクでした。

ーー日本のアイドルにも興味あったんですか?

ゼラ:
いや、全然興味なくて。何も知らなかったです。キラキラしたものがそんなに好きじゃなくて、全然見たことなかったです。だから、誘われてもキラキラしてたら入ってなかったです。

ーーキルさんから誘われた時に、こういうアイドルだという話があったんですか?

ゼラ:
メン地下みたいなのを作りたいって、キルから聞いて。だから、メンズに振り切るチャンスなんじゃないか、それで興味を持ちました。曲もバンドサウンドだと聞いて、バンドもやってたし、好きなんで。人とはちょっと違うものが好きだったし、しかも、あのキルが誘ってくれたから、普通とはちょっと違うんだろうなって。キルのことは、その辺の人とは違うと思ってたので。なんか、ちょっとおかしい人だなみたいな(笑)。

ーーははは(笑)。もう今の、あの感じだったんですね。

ゼラ:
はい。ちょっと何言ってるかわかんないみたいな(笑)。面白い人だな、と思って。見たことないセンスを感じるし、キルがいるアイドルグループなら入りたいなって思いました。

ーーそこからマーキュロができて、コンセプト含めて最初に何を思いましたか?

ゼラ:
本当にアイドル始まるんだなって。初めての曲「RED」が来た時に、“いいじゃん!”って、めっちゃ好みでした。サブカルももとから好きだし、V系も好きだった。好きなものしかない、そこに乗っかるしかないじゃんって。『ライチ☆光クラブ』が本当に好きだったんで、これをコンセプトにするアイドルがあるんだ、これをどうコンセプトにしていくんだろう? 楽しみで仕方なかったですね。

ーー自分が人前に立つ、ステージに立つことはどう考えました?

ゼラ:
自分がステージに立つことは想像できなくて。ましてや歌うなんて……、歌ったことないし。ダンスはやってたけど、全然想像できなかったです。でもこういう見せ方したらヲタクは沸くみたいな、そういうのは自分がヲタクだったからわかってました。こういう仕草が刺さる、みたいな。

ーー自分的に振り切るタイミングというところでは、実際に振り切れました?

ゼラ:
いや、最初は全然振り切りたくても振り切れてなくて、ビジュアルもウマくできなかったです。そもそも自己分析ができていなかった。自分をどう売るかがわかってなくて。そこは徐々に変えていきました。メイクも、アイドルしながら研究していきました。ようやく完成したのは、半周年ライブ(<始動半周年記念ライブ『秘密サークル』>/2022年12月23日 WOMB)あたりですね。

ボーイッシュなアイドルはバチバチにキメているけど、自分は違うところを目指そう

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ーー初めてのライブのことは覚えてます?

ゼラ:
本当に緊張しちゃって、足がガクガクで。初めて美容院でヘアメをしてもらいました。キルと一緒に行ったんですけど、ずっとお腹痛くて、ヤバい、どうしよう……って、ずっとトイレにこもってましたね。怖かった。

ーー実際にステージに立って、どうでした?

ゼラ:
実力のなさを痛感しました。経験値がほかのメンバーよりもなかったっていうのもあって、その差をすごい感じました。

ーーダンスはやってたから、そこは自信があったのでは?

ゼラ:
ダンスは自信ありました。発表会とか、大会のステージに立つ機会もあったんで、ステージ慣れはしてたつもりなんですけど。やっぱり歌うってなると本当に違って。歌は苦手意識しかなかったんで、自分の声も嫌いだし、歌のことしか頭になくて、全然余裕がなかったです。

ーーアイドルを始める時、最初は“1年で辞める”というのが親御さんとの約束だったんですよね。

ゼラ:
そうです。親も地下アイドルをよくわかってなかったし。最初はここまで大きくなるって思ってなかったんで。今では親が1番のファンになってますけどね(笑)。

ーーそして、進路の話で大学の教授と揉めた。

ゼラ:
自分もデビュー前は、そこそこやれたらいいなという気持ちだったんです。でも活動をしていく中で、マーキュロがどんどん大きくなっていって。教授と進路の話をした時は、“マーキュロを辞めてほかの職業に就くなんて考えられない!”って、バトルしました。もう行けるとこまで行きたいという覚悟ができたんです。

ーーゼラさん自身も最初はアイドルに賭けるというほどでもなかったんですか?

ゼラ:
アイドルも、地下アイドルもわかってなかったから、とにかく有名になりたいというだけでした。ファンがいっぱいできたらいいな、という気持ちしかなかったですね。活動しながらアイドルを学んでいったので。

ーー活動していく中で、徐々にアイドルに対するやりがいと想いが強くなっていったと。そういう意味でも半周年ライブは大きかったですか?

ゼラ:
そうですね。自分、アイドルの経験がない状態での半周年ライブだったから。地下アイドルが半周年であのキャパを埋めるっていうすごさがよくわかんなくて。不安もあったけど、どれくらいすごいんだろうってずっと考えてました。SEで出た瞬間、パンパンになってるフロア見て震えました。自分たちのことを好きな人たちがこんなにいるんだって、感動が大きかったです。

ーーそこからアイドルとしての意識も変わりました?

ゼラ:
今まで少人数向けのパフォーマンスをしてたんだなと思いました。もっと広い視野でフロアを見なきゃいけなかった。ペンライトを振ってなくても、興味なさそうな人も、実は好きなのかもしれない……そういう気持ちでライブするようになりました。今までペンライト振ってる人たちにしか視線を向けてなかったんです。でも、見てくれる人がこれだけいると、いろんな人がいる、好きな人がいるかもしれない。そんな人たちへこっちから目を合わせたりするようにパフォーマンスも変わりましたね。

ーー意識と見せ方が変わっていった。

ゼラ:
僕はカッコよくいきたかったんですよね、最初は。でも特典会で圧倒的に“可愛い”って言われることがすごく多くて。カッコよく見せてるつもりなのに、“可愛い”って言われるのは何でなんだろうって考えました。自分が出したいものと相手が思っているものが違う、その差を考えた時に、それを自分で確立していけば、それが自分のものになるんだと思ったんです。ボーイッシュなアイドルさんもいるんですけど、みんなカッコいいでバチバチにキメている。でも自分は違うところを目指そうって。自分、身長が低いんで、“ショタ”ってよく言われるんですね。ショタのアイドルって、あんまり聞いたことないから、自分はその線で行こうって。自分に足りなかったものに、そこでやっと気づけた。大丈夫、無理にカッコよくしなくていいんだって。

ーー自分のやりたいことと、自分に似合ってること、他人が求めること、それぞれ違ったりしますから。ゼラさんはそこに気づいて柔軟に受け入れて、オリジナリティとしたわけですね。

ゼラ:
それからファンの増え方も変わりましたね。すごく強くなりました!

ーーそれでいて、ステージパフォーマンスでは、シャウトだったり煽りだったり、かなり攻めている。

ゼラ:
ステージはカッコよくやりたいんです。それで、特典会でしゃべったら“可愛いな”と思う。そのギャップを作っていきたいです。

珖夜ゼラ

ファンがいるからこそ感じられる幸せをたくさん感じている

ーーマーキュロとして活動を始めて1年強。ゼラさん自身、何が変わったと思います?

ゼラ:
ライブの見せ方。最初はカッコいいに行きたかったから、一切笑わなかったんですよ。最近はみんなを楽しませたいし、盛り上がる曲はひたすら笑顔。僕が楽しそうにしていれば、観る側も楽しいんだっていうことがわかった。でもやっぱり、ビジュアルが1番変わった気がする。メイクは変わりましたね。最初は薄かったんで。V系っぽいメイクをずっとしたかったんですけど、全然わかんなくて。活動していく中で、このメイクが完成したんです。ステージ映えするメイク。

ーーグループとしては何が変わりました?

ゼラ:
ライブでアレンジを加えるようになりましたね。自分たちなりに考えて、今日はこう煽ってみるとか、ライブに自分たちの意思を入れられるようになったと思います。この1年、自分たちの成長を実感することができました。自分も自信を持てるようになりましたね。<見世物小屋>を終えて、より堂々とした、余裕のある笑顔を作れるようになったと感じることも多くなりました。1年の活動が全部、自信に繋がりました。

ーーそうやって、培ってきたものは結果として出ていますよね。マーキュロは現在のアイドルシーンの中で、独自の存在として確実に浸透しつつあります。

ゼラ:
そうですね。“サブカルアイドル”っていう枠だけにはハマってないんじゃないかと思いますね。“バンドサウンドアイドル”にもハマらないし、どこの枠にもハマらない感はある。このままどの枠にもハマらず独自の世界観を確立していけたらいいなって。もっと毒感を出せるんじゃないかなと思ってるんで。さらに有名になったら、たぶんマーキュロっぽいグループが出てくるじゃないですか。でも同じ枠にはしないっていう。

ーーオンリーワンを貫き通す。先日の<TOKYO IDOL FESTIVAL2023>はそれが顕著だったのではないかと。

ゼラ:
はい。アイドルの中のマーキュロ。お酒もタバコもオープンなんだ、メンバーの半数がシャウトするんだ、と思われてますよね。アイドルだけど、アイドル感がないグループ。アーティストっていう意識が、たぶんメンバーみんなにあるから。自分たちでも“そういえば、アイドルだったな”みたいな(笑)。アイドルって、やっぱり“理想を見せ続けるもの”というイメージが強いじゃないですか。でも、うちらは「自殺願書」っていう曲を歌ってるくらい、現実を見せまくってる(笑)。

ーーそれが自然なんですよね、コンセプトは強烈なのに、やらされてないっていう。

ゼラ:
一切、やらされてはないです。普通に死にたいんで(笑)。

ーーアイドルらしからぬところでいえば、この記事が出た頃に始まっている<関東ツアー『失楽園』>。ファイナルのSpotify O-EASTでは、新たな試み、“芝居構成”があります。

ゼラ:
演じることが苦手すぎて……。今の段階でこういうシナリオがあって、というのは、なんとなく知ってるんですけど、不安ですね。演技できるかなぁ……。

ーーマーキュロだからこそできる試みですよね。

ゼラ:
そうですね、ほかの可愛いアイドルではできない強み。このメンバーだからこそ出せる世界観だと思います。枠にハマってないからこその強みがマーキュロにはたくさんある。作ってるキャラじゃなく、みんな素でやっているし。楽屋とステージのギャップがあまりないんで、助かりますね。自分もステージ上ではカッコよくというのは決めてるんですけど、わりと素なんで、メンバーと目が合ったら笑っちゃうみたいな(笑)。もしステージ上でキャラを作り込むんだったら、目が合っても笑わないじゃないですか。でもお互い笑って、楽しくやれてます。

ーーそれはメンバー同士の信頼の証でもありますね。

ゼラ:
僕はいじめられた経験があるから、人のことを信用することが難しくて、勝手に壁を作っちゃうんです。それが多くて、何考えてるかわからないと言われることが多かった。でもメンバーとはほぼ毎日一緒にいるし、親の顔より見てます(笑)。

ーーアイドルとしての現在の自分、“珖夜ゼラ”をどう見てますか?

ゼラ:
未だに自分がアイドルやれてんのかな?とは思います。自分がヲタクしてた時、推しから元気や勇気をもらったり、いろいろもらえるものがあったんですけど、自分は与えられてるのかなって考えちゃうし、そういう不安はずっとありますね。ライブを楽しめられているかなとか。そう考えることも全部楽しいんですけどね。ファンがいるからこそ感じられる幸せをたくさん感じていますね。

ーー自分には、応援してくれる人がいると。

ゼラ:
自分のことを応援してくれる、観に来てくれる人がいるこの環境って、当たり前じゃない。感謝の気持ちを込めつつ、パフォーマンスしていく。本当にありがたいことなんで。いっぱいライブできるのも、みんなが来てくれるから。ファンがいないと成立しない、自分の何もかもが。だからみんなが大切です。

『マーキュロ 1万字インタビュー』次回・紫月レンゲは、9月22日(金)12:00公開!

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2023年9月16日(土) 千葉・柏ThumbUp
2023年9月17日(日) 群馬・前橋DYVER
2023年9月23日(土) 埼玉・HEAVEN’S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2023年10月7日(土) 神奈川・川崎セルビアンナイト
2023年10月9日(月・祝) 茨城・水戸ライトハウス
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